その1:ほたるの光とガラスのしゃぼん玉。
これは、僕の生き方を左右する忘れられない出来事になった。
顔をくちゃくちゃにして泣いている青年がいた。
呼吸も満足に出来ないほどに乱れ、子供が泣きじゃくるように声を上げて泣いていた。
着ているシャツが胸のあたりからジワジワ色を変えていく、。
目から溢れんばかりの涙がしたたり、全身が熱くなって感情に全身が支配されていくのだ。
誰も居ない部屋で、何度も何度も感謝の言葉を述べて、
時を忘れるほどに、泣いて、、、。
泣いて、、、。
そのまま青年は、幸せに包まれたまま、暗闇の中に落ちていった。
遡ること暗闇の中に落ちる数日前、
青年は送迎会の輪の中にいた。
送迎会の中心人物であるはずの青年を、心から見送ってあげる人は少なく。
部長も担当の上司も、同じ部所の先輩も、
形だけの送迎会をして、
終わったら、すぐにその場は解散になった。
賑わっているはずの、飲み屋が並ぶ通り道に、
ポツンと残された青年は、何事も無かったかのように、
静かに歩きはじめた。
向かう先は、会社の寮。
ドアを開けても、誰も迎えてくれる人はいない。
会社の都合で地方に飛ばされ、
気軽に悩みを打ち明けられる人も、ほとんどいなかったようだ。
その日は、そのままベットの中に入った。
呼吸の音だけが虚しく響く部屋、、。
ベットの中で丸くなる青年。
暖かくなったのは、ベットの中だけだった。
次の日、同じ会社の寮に住んでいる人から、飲みの誘いがあった。
他の部所の部長「Yさん」が気を利かして、これも最後の機会だから、
同じ寮に住んでいる人だけで、送迎をしようというものだった。
寮には、青年と、既に形だけの送別会をした、
同じ部所の先輩や上司もいた。
呼びかけたYさんの顔を立てるために、
また形だけという気持ちで参加していた人ばかりだった。
形だけだから、1次会を終えたらすぐに人は少なくなった。
2次会以降、残ったのは、青年とYさん。
そして、Yさんの元部下のSさんの、たった3人だけだった。
こんなもんだろう。
青年は何も期待していなかった。
期待することで、心の闇が濃くなっていくことは目に見えていたからだ。
一人の大人の無責任な言葉が、
受け取った人の人生を左右してしまう事もある。
一人の大人の何気ない行動が、
その人の生き方、方向性を左右してしまうこともある。
この後の出来事は、青年にとって一生忘れられない物になった。
青年の将来の在り方を決定づける物になったからだ。
これは無鉄砲で正義感の強い、
どこか影のある少し変わった青年の話し。
あなたはすでに気づいているかもしれないけど、
その青年とは僕のこと。
青年時代の僕の実話の物語だ。
続きは
【その2:ほたるの光とガラスのしゃぼん玉。】へ
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