私はバツイチだ。

私はバツイチだ。バツっていいかたもはあまり好きではないがそういうことになる。

私はもう誰とも結婚しないと思っていたが、再婚した。
私は色々と薄汚れた人生を送り、暗い海で当てもなく小舟を漕いでるようなものだった。
そして、今の嫁と出会った。
初めてデートした日。待ち合わせ場所に着いたとき私はすでに酔っていて、安いワインのボトルを片手に、100円ショップで買ったグラス二つを片手に持っていた。
駅前の大きなテレビのある場所が待ち合わせ場所だった。
彼女が来ると、グラスを二つ渡し、ポケットからコルク抜きをだしてワインを開けた。
そしてお互いのグラスにワインをいれ、ぐいぐいボトルを飲みほし、それからデートをした。

それから一年ほどして、父にあってほしいと言われ、定職のなかった私は、未経験採用のシステムエンジニアの募集に応募した。
なぜか受かり、これで定職につけたからと、相手の両親に挨拶に行くことにした。

挨拶にいった日、私は過去のことを全て話した。
「娘がそうしたいというなら、それでいい。」
お父さんは全てを聞いた上でそう言ってくれた。

結婚式は身内だけで神社で挙げることになった。
挙式するまでの間に私は5つの資格を取った。
無条件で結婚を許してくれた相手の両親を少しでも安心させたかったからだ。
挙式が終わり相手の両親の家で食事をした。
その頃はまだお父さんがタバコを吸っていたので、一緒に縁側に行った。

少し仕事のことを話したりして、それから私は言った。
「あんなに素晴らしい女性を育ててくれて、ありがとうございます。私にできるかぎり幸せにします。」
「Noz君、それは娘を持つ親として最高の誉め言葉だよ。娘を頼む。」
私はこの真っ白な、私がいてもいい場所ではないような、清涼とした家族の一員になることに覚悟した。

もう8年が経つ。子供も生まれた。
真っ暗だった景色は、すこしづつ灰色の雲に変わり、今は雲の切れ間から光が降り注いでいる。

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