『賢くなるより優しくなるほうが難しい』

”ジェフ(10歳)は数字が大好きな少年。
子供時代の夏休みを祖父母のケンタッキー州の農園で過ごすことが多く、
祖父母のトレーラーに同乗して、米国各地やカナダに行くキャラバンへ同行することもありました。
そんなある時の出来事です。ヘビースモーカーであるお祖母ちゃんが、トレーラーの中で
煙をくゆらすのをみて、ジェフはある計算をします。

1本のたばこが、寿命をどれくらい(何分)縮めるか、といった内容の広告を思い出し、
「1本が2分とすると、おばあちゃんは1日に何本吸うから・・・」と計算を始めました。
そして得意げになって、お祖母ちゃんに
「1本で2分の寿命が縮むとすると、おばあちゃんは9年寿命が短くなるよ!」と伝えると・・
お祖母ちゃんは大泣きしてしまいました。

ジェフは、「なんて賢いんだろう!」と褒められると思っていたのに、
お祖母ちゃんが泣きだしたのでびっくりしました。
そのやりとりを見ていたお祖父ちゃんはトレーラーを止めると、
やさしく穏やかな口調でこう言いました。

『Jeff, one day you'll understand that it's harder to be kind than clever.』
ジェフ、賢くあるよりも、優しくあるほうが難しいことだと、お前もいつかわかるようになるはずだよ。

このことがあったせいでしょうか。後年成長して大人になったジェフは、
世界有数の大企業を創ることができました。”

これは、「アマゾン」創業者のジェフ・べゾス氏がプリンストン大学の2010年の卒業式で語った
祝賀スピーチです。
べゾス氏は、10歳の少年時代に祖父母と過ごした時『賢くあるよりも、優しくあるほうが
難しいことだと、お前もいつかわかるようになるよ』と言われたことを例えに、
賢さと優しさを対比して「賢さは持って生まれたもの(ギフト)」であり、
「優しさは自身が選択したもの(チョイス)」であるといいました。

そして、『(卒業生の)あなたがたは、持って生まれたものをどのように使いますか、
自らの選択に誇りを持てますか?、私たちの現在の姿は、私たちの選択の結果なのです。
素晴らしい人生の物語を紡ぎだしてください。』と結んでいます。

持って生まれたものは変えることはできませんが、人生でどういった選択するかは
自分自身である。与えられた物の質ではなく、それをどう捉えるかという反応の質、
そして選択の質で人生は変わるということをよく物語っていますね。

べゾス氏が学んだ優しさとは、「思いやり」と同義であると思います。
ではその「思いやり」とはどんなものでしょうか?
以前読んだ朝日新聞の天声人語の記事では、
『思いやりとは、その人の横に立って、同じ目線で、同じスピードで、一緒に歩いてあげること』
と書かれていました。
思いやりがますます必要な時代、「与えよ、されば与えられん」の大事さを思います。

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