「かぶりっこクラブ」の話

小学校5年生の頃、4人だけで流行った遊びが「かぶりっこクラブ」。「かぶり」と叫びながら、おしりをつねる。それだけ。


結局は組み合っておしりをつねり合うというパワーゲームになるため、採り得る戦略はただひとつ「布地の厚いズボン」。ジーンズっぽいズボンの日は敵なしで、ジャージの日はただひたすら「かぶられ」つづける敗者となる。


何が面白いのかさっぱりわからないけれど、小学生なんてそんなものだ…と言い切ろうとしたけれど、それでは現役の小学生の皆さんに申し訳ないから、撤回します。


当時の僕と僕の友人なんて、そんなものだ。


ただそれだけの話だけれど、この話には悲劇がひとつある。友人の中の一人、Iくんの親は、頑なにジャージをIくんに着せ続けたということだ。奇跡的に1回だけジャージじゃないズボンの日があったが、彼が身につけていたのは「トランクスみたいに薄い記事の夏向きな半ズボン」だった…入れ食い必至だ。


「かぶり」「かぶり」「かぶり」「いやー!」


そんな叫び声の中で、僕の小学校5年生としての生活は幕を閉じた。貴重な1年間という時間が、かぶりっこクラブに費やされたという悲劇だった。(ついでに言うと、その当時の僕は初恋をしていたけれど、初恋と「かぶりっこクラブ」が僕の中では両立していたのだから、気が知れない。どうしてそんなアンビバレントな人生を歩めたのか。きっと気が触れていたのだと思う、ちょっと)


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