お風呂の足音の話
※これは怖い話の一種ですが、ほぼすべての読者の方にはまったく怖くない話だと思いますので、お気軽にご一読ください
僕の実家、祖父母の家のお風呂は離れになっています。昔、特に僕の住む地方では、お風呂とトイレは家の中に作らなかったそうです。
で、そのお風呂の離れは、家を出て外階段を下りて(実家は斜面になった敷地の高いところにある)、砂利の敷かれた小道をざくざくと下った先にあります。お風呂の離れの隣には井戸の小屋があり、その向こうには小さな池と小さな畑。敷地の外は元々果樹園だった荒れ地と森しかなくて、せいぜい山鳥の気配しかない静かな場所です。
勘の鋭い方なら既にお気づきかもしれませんが…出るんですね。そのお風呂。外の砂利道を、明らかに体格が良いなぁと解るぐらいに重量感のある足音がするんです。
ざくざく、ざくざく。
このお話はたったこれだけです。怖くなかったでしょ?
けど、強いていえば、このお話は僕の奥さんにはすごく怖いんじゃないかと思います。
家族のモロモロの事情によって、僕や奥さんがそのお風呂に入る機会はもう無くなっただろうというタイミングまでこのお話の公開を見送っていたことと、僕が一切オバケの類を信じていないということを深く理解している奥さんだけは、リアルに怖いのではないかなぁと思います。
ごめんね、奥さん。でも、出るんだよ。
あなたの親御さんの人生を雑誌にしませんか?
著者の玉樹 真一郎さんにメッセージを送る
メッセージを送る
著者の方だけが読めます