出張整体師はみた!【著名人】いい人・・・なんですよね?

前話: 出張整体師はみた!【著名人】悪役なのに
次話: 出張整体師はみた!【ペット編】階級
以前のエントリー「悪役なのに」
で悪役を多く演じる俳優さんのお客様のお話を描かせて
いただきましたが、

逆もまた真なり 
という言葉がございます。

残念ながらこの言葉がしっくりとくるお方もいらっしゃいました。
内容が内容だけに今回は仮名にもできませんが、幅広い年齢層に
「ほがらかないい人」
と売っていらっしゃる方で、画面上でご存知の方で悪い印象をもっている
という方はそういらっしゃらないといった方です。

それ以前に数回呼んでくださった方がパートナーでいらして
その日はお二人で交代でお受けになりたいとの事でした。
それまでお呼びいただいていたマンションとは別のお部屋で
という事でしたので、ご指示通りに向かいました。
オートロック経由で玄関脇のインターホンを押しました。
ドアを開けたのはいつものパートナーの方ではなく
今回の主人公とも言えるご本人様でございました。
ドアを開けたものの、面白くなさそうにこちらをじっと凝視
した後、履き捨てるように

「こっち・・・」
と奥のリビングに敷いた布団を指差しました。
「誰かに似てらっしゃる気がするなぁ・・」
テレビで見た印象とのあまりの違いでその方と分かるまでに
数秒を要してしまいました。
特にファンだったわけではなかった小生でも存じ上げる方でしたが、

「普段はこんな感じなのか・・・」

と気が重くなってまいりました。

施術を先にお受けになるのは、その方でした。
こういった対応の方でも施術をお受けになると、
「おい!」
といったぶっきらぼうな対応から
「先生!」
と丁重に扱いが変わる事の方が圧倒的に多かったので、
今回もそうなるよう丁寧に行なっておりました。
しかし、施術上重要な部分を刺激すると

「そこは痛い(からやるな)」

と手で払う仕草をされます。
弱め刺激で怪我や病気というわけではないようですが、ご本人が
嫌がるのならと避けていくと、施術できる部分が非常に狭い範囲と
なってしまいました。

また、パートナーの方に向かって、行った先の飲食店で
気に入らないことがあったからと難癖をつけて切れて周りを
困らせたといった類の話を延々と自慢気にお話になっております。
そんな状態でもご紹介ですので数分多めに施術を終了致しました。

「はい。終了致しました。」

ところが・・・
「この60分番組まだやってるじゃねえか!終了なわけねえだろ!」
開始時に傍らでつけていたTV番組の録画を指さして怒鳴られました。

これはどうしたものかと小生が思うかどうかの所で、
パートナーの方が言いづらそうに
「これ2時間半特番・・・」
とおっしゃいました。ご本人は、さすがに少しだけバツが悪そうに

「ああ・・・」

とだけおっしゃってすぐ脇のソファーの方に移られました。

「ああ・・だけ?」
とも思いましたが、視界の隅でパートナーの方が声は出さずに、
すまなそうな顔で謝る仕草をしております。
いい気分はしませんでしたが、
「パートナーさんも苦労されているんだな・・」
と感情を飲み込む事に致しました。
その後のパートナーさんへの施術は何の問題も無く終了しました。
帰り支度を始めた脇のソファーでは、ご本人がTVを観ていらっしゃいます。
うたた寝寸前といった様子です。

「それでは失礼致します。」

ご挨拶しましたが、一瞬だけこちらを見た後に無視をされました。
この頃には、この程度は予想の範囲内ですので気にもなりません。

いよいよ退室となるわけですが、玄関に向かう途中で
うっかり手を滑らせて小生の携帯電話を、フローリングの床に
向かって勢い良く落としてしまいました。

その音が鳴り響いた直後に背後から重いものが
ドシンと落ちる音がして
「ひっうわーーー!びっくりしたー!はぁはぁ・・・」
ご本人が必死の形相で四つん這いで虫のように2~3周回った所で、
落とした携帯電話を拾っている小生と目が合いました。
先程までの威勢からして激昂されてしまわれるかと思いましたが、
「なんだよもう・・・やめてくれよー・・」
といった表情から目をつぶって、ソファーの上に寝に行って
しまいました。パートナーの方は何かを噛み殺すような
どういう顔をしたらいいのかといった複雑な表情です。
小生も何とも言いようもないので、普通にご挨拶して御暇致しました。

やはり人の印象というのはTV越しでは分からない
とまた一つ勉強させていただきました。
※ここまでお読みいただきまして、誠にありがとうございます。
読んでよかったと思っていただけましたら、このページと共に、初回の
にも「読んでよかった」を押していただけれると嬉しいです。
大変恐縮ではございますが、どうぞ宜しくお願い致します。
また、出版等のお問い合わせは
足利忠宛にお願いいたします。

ストーリーをお読みいただき、ありがとうございます。ご覧いただいているサイト「STORYS.JP」は、誰もが自分らしいストーリーを歩めるきっかけ作りを目指しています。もし今のあなたが人生でうまくいかないことがあれば、STORYS.JP編集部に相談してみませんか? 次のバナーから人生相談を無料でお申し込みいただけます。

続きのストーリーはこちら!

出張整体師はみた!【ペット編】階級

著者の足利 忠さんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。