からっとした高原の夏では頭痛がし、むわっとした関東平野の夏が好きな理由

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パソコンを打っている横の窓から、秋風が吹きこむようになった。
少しずつ涼しくなっていくこの季節が寂しくて仕方がない。

僕は東京の夏が好きだ。
冷房のきいた総武線を降りて、むわっとした湿気を肺に吸い込み、汗の臭いが立ち込める新宿の雑踏の中に立って、小田急百貨店の上にあるギラギラとした太陽を眺めると生きている実感がする。
よく田舎から都会に出てきた人が都市の中で孤独を感じるというが、僕は逆だった。東京に出てきて初めて「生きている」感覚を持つことができた。

「なんで地域だ地域だって田舎の問題に首を突っ込む仕事ばかりしているのに、いつまでも東京にいるの?」
「自然の中にいることが落ち着くんじゃないの?」

よくそんなことを聞かれるが、僕の中のそうした矛盾の起点に、このむわっとした東京の暑さが好きな自分がいる。

少なくとも、僕の実家がある長野の、高台にある高校までの通学路で、からっとした空気に包まれ、澄んだ青い空を見上げると、背中がジリ~っと熱くなり、眩暈に襲われる。


そんなわけで僕は、毎月富山の山奥の集落に通い、陸前高田でまちづくりの仕事をしつつ、御茶ノ水で安い夕飯を食べ、結婚もせずに東京の街に引っかかって、フワフワと生きている。

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