絵本は心の拠り所
次話:
絵本は心の拠り所 その2
心の闇から光が見えた日
私は小学校の教師だ。様々な場所で,様々な子どもたちと接してきた。子どもというものは,元来とてもかわいいものだ。自分の存在全てをぶつけてくれる。それに対して教師は,やはり全力で対応しなければならない。
ところが時に,心に闇を抱えている子もいる。彼らの抱える問題はそれぞれ違う。ひとつ共通点を見出すとすれば,人間を信じないということだろうか。こちらが心をこめて,愛情を込めて(と思っていた)接しても,そういう子どもたちは,なかなか心を開いてくれない。
そもそもが不遜なのだ。最終的に子どもに責任を追わない立場で接している限り,私の,子どもへの対応は,あまかったのだ。ある日,そんな,当たり前のことに気づき,私は打ちひしがれた。
どうすればいいのだろう。授業改善,休み時間の遊び,放課後の対応,PTA活動,私は考えに考えたが,どうも状況は好転しなかった。
そんなある日,『読書が学校を変えた』という話が,私の耳に飛び込んできた。朝読書というものを初めて知った瞬間だった。
いつもの私なら,気にも留めなかったろう。しかし当時の私は,完全に迷っていた。わらにもすがる思いで,私は教室に本を持ち込んだ。
あなたの親御さんの人生を雑誌にしませんか?
著者の森内 剛さんにメッセージを送る
メッセージを送る
著者の方だけが読めます