精神科看護師として働いていた時の衝撃的事件簿⑦仕事の時はバンダナ必須で、ぜったい外しませんという話。

前話: 精神科看護師として働いていた時の衝撃的事件簿⑥その後眼鏡代は病院が負担してくれましたって話。
次話: 精神科で働いていた時の衝撃的事件簿⑧一瞬説教なのか愛の告白なのかわからなくなってしまった自分は自意識過剰だったなぁと後で反省した話。
すごい人を紹介します。
俺の職場の先輩、T沢さん。
同じ職場なので、もちろん看護師(男)です。
でも、頭は金髪モヒカンで、両サイドには刺青も入ってます。
英語でデストロイと・・・

※本人ではありませんが、まさしくこんな感じです。


その方ハードコアパンクバンドのボーカルをしていて、頭に限らず全身にタトゥーが施されていてます。
けど背中と太ももだけは大事にとってあるそうです。
そんなんだから職場では常にバンダナを巻いて決して外さず、夏でもTシャツ着れません。
そりゃそうだ。
一見怖そうなT沢さん、でも仕事の時はかなり良い仕事をします。
とっても厳しく、とっても優しい、いつもみんなを冷静な目で見て、熱く逞しい男です。
そんなT沢さんに憧れる部分も多いです。
はっきり言って超かっこいいです。
そんなT沢さんのライブに初めて行った時の話。
ハードコアパンクなのでちっちゃなライブスタジオで何組かやってたんだけど、その中でも異彩を放ってました。
T沢さんは自分の出番1時間前からすでに酔っ払ってました。
そんなんでライブとか大丈夫?とか思いながら遠巻きに様子を見ていたら、自分の出番が近づくにつれだんだん無口に、そして険しい表情になった行きました。
緊張してると言うより、怒りをためてる感じでした。
そしてライブが始まるやいなや、「うぉあぁぁっぁぃぁぁぉぉぉ!!!!!」というシャウトと共にいきなりマイクスタンドを客席にぶん投げてきました!
「うお-ぅ!なんだこりゃ!!」と思いながら見てたら、その後もすごい顔しながら次々とマイクやスタンド、しまいにはスピーカーを客席に蹴り落としたりと破壊神そのものでした。
マイクに何度も頭を打ちつけてみたり、ビール缶で額を殴りつづけ流血しながら歌ったり(叫んでたり)とすさまじい様子でした。
歌ってるんだか、叫んでるんだかわからないけど、T沢さんはなんか俺らには見えないなんかが見えてんのか?って感じで歌ってました。
うちの病院にいそうだなあって感じでした。
もはや自分の世界です。
客のために歌ってる様子はなくあちらの世界にトリップしてました。
あっけにとられながらもそのすさまじいライブパフォーマンスにしびれまくり、2、30分のライブが終わった時俺は感動して拍手してしまいました。
しかし、それを見つけたT沢さんはステージ降りるなり、いきよいよくなぐり飛ばしてきました!
まじで。
後から友達に聞いた話によると、ハードコアパンクの世界では拍手は愛情表現ではないそうです。
ちなみに後でT沢さんに聞いたら、
「誰殴ったか覚えてないけど、拍手されてむかついたから何人か殴った」と言ってました。
毎回誰かを殴ってるそうです・・・
異常なテンションで狂暴な酔っ払いと化したT沢さん、ライブ終了後上半身裸のまま冬の寒い札幌の街に出て、こともあろうか道行く人に喧嘩を吹っ掛けて、威嚇してました。
そして道に置いてる自転車を次々と蹴り倒してました。
面白かったのでかなり遠巻きに友達と後をつけてたら、通った道には自転車が倒れてるのでルートがはっきり分かりました。
そのままススキノを一周したようです。
喧嘩しながら・・・
なんか鬱積したものがあったのでしょうか?
あの患者に優しく語り掛ける看護師T沢さんとのギャップに驚きを隠せないところですが、後日しらふの時にライブのことを話したら、ものすごく照れて笑ってました。
「そうかー殴っちゃったかー。職場の人間殴るのまずいよなあー」とはにかんで笑ってたT沢さんの笑顔はきっと忘れないでしょう。
T沢さん、貴方はすごい人だと思ってたけど、想像以上にずごい人だった、いろんな意味で・・・

そんなT沢さんが教えてくれてことで忘れられないことが2つあります。

「いやー、ぶたばこには何回かお世話になったけど、若いうちに入っといた方が良いよー。保護室に入る患者の気持ちがわかるから」

・・・えぇえぇ!?

「いやー、頭突きは良いよー、力が弱い女子にもおすすめだねー。近くから鼻っ柱ね!」

・・・えぇえぇ!?


ありがとう、T沢さん。

とりあえず、今度ライブに行ったときには拍手はしないようにします。(泣)

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