母を自宅で看取り天涯孤独になった瞬間の話。⑧

1 / 2 ページ

前話: 母を自宅で看取り天涯孤独になった瞬間の話。⑦
次話: 母を自宅で看取り天涯孤独になった瞬間の話。⑨

2003年9月1日 last 9 day


今日ものすごく久しぶりに綺麗な朝焼けを見た。
本当に綺麗だった。
朝6時ごろ処置に起きてカーテン開けたら、ひんやりした空気が身を引き締め、雲は下に降りて、空は綺麗に紅く焼けていた。
朝日を見ながら空気を吸ったらとっても気持ちが良かった。
母と一緒に牛乳を飲んだら、「うまーい、生き返るー。あ、でも生き返ったらだめか」と笑っていた。
昔行ったヒマラヤを思い出した。
あの時の朝日も強烈に美しかった。
あの時にも多くの人に感謝できたが、今日も心から感謝した。
母の髪をドライシャンプーで洗っていたら「風呂に入りたい」と希望がでた。
訪問ステーションの後藤さんに旭が丘の入浴介助サービスに連絡を取ってもらった。
介護保険を申請していないので実費で12000円かかるそうだが、即決でOKした。

出来るだけ体調の安定してる内に入れてやりたい。
今日は祖母がいなかったので何もなく穏やかに一日が過ぎた。
神様、穏やかな今日一日に本当に感謝します。

2003年9月2日 last 8 day


今日は朝から強烈に驚かされた。
朝8時ぐらいにチャイムが鳴るので出ると、目の前に親友のヒロがいた。
「驚かそうと思って、来た」と笑っていた。

友人と東京から札幌に旅行していたはずなのに、昨夜2人で夜行バスに乗りきたという。

2人共本州から遊びに来てるのに、俺に会いに函館まで予定を変えたらしい。
ドッキリ並にびびった。
そして、その熱い友情にかなり感動し、嬉しかった。
玄関外で話していると午前中に祖母が来た。
祖母にも悔いを残して欲しくないので、今日1日母の世話をまかせ、ヒロ達と外に出た。

祖母も「今日は一日外に行ってて良いんだよ、私にまかせなさい、大丈夫だから」と話すが、俺はちょっと不安だった。
ヒロ達と五稜郭を散歩したり、大沼までドライブに行って久しぶりに子供のように遊んだり、夜は函館山から夜景を見たりした。

遊んだー。
函館に来て初めてこんなにめいっぱい家を離れ、遊んだ。
ていうか、自分の知り合いに会うこと自体久しぶりだ。

いつ以来だろう。

本当に夜景が綺麗だった。
感無量。

俺にとって函館はやっぱり故郷なんだと実感した。
帰ってからなんかジーンとして涙が出た。
本当に本当にありがとう。
なんか、とっても大事なことを思い出させてくれて。
函館は家がなくなっても俺にとってかけがえのない故郷だ。

明日からもがんばろう。
ありがとう。

2003年9月3日 last 7 day

昨日俺が帰ってから母はやや疲れている様子が続いている。
祖母も朝から余裕なさげ。
昨日祖母に世話を任せたのは失敗だったか?


やはり2人にすると祖母はあれこれと忙しなくやろうとして、2人とも疲れてしまったようだ。
何やってるんだか。
せっかく任せてみたのに、死にそうな自分の娘にストレスかけてどうすんだろう。
失敗した。

祖母には午後からは自宅で休むよう一旦帰ってもらった。

入浴サービスの方達が今日下見にきた。

ストーリーをお読みいただき、ありがとうございます。ご覧いただいているサイト「STORYS.JP」は、誰もが自分らしいストーリーを歩めるきっかけ作りを目指しています。もし今のあなたが人生でうまくいかないことがあれば、STORYS.JP編集部に相談してみませんか? 次のバナーから人生相談を無料でお申し込みいただけます。

著者のTakai Reiさんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。