【第三部】中卒⇨上京⇨ホームレス⇨営業全国1位⇨鬱病、引きこもり⇨大手キャバクラ幹部⇨逮捕⇨24歳で起業⇨顎下腺腫瘍発覚、手術⇨事業失敗⇨退院後の25歳の夏、ゼロから再起業。

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※4/5 表現を加筆修正しました。


会社を立ち上げたばかりで何かと忙しく、ここに訪れる時間がありませんでした。

久しぶりに開くと沢山の方々に見ていただいていて、とても驚きました。

ありがとうございます!続きを書いていきます。



第三部






悪い事はやっぱりバレる。そして訪れた恋





見出しの通りである。やっと仕事にありつけて生活の目処がたった僕は、浮かれていた。

何と入店1ヶ月もしないうちに、周りのスタッフ達に実年齢や偽造身分証のくだりをペラペラと話してしまったのだ。ただの馬鹿だ。

当然のように店長にチクりが入る。年末の忙しい時期に、少し早めに店に呼び出された。


おはようございます。こんな早くにどうしました??
店長
・・・。とりあえず、奥の個室に行こうか。

なんだなんだ?!何か悪い事でもしたか?

奥に向かう途中、年齢の件だとは全く思わなかった。ただの馬鹿だ。

個室には、見ず知らずの偉そうなスーツのおじさんが座っていた。

おじさん
君か・・。とりあえず座りなさい。
はい・・・。
おじさん
店長、君も。
店長
申し訳ございません・・・
おじさん
清水君、君は16歳だというのは本当かい?



そういうことか。



謎のおじさんは、本社のお偉いさんだったのである。

何も言い逃れ出来ない。やっと見つけた仕事を、僕は1ヶ月でクビになった。


クビ宣告の後、家に帰る気になれず最寄りの駅付近をフラフラしていた。なんせ暇人だ。駅前で歌っているストリートミュージシャンをぼーっと眺めていて、ふと人だかりに目をやった瞬間


雷に打たれた。


それほどの衝撃が体中を走る。やっと出会えたと、体中の細胞全てが言っていた。この時初めて一目惚れという言葉の意味を知ったのだ。しばらくの間僕の人生そのものとなる年上の女性、Mとの出会いだった。

この話は主題と関係ないので省略するが、とにかく恋をした。4日後から付き合うことになった。




2年間の長い夢。そして目覚め



Mの笑顔が僕の幸せだった。将来を約束し、Mの為に全て捧げたかった。東京に来た本来の目標もあっという間に忘れ、M = 僕の人生・幸せ・夢 になっていった。

僕は職種を選ぶ事もなく、最低限の収入とMとの時間が取れる事を最優先に考えた結果、精肉店で食肉加工の仕事に就いた。

年齢不問の条件、最低限の収入や勤務時間帯などが全て合致したからである。




・・・




こうして、2年近くの月日が流れた。僕はMとの同棲の為に貯金をし、Tさんの家を出た。

Tさんは誰もが知っている某有名アパレルメーカーに勤務しており、それまでに色んな場所や人脈を紹介してもらった。若くして成功した方々や、親切にしてくれる色んな方々。。

きっとあの時に必死に喰らいついていれば、僕の人生は全く違うものになっていたと思う。

他にも、Tさんからは大人としてのマナー、夢を追う男の姿、今でも大好きなお酒マタドール・・・

色んな事を教えてもらった。

Tさん
いつになってもいいんよ。いつか、あの時お前を世話して良かったって言えればそれでいい。その時は出世払いな!頑張ろうな!

いつもそう言ってくれていたTさん。あの時は本当にお世話になりました。

そんな状況の中でも当時の僕は、Mの事しか頭になかった。



思い返すと、まるで長い夢を見ていたような、そんな日々だった。



・・・別れは唐突に訪れる。

裏紙に書かれた1枚の置き手紙。後悔してもしきれない僕の過ち。

Mが2度と戻ってくる事はなく、置き手紙の表には、2人で書いた”行きたい所リスト”のメモ。

毎日見返しては、涙が溢れて止まらなかった。Mのいない人生なんて、微塵も想像することができなかった。





その後もしばらく現実が受け止められず、常にぼーっとしていた。仕事も全く手につかず、何に対してもやる気がでない。そんな日々を数ヶ月間過ごす。



・・・



そしてある日の事。


その日仕事が休みだった僕は、自宅近くにあるデパ地下で買い物をしていた。総菜コーナーを通っていた時、ふと唐揚げ屋さんで買い物している老人に目が止まる。

身なりは非常に汚く、手は黒く汚れており、おそらくホームレスの方だと思う。10円玉をかき集めてカウンターに並べ、唐揚げを買っていた。

あらー、汚いなー。10円かき集めてレジの人も大変だな。

と思いながら通り過ぎる。

その瞬間、


ハッとした。

そして、涙腺が自然に緩み、涙ぐんでいた。

僕には人体のメカニズムは分からない。だけど、確実にあの時は意思は関係なく、身体が、心の奥の何かが反応していた。悲しくもあり、どこか愛おしくもある言い表すには難しい複雑な感情が僕を支配した。

そして少し遅れて気づく。確実に僕は一瞬、蔑むような目で彼を見ていた事を。ハッキリと


”汚い”

と感じていたことを。

Mとの日々や生活の安定によって、僕は無意識に自分の通ってきた道を忘れていたのかもしれない。

あの時西○公園であの方々のお世話になっていなければ、僕はどうなっていたか分からない。Hさんに言われたセリフさえ、思い出すこともなかった。



よくドラマや映画や小説では主人公は、ある出来事をキッカケで大きく変わり、そのあとトントン拍子で物事が進んでいく。

人はそれを誉め称えるし、そんな出来事をどこかで待ち望んだりしている。

現実はそんな単純じゃなくて、人はいつしか日常に慣れていき、環境や感情も移り変わり、大事なことさえも忘れてしまったりするものなんだろう。


自分は特別な人間だと、どこかで感じていたのに。何かを成す為、東京に来たのに。現実は、大きな恩さえも忘れ去り、”汚い”と思える自分だった。Mという人に依存し、それがなくなれば生気さえも失うようなどこにでもいる人間だった。


悔しかった。Hさんに、謝りたかった。自分が恥ずかしく、悲しく、でも愛おしく思えた。

唐揚げを買っていた彼と、まるで生気のない自分の現状が重なって見えたからだ。

きっと過去には愛する人がいて、燃えるような恋をしたんだろう。きっと大きな夢があったんだろうな。きっと歯を食いしばって、苦しんで生きてきたんだろうなぁ、と。


このままだと、僕は路上生活へ逆戻りすることになるかもしれない。

だけど、僕なりに一生懸命人を愛した結果だ。そうなっても仕方ないし、彼を蔑む気持ちを持つ事も、きっと2度とない。

ただ、まだ始まってもいない。まだこれから頑張らないと・・・!

何故そうのように考えて涙が出たのかは分からないけど、何か吹っ切れた気がした。



その日は、僕の18歳の誕生日の前日だった。

少し遅くなったけど、前に進もう。覚悟を決めて、やらなくちゃ。



僕はようやく、長い夢から覚めた。




僕は、その足で便箋とペンを買い、退職願を書いて社長へ渡した。そしてその日のうちに、東証一部上場企業のアルバイト採用面接に応募する。

社長からは引き止められたが、次の日から僕は出勤しなかった。その時は、前に進む事しか頭になかったし、急に居なくなる事や、良くしてくれていた職場の人達への迷惑など考えられなかった。

一番良くしてくれていた当時の店長が、その後急病で亡くなるのだが、僕は葬式にさえ顔を出すこともなかった。

確かにこの日がキッカケで僕は何かを感じ、輝かしい成績をあげる営業マン時代へ続くのだが、これが人を裏切りつづけるこれまでの数年間の始まりだとはこの時は微塵も感じていない。


Hさんの”光と影”とはよく言ったものだと思う。僕はきっと、都合の悪い事には目を背けていて、結果裏切りを裏切りと意識できなくなっていく。

目の前に光が差し込んで、それに向かって頑張ったつもりだった。だけど、光が差せば影ができる。

影には目を向けないのが人間なのかもしれない。




その報いは、数年後にピンポンの音とともに、逮捕という形でやってくることになるのだが。

その前に、日本最大規模の通信会社で、営業成績全国1位に輝くちょっとしたサクセスストーリー。



ここまで読んでいただいてありがとうございます。

少し時間がかかりそうですが、第四部へ続きます。


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共感できる部分がすごくあります。自分は特別だと思うこと。10握り締め状況。夢が彼女になってしまう。ありのままを言葉に表すと恥ずかしくもあるものです。楽しみにしています。

T S

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