絵本は心の拠り所 その4

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真実は美しかった

私は子どもたちに,おそるおそる次の質問をぶつけた。
読むスピードは…
みんなでおんなじ早さで読まなくていいから,楽しいんだよ!

子どもたちの反応は早かった。私の言葉を遮り,まくしたてたのだ。

私は愕然とした。国語の授業では,子どもたちに一斉読みをさせる。これは,子どもたちの“読み”が正確か,つまずいている子は誰かなどを知るために行われていた。

私としては,みんなが正しく文章を読むことができるように必須の指導をしてきたつもりだった。しかし実際は,正反対の効果しか与えてこなかったのだ。


私は指導案に,以下の文章を付け加えた。

〜子どもたちは全員が,読書好きです。しかしそれは,与えられた時間内に,決められた時間で読み通すということと同義ではありません。文章を読む早さがまちまちなのも,子どもたちの個性なのです。私はそのことに気づき,一斉読みをなくしました。子どもたちの読解力が飛躍的に向上したことを見ても,私の方策は正しかったと言えます〜


その日,私は帰宅してから涙に埋もれた。まずは自らの愚かさを振り返る時間だった。そして次には,子どもの素晴らしさに感動する時間に変わっていった。

この日から私は,朝読書だけではなく,絵本の読み聞かせにも取り組むようになった。子どもたちは読書が大好きだ。だったら,読み聞かせにも興味を示すだろう。私の思惑は当たった。子どもたちは毎日の読み聞かせを楽しみ続けた。


そんなある日,私に望外の依頼が舞い込んだ。(つづく)


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