ピンチ!日本企業。10年前のライブドアから学ぶ、今の我々に足りない働き方とは(10)

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株式100分割、覚えていますか?

より正確にはもっともっと分割していたのだが。


当時は「錬金術だ!」「反則技だ!」とマスコミにひどく騒がれたが、本当に”不当に株価をつり上げること”が目的だったのだろうか?


私自身、株には全然興味がなく、株を購入したことすらないのだが、特段、不当に株価を上昇させているとは思っていなかったし、その後のソーシャルゲームやSNS関連の株価の上昇と比べても、特段、異常だったとも思えず、むしろ「不当に釣り上げている!」と煽ったマスコミによって、さらに上がっていったように感じる。


さて、ポイントとなるのは、その分割の意図であるが、株を分割することで1株あたりが安くなるので、購入しやすくなる。ここまでは、わかる。当時は小中学生までライブドア株を購入していることがニュースになっていたくらいだ。

では、株を取得するハードルが下がると何が起きるか?


インベスター(投資家)+カスタマー(顧客)=インベスタマー という言葉を知ってるだろうか?


お客様と株主は、もともとは別物なのだが、もしもそこが一体となったとしたら?


ただマネーゲームとして株を買うのではなく、「自分がよりよいサービスを受けられるよう、株を購入することで、その株式会社を応援する」ことで、ただ”対象の企業の商品・サービスを消費する”だけでなく、より直接的に企業を支援できることで、健全な企業と個人の関係を築いていくことができる

これが真の狙いだったのではないか。


ステークホルダーが一堂に会する株主総会

株主総会といえば、「総会屋とかいう怖い人達がいちゃもんをつけるもの」それくらいの認識しかなかった。

2005年12月25日()。自分は朝8時に品川の新高輪プリンスホテルに同僚と集合し、株主総会の「運営スタッフ」の説明を受けていた。

※配当金についてのやりとりでホリエモンが涙を見せたあの総会。まだ配当の前に、先に会社を大きくしたかったのだと思う。


恐らく、一般的な(?)株主総会では、外部スタッフにもちろん有料で当日お手伝いいただくのかもしれないが、この日は、株主対応に多くの社員が借り出された(特に手当もなく!)


やったことといえば抽選券を持ってきた株主に福引をしてもらうという担当。

ライブドアオート(元JACカートレット、事件後にカーチスに社名変更)で、ある金額以上のクルマを購入する場合の割引券などが当たる、というものだった。

その時は、どうして休みの日にまでこんな仕事を・・・と思ったものだが、今思えば、株主にとっては、どんな社員が働いているのか知る絶好の機会だし、逆に我々社員にとっても、どんな人々が株主になっていただくのか知る機会でもあった。

また、ネットサービスでは直接顧客と触れ合う機会も少ないので、そういう意味でもロイヤルカスタマーとサービス提供側との接点として、有効な場だったのだろうと思う。


お互いが存在を意識することで株主は企業のために、社員は株主(=顧客)のために、もっとがんばろうと思う。そういうシナジーにつながれば、こんなに強い連携はなかったかもしれない。(残念ながら、そこまでは行けていなかったかもしれないが。。。)


給与振込口座が半強制的に突如変更

株関連以外では、こんなこともあった。

その後楽天銀行となる、旧イーバンク銀行とライブドア(当時エッジ株式会社)で提携が進んでいた2003年秋ごろ、突然(まあ、いつも大体突然起きるのだけども)

イーバンク担当
「来月から給与振込からUFJ銀行(まだ東京三菱とは別々だった)から、イーバンク銀行に変更となります。
イーバンク以外の口座への振込の場合は手数料が毎月1000円かかります」
(まじかYO!しかも毎月って!)

というアナウンスが社内に流れた。そして口座開設すると今ら500円のインセンティブと総額20万円の賞金(?)が当たる、というのがいかにもライブドアらしい・・・。


なぜ手数料が1000円もかかるのか?今となっては知る由もないのだがこのときほとんどの社員はイーバンクの口座をもった。結果的に今でも使いやすい銀行の1つではあるのだが、それ以上に当時の現場の不満もすごかった。しかしそれを押し切ってしまうのが勢いというかなんというか。。。


一般的にそう簡単に開設しないであろう銀行口座を数日で一気に数百、増やしたと思われるが、会社として投資したものに、全力で社員の力も利用して超スピードで注力する。強引な手法だと言われてしまえばそれまでだが、そもそも「このような手法」を思いついて、そしてやりきってしまえるのも、「いつかは社員のためになる」という絶対的な自信がそうさせていたように思うし、実際口座を解説したことによるデメリットも何も無かった。



日本には100万社以上の株式会社があると言われているが、これらのような、これまでの既成の枠組みに捕らわれず、また、その枠組の中でできることを最大限考え、そして実行に移すこと。もちろん、新しい取り組みにリスクはつきものではあるが、イノベーションは確かにそこにあったのではないか、と。

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