車いすテニスに出会って感激して、このスポーツを報道したいと思っていたら念願が叶って、気付けば世間に追い抜かれてた話 第6章:行くぜ、ロンドン!!

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ハードルが高過ぎる旅行手配

ロンドンパラリンピックのアクレを申請したものの、どうしよう。子供ふたりは連れていくのか置いていくのか? 夫ひとりに子供ふたりの面倒を見てもらうのはたぶん無理。特に下の子はロンドンパラ開催期間中は1歳9カ月になるので、母親と離れて寝るということができないレベル。北京のときは、上の子がまだ1歳前で、よく分からない時期だったから置いていけたけれど。

子供たちを連れていくとしたらどうなるか? うちの両親にも同行してもらって、私が取材している間面倒を見てもらおうか。そう思って母に相談してみたら、「どうしてもと言うなら、私たちの旅行代金を負担してくれれば一緒に行ってあげてもいいよ。でも、大変だとは思うけど、家族だけで頑張ったほうが苦労した分、後々思い出になると思うよ」と言われた。なるほど。

それにしても、我が家4人が海外旅行となると、かなりハードルが高い。4歳と1歳9カ月の子連れというだけでも大変なのに、おまけに下肢全廃の脊髄損傷の夫まで付いてる。飛行機の手配も、脊髄損傷の人間が乗るにはいろいろと面倒なことを質問されたりする。「自力で歩けますか?」「車いすは折りたたんだときどれくらいのサイズですか?」「チェックインカウンターで航空会社の車いすに乗り換えられますか?」。もっともっと細かい質問がいろいろあるけど。

そしてバリアフリールームの手配。これが大変。夫と結婚して、日常生活で困ることってまずないのだけど、旅行に行きたいなーとか思ったときに部屋が見つからなくて本当に苦労する。こういうときだけ「歩ける人だったらなー」とか思っちゃいそうになる。ま、こういうときだけなんだけど。

さらに、現地での移動手段が問題。今回はパラリンピックの取材+せっかくだから旅行もしたいというわけで、絶対にレンタカーが必要。私? ペーパードライバーなので、運転は無理。こういうときのために練習していればいいのに、その気がないものだから手動装置付きのレンタカーを手配しなくちゃいけない。「お前、運転しろよ」って言わないでー。

そしてそして、私はアクレディテーションカードでパラリンピックの会場に入れるけれど、残りの3人のチケットも必要。たかだかパラリンピックのチケットなんて、簡単に手に入るものと思っていたのだけど、実はこれが最大の難関になるのだった。

これだけの旅行手配、最初は個人で調べてみたのだけど、無理!! 早々に降参して、オーダーメイドで手配してくれる旅行代理店に相談した。これが大正解だった!

こちらのリクエストは、パラリンピックの取材+ロンドン近郊の観光。大人ふたり、子供ふたり(うちひとりは車いす)の航空券、家族4人で宿泊できるバリアフリールーム、手動装置付きレンタカー、パラリンピックの観戦チケットの手配。たぶん、担当してくださった方、本当に大変だったと思う。でも、チケット以外は完璧だった。素晴らしかった。

↑実際の宿泊したホテル


観戦チケットが手に入らない

オーダーメイドの旅行代理店の担当の方と綿密にやり取りを重ねて、飛行機、宿泊施設、レンタカーの手配は完了した。が、パラリンピックのチケットは入手できる確証が持てないということで断られてしまった。え? オリンピックじゃないのに? パラリンピックのチケットが?? これはかなり困惑した。

夫は、一緒にロンドンに行く方向に話が決まったときに、観戦することにあまり興味がなさそうだった。「オリンピックじゃないんでしょ?」的なことを言っていたはずなのに。だから、私としては「チケットが手に入らなかったら、その辺を観光しててもらえばいっか」と、気楽に考えていた。どうにもチケットが手に入らなそうだったので、その旨を夫に伝えたら「試合が見られないんだったら、オレ、行かないよ!」だって! えーーーっ!? 最初の話と違うんだけど!!

私のわがままでロンドンまで同行してもらうのだし、取材の間は子供たちの子守りをしてもらうのだし、ここはなんとしてもチケットを手に入れなければ!! どれだけ調べても、簡単にはチケットは入手できそうにない。もう本当に「どうしよう! どうしよう!」と半ばパニック。でも、最終的になんとか入手したのだった。これはもう、私の今までの取材の実績などがあり、かなーりレアなケースとしか言えないけれど。まさか観戦チケットで、こんなにハラハラドキドキするとは思いもしなかった。現地に行ってみて、確かに過去2回のパラリンピックとは違うとは思ったのだけれど。だけど、世界中で観戦したいと思っている人たちが、もっとチケットを手に入れやすくすることってできないのかなあと、つくづく思った。

なんとかギリギリですべての旅行手配が完了し、あとは現地へ赴くだけ。いや、行く前から大変だとは思っていた。でもね、やっぱり想像以上に大変だった。本当に。今思い返しても、よく無事で帰ってきたなあと思う。そして予想以上に、脊髄損傷の車いすユーザーの夫が大活躍だったのだった。


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