糖尿病、認知症…だんまりの祖父が亡くなって、伝説になった件。

  

漁師だったという祖父とは、中学に上がるまで同居もしていたのに

一度もまともに会話した記憶が無い。


なにせ、その昔(まだ父が母に出会ってなかった頃)、舟で大きな事故を起こしたせいで

足が不自由な上、その時に数日意識不明だったせいで脳に障害が残ったらしく(祖母談)

ひがな1日、縁側に座ってタバコを吸っている。もしくは、海を見に漁港へ行く。たまに、私と弟のカブトムシゼリーを盗み食いしてる。


毎日ほとんど動かないのに、なにかをしては、ほぼ全部祖母に怒られていた。


10歳そこそこの私でさえ、


このひと…いつもなにを考えてるんだろ?


なんのために生きてるんだろうな…(爆)

                                                             なんて思っちゃうくらい、彼は「可哀想」なひとだった。


そのうち持病の糖尿が悪化して、ほとんど寝たきりになり

認知症が進んで、ますます意思疎通が無くなった。


かつて毎日どなるように世話していた祖母が、引き続き彼の老老介護に従事していたけれど

久しぶりに祖父母宅を訪ねると、いつしかまるで人形や赤子をあやすように接していてビックリした。



一方の私は順調に高校、大学と進学し、そのうち1年は海外で遊学までさせてもらい

上京して毎日を忙しく過ごしていた。


最初の夏休みもほとんど地元の友達と過ごし、数日ごとにかかってくる祖母からの電話を疎ましく感じることも。



そして、社会人1年目の冬に、だんまりの祖父が亡くなった。


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