中型2輪免許を取った2日後に、何故か鈴鹿サーキットを走らされチビリそうになった話

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車好き、バイク好きなら、誰でも一度は憧れるサーキット。








一度でも走ったことがある人なら、

初めて走った時の、アドレナリンが体内で噴出する音が聞こえる興奮と、

辺り一面から湧き出る、オイルとタイヤの焼ける芳しい匂いは、

一生忘れることはないでしょう。





信号も、対向車も、ノロノロ前を走る車も、

何も邪魔が入らない、誰にも邪魔されない、

日常を凌駕するスピードで走る者だけが許される、漆黒のアスファルト。

操るマシンの性能を、限界まで引き出してやることが出来る喜び。




まるで自分が世界ランクのレーサーになったかの様な、

心地良い錯覚と、不思議なプライドが生まれ、

憧れのレーサーと同じ景色を共有していることの、感動と興奮の余り、

ヘルメットの中で、無意識に雄叫びを上げながら走ってしまう。


最高の夢が、ひとつ叶う瞬間・・・






そうね、普通はそうね。

ヘルメットの中で雄叫び?

ええ、上げながら走りましたよ。

恐怖のあまりね。



今から約25年前のこと。

自動二輪の免許を取り、どのバイクを買おうかウキウキしていた、

18歳の頃の話です。


免許を取った二日後。

何故か僕は、鈴鹿サーキットの一泊二日の体験コースを受講することになってました。


(当時)自動二輪免許の取得に路上教習は無く、

教習所の中での時速40キロほどが、僕が経験しているバイクの最高速度です。

だのに、二日後にサーキットですよ?

サーキットって、めっちゃスピード出して走る場所だってことは、

僕も前々から知ってはいました。



実は、父親の仕業でした。




お前、サーキット走って来い。

バイクに乗る条件や。
18歳の僕
は?
な、何で?
バイクに乗るのはかまわん。

けど、何かあったら簡単に死ぬ乗り物や。

公道走る前に、絶対安全な場所で死にそうな目に遭ってこい。
18歳の僕
死にそうな目って(笑)

まあ、ええわ。



その時は、

「死にそうな目に遭うこと」を非常に簡単に考えていました。

そして、面倒臭いなぁと思いながら渋々条件を飲むことに。


18歳の僕
鈴鹿サーキットって、遊園地みたいなもんやしww


・・・可哀想な子だ。



当時、父親はバスの運転手を指導する職に付いており、

安全運転に死ぬほどうるさい人でした。

普段から事故現場にしょっ中呼び出されており、

そこで事故の凄惨さや、人の生死も嫌というほど見てきた人です。

それを知っていたので、僕も何となく今回のサーキットの話は、

公道での走り方に影響するんだろうなあ、と薄々感じてはいました。


公道を、サーキットのようにバイクで走る為じゃ無さそうだと。



さて。


とりあえず、一泊二日の準備をして鈴鹿サーキットへ向かいました。

電車で。


この日、20名ほどが受講しましたが、電車で来たのは僕だけでした。

みんなは当然、バイク(笑)



自己紹介もそこそこに、

いよいよ、サーキットへ。


駐車場で教官の人から簡単な注意事項があり、10分後、


教官
じゃあ付いて来て下さーい。



え!もう行くの?


まわりのみんなは、和気あいあいとサーキットのコースのことや、

バイクの話で盛り上がりを見せるなか、

ひとり不安と恐怖に怯える、場違い感満開の自分。



改めて言いますが、

バイクに跨るのは、卒検以来です。



そして、いざコースイン。



ヴォーン!


ヴォーーーン!

ヴォーーーーーン!




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