"高齢者" のタグがついたストーリー

貧乏こそ神 我が母まいくばあの話(第67回)

『生きていくコツ(二) 人に尽くしておカネなし』  この章のあとがきにかえて お金は一番大事なものではない、とおっしゃる向きがありますが、それはとりあえず困っていない人々の言うことで、実際はあと少しのお金があればほっこり幸せになれる人のなんと多いことか。心の持ちようです、と言うのもわからないではないが、心の持ちようでメシが食えていきゃあ世話ないわ。 まいくばあはよく言っています。「わしゃやっぱりおカ
前沢 しんじ
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貧乏こそ神 我が母まいくばあの話(第66回)

『生きていくコツ(一) 辛抱せぇ』 離婚についてまいくばあは語る。「今どきの子は辛抱性(しんぼうじょう)が足らん」 「まあ、そんな辛抱なんて言う時代じゃないよ。そりゃあんたのタワゴトだ」と返してきたのだが、いやいや待てよ、亀の甲より年の功、その言い分を聞いてよう。   母の話を継ごう。 好きで結婚していやになって離婚。ええ加減にせえ。ちっとは辛抱っていうものを知らんのかい。好きだの嫌いだの一年もたて
前沢 しんじ
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貧乏こそ神 我が母まいくばあの話(第65回)

『生きていくパワー(五) 人情』 夫二十九才管理職。働き盛り。妻二十四才。四才と二才の男の子がいる。三人目を妊娠中。 身重の妻が具合を悪くして入院しなければならなくなった。夫は二人の子供の面倒をみなければならないが多忙のため休むこともままならない。 自分の母親に頼む。しかし母も仕事を持っていて、おまけに最近手術を受けた病後の身でもある。だから毎日頼むことはできない。妻の母も仕事があるし遠くに住んでい
前沢 しんじ
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貧乏こそ神 我が母まいくばあの話(第64回)

『生きていくパワー(四) へーき』 経営や販促のブログやエッセイメルマガなど、モノを書くのが仕事で一日中住まい兼事務所にいるので、奥さんが老父母の介護や子どもの用事で留守中には、猫の世話やら掃除やら炊事洗濯に至るまで僕がすることになる。もっとも今は子どもが巣立ったので僕一人分だけなのだが。 この前も三日間留守にするという。しかし仕事は忙しいし家事諸々をどうしようかと思って、ふと「そーだ」とアイデアが
前沢 しんじ
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貧乏こそ神 我が母まいくばあの話(第63回)

『生きていくパワー(三) 長女養女』 まいくばあは小学生低学年のころ友達から「あんた、もらい子やで」と言われた。 「もらい子ってなに?」と聞いたら、 「あんた、よそからもらわれてきたんや」 そんなことあるもんか!と思って走って家に帰って父親に聞いた。 「あほ、そんなことはない。役場に行って見てみ。ちゃんと『長女』となっとる」 父はそう厳格に言った。むろん小学生に役場に行って見れるはずもないという父の
前沢 しんじ
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貧乏こそ神 我が母まいくばあの話(第62回)

『生きていくパワー(二) 心もモンスター』 どんな夫婦でも相方が死ぬと寂しいし悲しいだろうと思った。それで父が死んだあと毎日午後二時に母に電話を入れることにした。もう十五年も前の話だ。 とりたてて用があるわけでなくただ電話するだけのこと。「お~い、どうよ」と鳩時計が如くに毎日決まった時間にきまった連絡をする。誰かが必ず気にかけてくれているという安心感をと思った。 一年間は毎日続けるつもりだったが、一
前沢 しんじ
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貧乏こそ神 我が母まいくばあの話(第61回)

『生きていくパワー(一) 怒りはエネルギー』 まいくばあはよく怒る、自分に。そして暴力をふるう、自分に。 頭痛がする。「このアホ頭め、しっかりせんか!」と頭をげんこつで叩く。(余計にいたくなるらしい) 便秘する。「このアホ腹め、お前のせいで苦しいわ!」と言ってげんこつで腹を叩く。(あまり効き目はないらしい。後に「脳様にお願いする」ことを知って以来この悩みはなくなった) ヒザを曲げるとき痛い。「このア
前沢 しんじ
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貧乏こそ神 我が母まいくばあの話(第60回)

『人生は自分流(二) 歯を自分で治そうとした!』 ある日ニヤニヤしながら僕の事務所に入ってきた。 歯医者へ通っているらしい。先生に怒られたらしい。だからニヤニヤ笑っている。 「どうした?」と聞けば、「わしね、この差し歯がしっくりこんから外してね、自分でカッターとヤスリで削ってみたんじゃ。ちょうどうまい具合になってね、治ったと思ったら外れてきたんで、しゃあなしに歯医者へ行ったんじゃよ」 「うむ、それで
前沢 しんじ
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貧乏こそ神 我が母まいくばあの話(第59回)

『人生は自分流(一) 骨折くらい自分で治す』 夫が肺気腫という病気で入院した時のこと。まいくばあは病院と自宅を自転車で往復していた。付き添いは不要だったのだが相方の初めての入院ということでなんやかやと手がかかったのだ。 ある日自転車を降りる際に油断したのか、又は看病疲れか(あり得ませんケド)、コケてしまった。当時六十三才くらいで元気満々であったのだがなんと左足を骨折してしまった。 ギブス+松葉杖が必
前沢 しんじ
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貧乏こそ神 我が母まいくばあの話(第58回)

第6章 〔遺言編〕 ゆかいに生きていこう。カネはなくてもさ いま一年に三万人くらいの人が自分で命を絶つような時代らしい。 でもちょっと待ってくれんか。 わしだって、ぜんぶがこの本に書かれているような、 アホみたいな、好きに生きているだけのばばあじゃないよ。 小さいころは戦時中で空襲を受けたり、知った人もたくさん亡くなった。 命がけの時代を生きてきた。でもみんながそうじゃった。 いまは戦争こそないが、
前沢 しんじ
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貧乏こそ神 我が母まいくばあの話(第57回)

『まいくばあの遺伝子を継ぐものたち(十二) だからよかったんだよ』 この章のあとがきにかえて。 あとで考えてみて、「なぜあの時あの道を選んだのだろう?」と思うことはけっこう多い。 そしてそれが正解か否かはあとでわかる。 人は節目節目で人生の岐路に立ち、何をどう選んでいくかが人生の方向を決めることになる。そしてその選択は必ずしも第一希望だから一番いい結果に結びつくとは限らない。それが人生のあやとなり、
前沢 しんじ
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貧乏こそ神 我が母まいくばあの話(第56回)

『まいくばあの遺伝子を継ぐものたち(十一) 二十一万円のまんじゅう』 まんじゅうはうまい。僕はとにかくまんじゅうが好きなのだ。 焼きまんじゅうを十個土産に買って車中で一個食ったらそのあまりのおいしさに、あと一つ、また一つと飲みこむように食い続け、家に帰ったら二個しか残ってなかったこともあった。 今はメタボ対策でまんじゅう食いを制限しているが、時には辛抱できんようになって四つとか五つまとめて食う時があ
前沢 しんじ
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貧乏こそ神 我が母まいくばあの話(第55回)

『まいくばあの遺伝子を継ぐものたち(九) ノリ』    我が家の酒飲み次女に小さい頃「ぶうこ」とアダ名をつけました。父が娘につけるアダ名かよ!ですが、長じて妙齢のレディになってからもよくからかって、「おーぃ、ぶうこぉ」なんて呼んだりしていました。 日曜日の夜、ヤツがうつ向いて座って何やらしていたので、 「ぶうこちゃんなにやってんの?」と聞けば、 「ひずめの手入れ・・」ボソッとつぶやく。ネイルなんとか
前沢 しんじ
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貧乏こそ神 我が母まいくばあの話(第54回)

『まいくばあの遺伝子を継ぐものたち(七) 単細胞』                                      うちの長女Yちゃんが小さい頃よく言っていた。「まいくばあにシーチキン好きって言うたら、行くたびにシーチキン入りの卵焼きばーっかり」 しかしその長女も、まいくばあに劣らずの「ひとつしか見えない派」且つ「気に入ったらそればかり派」。だから長じてもこう言っている。「でもおいしいよ。
前沢 しんじ
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貧乏こそ神 我が母まいくばあの話(第53回)

『まいくばあの遺伝子を継ぐものたち(六) おもろいやん!』 ある友人には三人の娘さんがおりまして、音楽家、医師、弁護士(勉強中?)というヒジョーに華やかなものであります。彼は司法関係のお仕事をされていて、実は筋金入りの漢(オトコ)で弱者の味方であります。僕が最も尊敬する人物で、勝手に親友と思っているのです。そういうひとの子供だから志もちがう。ドクターにしても無医村を目指すとか聞いたことがある。実に清
前沢 しんじ
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貧乏こそ神 我が母まいくばあの話(第52回)

『まいくばあの遺伝子を継ぐものたち(五) 地球時間を生きないヤツら』 我が母まいくばあは非常にせっかちです。毎朝三時半に起き、午前とは十時までのことを言うという時間感覚の持ち主であります。地球時間より二時間早い時差で生きていますが、実は我が家族にはもう一人のつわものがおります。 長女Yちゃんとある日の電話。 「Yちゃん、わし今日ね、三時から釣りに行くんだ」 「オヤジあかんあかん。三時ゆうたらもうほと
前沢 しんじ
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貧乏こそ神 我が母まいくばあの話(第51回)

『まいくばあの遺伝子を継ぐものたち(四) へれらいろ』 僕は眠っているとき電話で起こされてもすぐ百パーセントの状態で話すことができる。というより寝ているのを悟られるのがいやなんだ。 四十代のころ取引先の担当者に「おれ二十四時間仕事してるからいつでも電話していいで」と言ったことがある。当時は実際に一日三時間くらいしか寝なくて、ほとんど毎日朝まで仕事をして午前中に仮眠的に寝るような生活だった。 ある日、
前沢 しんじ
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貧乏こそ神 我が母まいくばあの話(第50回)

記念の連載第50回! 『まいくばあの遺伝子を継ぐものたち(三) 方向音痴』 僕はひどい方向音痴で、いつでもどこへ行っても迷う。 奈良公園に歩きに行った時には公園を出て帰るつもりが、山へ山へと入っていって危うく遭難するところだった。妻に助けてもらったが、「公園で遭難」というウソみたいなことが僕ならじゅうぶんありうる。(妻はどうせ迷うだろうとにやにやしながら見ていたらしい) これは母親ゆずりの強烈な遺伝
前沢 しんじ
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貧乏こそ神 我が母まいくばあの話(第49回)

『まいくばあの遺伝子を継ぐものたち(二) 笑いがやってくる』 不謹慎極まりなく顰蹙を買うこと間違いない話につき、次へ飛んでいただいてもかまいませぬ。失礼を承知で、書かずにはおれませぬ。 うちの家系は笑い上戸です。少しでもおかしなことがあると、たとえ法事に参列していても誰かがクスクスとする。するともう止まらない。 みんな肩が震えてくる。泣いているのでなく笑いをこらえている。まったく非常識極まりない連中
前沢 しんじ
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貧乏こそ神 我が母まいくばあの話(第48回)

『まいくばあの遺伝子を継ぐものたち(一) ヘンなやつら』 平成二十三年九月四日、和歌山県南部大水害。 当日朝六時ごろ市内放送で「熊野川堤防から水が越え始めました。至急二階か、高いところへ避難してください」と避難指示が何回もくり返して流された。 前夜のうちに僕の家より海抜が高いまいくばあの家に避難していたのだが、放送を聞いて至急車で市内の一番高い丘に逃げたのだ。                    
前沢 しんじ
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