旅行業立ち上げ直後に、コロナ禍で大打撃。私たちのウエルネスツアーを再定義し、公園森林浴からスタートした「これからの旅」
私たち特定非営利活動法人itswellness(英名:itswellness.org)は、森林浴をはじめとする「ウエルネスツアー」を受注企画販売しているNPO法人です。
私たちは2020年2月に旅行業を立ち上げて、たちまちコロナ禍で、大打撃を受けました。
その10ヶ月の奮闘ストーリーと、私たちがいきついた「これからの旅」について、お話したいと思います。
私たちが、森林浴=樹木のもつ癒やし効果に出逢ったのは、その昔、代表理事である木村が、ボランティアで、がん患者さんのサポートをしていたときでした。
都内にあるグリーンカフェで、患者さんの相談を受けていた頃、「今日はゆっくり話せた気がする」「気持ちが安らいだよ」などと何度か言われたことがあり、「もしかしたら、緑には、いい効果があるのかもしれない」と感じたのがきっかけです。
緑に囲まれてのティータイムは、リラックス効果があります
それから緑や樹木、森や海、自然の効用などを、いろいろ調べるうちに、
「森林浴」と出逢う
森林浴は、1980年代に日本で発祥した健康増進法です。
「SHINRIN-YOKU」という言葉は、いまや世界に広がっていて、「MATCHA」「WAGYU」などと同じように世界中で親しまれ、人々は、週末や休日、バカンスに、森林浴を楽しんでいます。
私たちは、各国の資料や視察などを通して、世界各地での森林浴の人気と、その広まり方を、知れば知るほど、私たちが関わりたかったのは、これだ!という実感と手応えがありました。
物見遊山の旅ではなく、
爆買いのツアーではなく、
なにもしない旅。
森の中で、ただぼんやりと過ごす、贅沢な時間…
心身がほんとうに癒やされて、明日を生きる活力がわく旅。
私たちは以前からずっと、闘病中の人はもとより、日々疲れをためているビジネスパーソンや、忙しすぎる子どもたちに、そんなふうな癒やしの時間を過ごしてほしい、と願っていたのです。
それからおよそ3年かけて、私たちは事業立ち上げの準備を進めました。
どんなふうな旅にしたら、みんなの心身の疲れを癒せるだろうか。
それに適した場所はどこだろうか。
いろいろな人々から話を聞き、交流を広げ、コンセプトを考え、事業計画書をつくり、初動の資金を集め、旅行業を手がけるための資格をとり、NPO法上で必要な定款変更手続などを行い、創業メンバーが結束したのが2019年12月。
旅好きで、健康に過ごせる社会を願い、自然を大切に思う3人が起業しました!
(写真左から、代表理事木村、副代表理事井上・福田)
そして、2020年の年明け早々に「人と地球が健康になれるこれからの旅」というミッションが定まり、待望の旅行業登録申請も済ませました。
準備万端の2ヶ月後、無事認可!
いよいよ旅行業スタート!!
と踏み込んだとたん、
「緊急事態宣言」下りる
始まったばかりの旅行業は、もちろんストップしました。
今振り返ると、4月、5月頃は、事業を止めるための雑務や、突然のリモートワークへの切り替えや、その先半年の資金繰りなど、目先のことに、ただただ追われていました。
それはおそらく、これを読んでくださっているみなさんと同じような状況だったと思います。
そして6月頃から「このままではいけない」と、3人で、これからどうすべきかの相談をはじめました。
旅行業がストップしたままの状態で、これから数年先も、おそらく旅行業の完全な復活が望めない状況の中で、私たちがこれまで準備を重ねて、こだわってきた「森林浴」を、どのようにして、人々の癒やしに役立ててもらえるか。
五里霧中での試行錯誤を繰り返し、ようやくですが、ささやかながら、2つのプロジェクトが始まりました。
公園森林浴でリラックス
「コロナ禍で、遠くの森林にリラックスに行くことができなくても、自宅やオフィス近くの大きな公園で、森林浴ができますよ」。
そのことを教えてくださったのが、日本医科大学の医師で、森林浴の世界的な第一人者であり、私たちが尊敬している、李卿(り けい)先生です。
李先生は、都内の主だった公園(北の丸公園、新宿御苑、明治神宮、代々木公園、有栖川宮記念公園、国営昭和記念公園など)で、1回2時間の森林浴実験を幾度も重ね、その気分改善効果(2時間の森林浴で、怒りやイライラがおさまり、活力が高まる)など、森林浴のエビデンスを明らかにされています。
私たちは、11月に李先生を新宿御苑にお招きして、李先生直々のナビゲートのもと、公園森林浴の体験会を行いました。
11月15日、新宿御苑の7-9PARKで実施した「公園森林浴」のポスター画像
新宿御苑のプラタナス並木で森林浴中の、李先生(写真手前)と15名の参加者
12月に、李先生の新刊も刊行されました。(『森林浴』まむかいブックスギャラリー刊)
体験会の日の新宿御苑は、ちょうど紅葉のまっさかり。木漏れ日にキラキラ輝く木の葉を眺めながらの公園森林浴は、コロナ禍で、無自覚に緊張している気持ちを緩める、とっておきのひとときになりました。
そして、この森林浴のイベントがきっかけとなり、私たちは、自分で手軽にできる森林浴を、人々の健康増進のために、各地で広めていく活動をスタートしました。
ありがたいことに、都内のビジネスパーソンを健康にしよう!というミッションのもと、公園森林浴の普及活動を進めている「森林浴普及プロジェクト」
との連携も始まりました。
コロナ禍の在宅勤務やオンライン会議などで、これまでになくストレスがかかっているビジネスパーソンを、森林浴によって、元気にできたらいいな!と願っています。
都内在勤のビジネスマン有志が発起した「森林浴・普及プロジェクト」
近場で森林浴&温泉浴ステイ
もうひとつは、良質な温泉のあるホテルや宿泊施設などと提携し、森林浴✕温泉浴で健康増進をはかる、日帰り森林浴や、森林浴ステイの提案です。
私たちは、市場調査を通して「森林浴は、夏にするもの」というイメージが、一般の人々に根強くあることを知りました。
でも、そんなことはありません!
森林浴は、沖縄のやんばるの森ように暖かい地域では1年中楽しめますし、東京や大阪などの温暖な気候下では、防寒対策をしっかりとれば、冬季でも、大きな樹木のある公園で森林浴を行えます。
また、積雪地帯では、北欧やカナダ、冬のオーストラリアのように、雪晴れの日は、スノーウォークやスキーをかねた大自然での森林浴が楽しめます。森林浴+温泉浴で、健康増進効果もぐっと高まります。
幸いなことに、日本の各地には、森林浴に適した森林や大きな公園があり、なおかつ近くに温泉が湧き出ているエリアが、たくさんあります。
たとえば広島市内から車で1時間ほど、「広島の奥座敷」と称される湯来(ゆき)温泉は、中国山地の山峡にあり、1500年前に発見された良質の温泉が今なお湧き出る「湯の来る里」です。
ここは、山と川の観光資源に恵まれていて、夏はシャワークライミング、冬はトレッキングやアウトドアサウナなどが楽しめます。
湯来観光地域づくり公社が中心となって、地元料理体験や古民家宿泊、露天風呂設営などもすすめられており、国土交通省の「水の里の旅コンテスト」で、2020年の最優秀賞・特別賞(インバウンド賞)を受賞しました。
先日の寒波到来で雪景色となった広島県の湯来町。素晴らしい森林環境の中で温泉浴が楽しめる。
また、東京や大阪などの都市圏でも、工夫をすれば、いろいろなところで、森林浴✕温泉浴(銭湯浴もOK)を楽しめます。
たとえば森林浴の気分改善効果のエビデンスが明らかな国営昭和記念公園の近くには、玉川上水と緑に囲まれた、かけ流しの「昭島温泉 湯楽の里」があります。
江東区に今年8月にオープンした「ヴィラフォンテーヌ有明」も、そのひとつです。
ホテルには天然温泉「泉天空の湯」と緑豊かな有明ガーデンが併設されているほか、徒歩圏内に水の広場公園やそなエリア東京があり、首都圏にいながら、公園森林浴✕温泉浴に適した環境です。
感染拡大がおさまらず、県外への移動が難しい中、日々の暮らしでメンタルを整えて、気分改善をはかるには、こまめなメンテナンスが必要でしょう。
三密と防寒の対策をしっかりとった上で、ひとりで、または、家族でこじんまりと、近くの公園や森林で散策や安息をし、近くの温泉で体をあたためて、リラックスする、というのも一策かもしれません。
世界の状況を鑑みると、旅を推奨できる段階にはまだありませんが、私たちは、起業時の「人と地球が健康になれるこれからの旅」というミッションを見失うことなく、今できることを少しずつ重ねながら、人々の健康増進に寄与していきたいと思います。
みんなが心から旅を楽しめる日が、また訪れることを祈りながら。
ミッションに賛同してくださる皆さま、これからも、応援や協業を、どうぞよろしくお願い致します。
■法人概要
法人名:特定非営利活動法人itswellness
所在地:東京都中央区東日本橋2-28-4-2F
事業内容:健康に配慮した旅行「ウエルネスツアー」の企画販売と、
健康にかかわる事業
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