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累計販売数1万台超 北海道の中小プラスチック製造加工会社が、コロナ禍で「飛沫防止パーテーション」製造に挑戦した理由

著者: 株式会社鈴木商会

北海道を拠点に、資源リサイクル事業等を展開する株式会社鈴木商会。同社のグループ会社である株式会社STエンジニアリングは、従業員数約20名。札幌市内でプラスチックの加工や販売を手掛ける小さな町工場です。

おもに精密機械の部品や店舗の看板、シグナルなどBtoB向けの製品製造を展開する同社が、コロナ禍に直面してはじめた新たな取り組み。

プラスチック製の飛沫防止パーテーションの製造・販売を昨年4月から開始して以降、数千件の問い合わせを受け、累計販売数はすでに1万台を超えています。


これまで専門的なBtoB製品ばかりを作っていた同社が、なぜ飛沫防止パーテーションの製造販売に着手するに至ったのか。

その理由と想いを同社専務取締役の塩地弘忠(以下塩地)と常務取締役の田中啓之(以下田中)が振り返ります。


左:田中啓之  右:塩地弘忠

■コロナの影響は本業に大きな打撃を与えた



塩地:当社はもともとBtoB事業をメインにしています。昨年の初めごろから北海道内でも新型コロナウイルスの感染が拡大し始め、2月末には北海道内に緊急事態宣言が発令されたことで、当社でもこれまでメインの取引先だったメーカーなどの設備投資や店舗看板などの受注が急激に悪化しました。

社内でも「今後どうなるのか」といった不安感が現場にまで漂っている状態だったので、なんとかこの状態を打破できないかと考えていました。


■「本当に困っている…」お客様の声から始まった挑戦



田中:そんな中、ある英語教室の先生から1本の電話が入りました。「感染拡大の中でも対面で授業を行わなければならず、感染防止のために透明な仕切り板が欲しいのだが、どこにお願いしてよいか分からず本当に困っている」という内容でした。その後も旅館や個人商店など、これまで全く接点のなかったお客様から続々と相談が寄せられるようになりました。

もちろんこれまでそのような商品を製作したことは一度もなかったものの、このような状況ではまずお客様の不安にできるだけ早く対応したいという想いがあり、お問い合わせ後すぐに商品開発に着手しました。


■高い品質を短納期で。試行錯誤から生まれた商品

田中:お客様から続々と寄せられるご要望をお聞きすると、

  • ある程度サイズや仕様を固定化して量産することでも対応できる規格品
  • 大きな受付カウンターなど、フルカスタマイズして製作する必要があるオーダーメイド品

の需要があることが分かってきました。


規格品パーテーション


当社はもともとお客様のご要望にお応えした品質の商品を製作するカスタマイズが得意だったこと、さらに道内でもアクリルをはじめとしたパーテーション製作に必要なプラスチック素材の在庫を比較的潤沢に有していたこともあり、物理的にはどちらのパターンにも対応は可能でした。

ただ、やはり初めて作る商品ということもあり、耐久性を上げるための仕様の工夫などは短時間で試行錯誤を繰り返しました。


パーテーション製造現場


■発売後ひと月で1,000件を超える問い合わせ。自治体への寄付も

塩地:3月から規格品も含めたパーテーションの販売を本格化させたところ、発売後ひと月で1,000件を超える問い合わせがありました。お客様の業種も自治体やカーディーラー・銀行・病院・福祉施設など多岐に渡ります。やはりコロナ禍でも対面の接客が必要な業種のお客様からのニーズは大変高いものがありました。


パーテーション使用例


また道内に根差す企業として、少しでも北海道に貢献したいという想いもあり、製作したパーテーションを北海道や札幌市、旭川市へもグループ会社の鈴木商会を通じて寄贈させていただきました。


【旭川市役所パーテーション寄贈感謝状贈呈式に関しての記事はこちら】

■ダンボール製、完全カスタマイズ……お客様の声に応えるためにバリエーション開発

田中:時間が経つにつれ、お客様のニーズも少しずつ多様化していきました。個人で学習塾を経営されている方からは、「パーテーションを導入したいが、もう少し安価なものができないか」との相談があり、枠部分をダンボールで製作したお求めやすい価格のパーテーションを追加で発売しました。また、フルカスタマイズしたパーテーションのご要望も引き続き多くいただいており、こちらにも対応しています。


ダンボール製パーテーション


フルカスタマイズパーテーションの使用例


■原点は「使命感」。今後もお客様の声を大切に商品開発を

塩地:北海道は全国でも早いタイミングからコロナの感染拡大が始まったため、道内の企業には早い段階から不安が広がっていたと思います。パーテーションの製造は、この状況の中「少しでも早く社会に必要とされる商品を作らなければ」という使命感からスタートしました。

地域に根差した、規模の大きくない企業でもできることはたくさんあると改めて実感しています。また、これまで大事にしてきた【お客様の声】が今回の商品を作るきっかけになりました。

今後もお客様の声にしっかり耳を傾けながら、世の中に必要とされる商品を生み出していけたらと考えています。


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【株式会社STエンジニアリング】

所在地:札幌市白石区平和通15丁目北12番6号

代表者:代表取締役社長 駒谷 僚

設立:1977年7月7日

資本金:1,000万円

従業員数:19名

URL:https://www.st-engineering.co.jp/

お問い合わせ:https://www.st-engineering.co.jp/contact/

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