女性の健康を見つめて20年。『ルナルナ』が新たに “教育プロジェクト”へ挑戦する理由
株式会社エムティーアイが提供する女性の健康情報サービス『ルナルナ』は、生理日管理から始まり、今では独自の排卵日予測アルゴリズムによる妊活支援、低用量ピルの服薬支援、婦人科医療との連携、さらにアカデミアとの共同研究による女性の健康課題に関する新たな知見の創出など、さまざまなチャレンジを通して、すべての女性に寄り添うサービスとして進化してきました。
そして、昨年サービス誕生20周年を迎えたことを機に、複雑かつ多様性のある女性のカラダとココロについて正しく学ぶ機会を創出し、年齢や性別を問わず、社会全体で寄り添いあえる環境を目指す理解浸透プロジェクト「FEMCATION」(「FEMALE(女性)」+「EDUCATION(教育)」)を発足させています。
20年経ったタイミングでなぜ「FEMCATION」を強化するのか、ルナルナ事業部の事業部長 日根麻綾と副事業部長 那須理紗の二人が、サービスの歩みや「FEMCATION」※のプロジェクト、さらに今後のサービス展望を語ります。
※FEMCATIONは株式会社エムティーアイの登録商標です。
■ 社会とともに変化してきた『ルナルナ』が見つめる、20年で変わった日本の“生理観”。
≪創成期≫
日根:2000年に誕生した『ルナルナ』は、2007年には3大キャリアの公式コンテンツとなりました。大きなプロモーションをしなくても会員数が伸びていく様子から、生理日予測という領域には女性のニーズがあると確信し、そこから広告やTVCMを積極的に実施した結果、一般の方々にも広く知られるサービスへと成長できたと思います。
一方で、この頃はまだ「生理管理」「生理日予測」という言葉は一般的ではなく、TVCMなどで生理について言葉に出すことに対して、当初はネガティブな反応もありました。いわゆる“生理のタブー視”の意識がまだ強かったように思います。
≪過渡期≫
2010年頃からはスマートフォンの急速な普及に伴いアプリ化し、生理日予測の機能は無料で、さらに手厚いサポートは一部有料で提供するフリーミアムのモデルへシフトしました。これを機に、より多くの女性へサービスが開放され、今では累計1,700万DL(2021年6月時点)のユーザー(データ)プラットフォームに成長しています。その頃から『ルナルナ』独自の排卵日予測アルゴリズムや、それによって算出される「妊娠しやすい日」の提供など妊活支援にも注力し始めました。これまで沢山のユーザーに預けていただいていたデータを、より積極的に収集・分析することで新しい価値に変え、ユーザーをはじめとする社会全体への還元を目指す戦略です。
≪発展期≫
2017年には「ルナルナ メディコ」※1のシステム提供をスタートし、産婦人科医療へ連携する事業を現在も展開中です。直近の契約施設数は1,000軒を超え、『ルナルナ』のユーザーと産婦人科施設をつなぐ役割を果たしています。
世の中の“生理観”が大きく変わってきたと感じたのは2019年頃。月経随伴症状による労働損失が約4900億円※2という調査結果がセンセーショナルに報道され、経済産業省が掲げる「健康経営」の取組みにも女性の健康課題が入ってきました。また同じタイミングでFemTech(フェムテック)※3が日本にも広まり始め、著名人をはじめ多くの人がSNSやメディアなどで生理やPMS、ピルなどに関連する発信や、フェムテックの商品・サービスに触れる機会・知る機会が増えてきたのではないでしょうか。
健康経営の流れから企業においても解決すべき課題だと認識されるようになり、“個人の課題”から“社会課題”に変化したように感じています。
※1:「ルナルナ メディコ」とは『ルナルナ』に記録した生理日や基礎体温、ピル(OC/LEP)の服薬時の体調などのデータを連携先の産婦人科・婦人科で診療時に閲覧できるシステムです。
※2:「健康経営における女性の健康の取り組みについて」平成31年3月 経済産業省
ヘルスケア産業課 より
※3:フェムテックとは、Female(女性)とテクノロジー(Technology)の掛け合わせで、女性の健康課題を、テクノロジーを通じて解決するサービスや商品のこと。
■ FEMCATIONによって、「知らない」ことで生まれる壁をなくしたい。
那須: このように社会と共に変遷してきた『ルナルナ』が20周年を迎えるにあたり、今後サービスをどのように進化していくべきかを事業部内で4カ月ほどの時間をかけて話し合いました。
その議論のなかで、女性の健康課題はここ数年で注目されてきてはいるが、やはり社会全体としては情報・知識が足りていないという声が多く上がりました。女性の健康課題は女性自身でも体験していないと理解できないケースも多く、男性も含めた社会全体で学べる場所が少ないことに大きな問題意識を感じていました。『ルナルナ』は女性のカラダとココロに寄り添うサービスであり、そのビジョンを体現することを考えたとき、若年層向けによりわかりやすく情報発信をしたり、企業や男性に向けたセミナーの開催などの方法で理解促進を行う「FEMCATION」という教育プロジェクトを、想いに賛同してくれ様々な事業者と、業種や立場を超えて取り組もう!という結論に至りました。
日根:ディスカッションのなかで「寄り添い」という点に改めて帰着したのは印象的でしたね。生理がタブー視されてきたこともそうですが、タブーとはなぜ生まれるのか?を考えたとき、「知らないから」が大きな要素だと思います。人に話さない、だから知らない、自分の経験しか知らないため違いがあることもわからない、という、知らないことから生まれるタブー視が多く存在するのではないでしょうか。
『ルナルナ』のビジョン「カラダと向き合い、あなたに寄り添う。」にもあるように、私たちはすべての女性に寄り添いたいという想いを持っていて、議論のなかでは「寄り添いって違いを知ることから始まるよね」という声があがりました。私自身も常々そう考えていますし、だからこそ我々が女性に寄り添える仕組みを作っていく、そして一人ひとりが違う苦しみや悩み・痛み・もどかしさを抱えているということを社会全体で知っていくことがスタートではないのかな、という意味で「FEMCATION」に至りました。理解浸透の必要性というのはルナルナ事業部全員の想いでもあります。
■本格始動した「FEMCATION」!異業種と「女性の健康課題」に取組める新鮮な喜び。
那須:「FEMCATION」を発信し始め、想いに賛同してくださった様々な業種の企業から複数お声がけをいただいています。その中でもグループ会社であるカラダメディカと実施している企業向けの理解浸透プログラム「女性のカラダの知識講座」を実施してくださる企業はどんどん増えてきています。
医師による講座は男性からも好評で、これまでなんとなく察するしかなかった女性の機微について、正しい知識をもとに理解でき、直接声をかけることは難しくてもサポートしやすくなったという嬉しい声が届いています!女性からも、これまで一人で抱えていた生理の悩みはもっと気軽に病院を受診したり薬を処方してもらって良いんだという気づきがあった、などの声がありました。
日根:身近に女性がいない場合、女性のカラダやココロの仕組み、それによる悩みを知る機会は少ないと思います。しかし、今回新しい可能性として男性が女性のカラダについて知る第3の場は職場(第1の場が学校の性教育、第2の場が家庭として)なのだということに改めて気付けたのは貴重な発見でした。
また、会社として女性従業員の健康やフェムテックなどに投資する意思決定をする企業が明らかに増えており、この領域にビジネスとしての価値を感じる企業が増えたのではないかと感じています。
那須:ただ、フェムテックの一般の認知はまだまだ低いため、今後はそのような間口が広がっていくことを期待しています。また、新しい市場だからこそ定義が難しく、それぞれの商材・サービスのメリット/デメリットを見極めて判断しなければ、場合によっては婦人科を受診すべきケースなのにタイミングが遅れてしまったり、と女性にとって不利益になるケースもあるように感じています。
日根:この問題は個人のリテラシーにゆだねてしまうのは正しくないと考えているため、やはりフェムテック事業者側の努力や倫理観はもちろん、法規制・整備などの仕組みがいくつか必要だと思います。
また“市場の発展”という面では、多様な視点で商材やサービスを創っていこうと思えるような投資マネーがないと参入する事業者は増えていかないと思います。
最近のフェムテック・フェムケアの商材をみると、高価格帯と低価格帯と分かれてきているため、多くの人が関われる市場でもあるし、よりケアしたい人にとっては高価格帯の商品など自分の満足につながるものが手に入る構図になっているため、個人的には健全な状態だと感じています。
■『ルナルナ』が描く未来
日根:「ルナルナ メディコ」やピルモード「ルナルナ オンライン診療」※4と、婦人科医療への連携をここ数年取組んできましたが、『ルナルナ』が将来的に実現したいのは、「婦人科医療へのアクセスビリティを向上させること」です。
妊娠・出産、社会での活躍、婦人科疾患のリスクなど、あらゆるプレッシャーのなかで多くの女性が生きづらさを抱えている現代だからこそ、医療や新しい技術などは積極的に活用し、自分のカラダをうまくコントロールしていくこと、それを自分で決めていくことも個人の権利のひとつです。
しかし、特に日本は婦人科医療の恩恵にあやかれず、つらい思いをしながらも頑張りすぎている人がとても多いと思っています。だからこそ『ルナルナ』は、医療への架け橋になって、自分らしく生きられる女性を増やすサポートができたらと思い、日常生活に自然に医療が溶け込んでいくユーザー体験を構想中です。
医師とつながれるプラットフォームとして、例えば『ルナルナ』の先に医師や医療スタッフがいて、自分の健康情報や診療歴などがきちんとシェアされており、毎回違う先生や・スタッフが対応しても同じように標準的な医療が受けられる世界観まで作れれば、婦人科受診のハードルはかなり下がるのではないでしょうか。
そのような未来の実現を目指して、今後もすべての女性に寄り添いながら、フェムテック市場のリーディングサービスとして発展していきたいです。
≪インタビュー全文はこちら≫
※4:「ルナルナ オンライン診療」は(株)エムティーアイのグループ会社であるカラダメディカ(株)が提供する、婦人科に特化したオンライン診療サービスです。
行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ