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STORYS.JPは、2013年2月に誕生しました。

トワニーから洗顔の可能性を再提案する。乾燥してデリケートになりやすい時期も「マイルドエッセンスソープ」で毎日の洗顔時間を楽しみに変えられるように。

著者: 株式会社カネボウ化粧品



カネボウ化粧品のカウンセリング化粧品ブランド「トワニー」は、「美しさのリズムと、響きあう。」というステートメントを大切に、一日、一月、一年、一生の美しさのリズムに寄り添い、商品開発や美容提案を行っています。このたび、そんなトワニーのクレンジング・洗顔料など7品目が新発売。本ストーリーでは、7商品のうち特に季節や環境の変化によってお肌のうるおいバランスをくずしやすい時期でも、“洗顔を楽しんで頂けるように”という想いから誕生した「マイルドエッセンスソープ」の開発秘話について、

処方担当の研究員福田さん、商品開発担当の内山さんに話を聞きました。



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◆ゼロから作り上げた新処方でうるおいも補給する「うるON洗顔」を実現




―マイルドエッセンスソープの開発にあたって、研究チームが目指していた目標は何でしょうか。


福田:私は「洗顔料で新しい価値を提案できないか」といった視点で日々開発に取り組んでいます。その中で目指しているものの一つは、「洗うことで美しくなる」洗顔料です。洗顔料の基本的な価値は不要な汚れを肌から落とすことですが、それだけに留まらない洗顔料を作りたいと試行錯誤を重ねてきました。


洗顔料はアルカリ性のものが多いのですが、アルカリ性の洗顔料で洗うと、肌の角層が膨潤(ぼうじゅん)します。角層の膨潤とは、角層内に外界から溶液が浸透し、体積が増加した状態を指します。イメージとしては、入浴中の肌がふやけた状態です。角層が膨潤した状態は、洗浄成分である界面活性剤が浸透しやすい状態です。その結果、浸透した界面活性剤によって肌に必要なうるおい成分が外に出てしまい、「洗顔後の乾燥感」に繋がる一因となります。また、角層の膨潤が起こりにくい弱酸性の洗顔料でも、「洗顔後の乾燥感」の悩みに対して、十分にこたえられていないこともわかりつつあります。



―その理由について、福田さんはどう考えたのでしょうか。


福田:処方の性能だけではなく、洗顔行為の影響も存在すると考えました。例えば、肌は手でこするだけでもダメージを受けるため、手で擦って洗うだけでも肌の水分量を低下させることに繋がります。即ち、肌のうるおいを守るだけではなく、与えるアプローチも必要と考えたことがマイルドエッセンスソープの開発に至った経緯になります。





アプローチを探索していく中で、ジグリセリンとグリセリンに着目しました。いずれの成分も、古くから、化粧水や乳液、美容液などのスキンケア品に使われることが多い保湿成分ですが、近年、保湿メカニズムが明らかになった成分でもあります。ジグリセリンは角層内の細胞間脂質の層を密に整え、グリセリンは角層の水分保持に寄与しています。私たちは、この保湿メカニズムを洗顔料に応用することを目指しました。具体的なアプローチとしては、両成分を高配合することで、角層に十分に接触させ、角層膨潤による両成分の浸透を狙った処方設計を試みました。種々検討の結果、最終的に、ジグリセリンは先例がないほどの量を配合することになりました。通常、裏面の全成分表示は、含有量が多い順に表示されますが、自社の泡立つ洗顔料の中で1番上にジグリセリンが表示される製品はマイルドエッセンスソープが初めてです。



―どういった点に苦労がありましたか。


福田:品質を保つことです。ジグリセリンとグリセリンは高濃度になると界面活性剤を溶解させることが困難になり、分離や析出を生じます。そのため、これらの成分を共存させる安定化技術の開発が必須でした。安定化技術の開発は容易ではありませんが、これまでの知見を結集して、突破口を見出すことが出来ました。商品化においては、通常、ベースとなる処方をアレンジすることが多いのですが、マイルドエッセンスソープは、今回開発した保湿成分であるジグリセリン及びグリセリンの高配合と新安定化技術を導入した新規処方を採用しています。




◆こだわりは使い心地とリラックス感のある香り


―ここからは、商品開発を担当した内山さんにもお話を伺っていきたいと思います。いつ頃から、どのようなステップで開発を進めていったのでしょうか。


内山:具体的にプロジェクトを進め始めたのは2020年冬頃です。チームは3人で、新発売される7品の商品開発を同時並行で進めていきました。マイルドエッセンスソープは、私がメインで担当した商品です。



―7品を同時に進めるのは大変だったのではないでしょうか。


内山:どういう商品構成でいくのかを考えるのに時間がかかりましたね。トワニーが謳っている「美しさのリズム」(=美容のタイミング)を大切にし、使い分けられるものがいいのではと考えたのですが、そこから肌悩みやニーズに合った処方を考えるのに2ヵ月ほど要しています。3人で自社、他社問わず60種類以上の洗顔料を試し、どういった使い心地にしようか精査しました。1日に3回以上洗顔したこともありましたね(笑)。




―商品のコンセプト作りについてはいかがでしょうか。


内山:トワニーは店頭カウンセリングを介してお客様にお届けするブランドになるので、販売に関わる担当者にもオンラインでヒアリングをし、ニーズを聞いていきました。そうして話を聞く中で思い至ったのは、肌あたりが優しい感触であることに加えて、「ワクワクできるような洗顔料を作りたい」です。私自身も乾燥で肌がゆらぎやすいときがあるのですが、その時の洗顔は、いつも以上に「面倒くさい」「仕方がない」と作業じみたものになりがちだと感じています。そんな義務的な洗顔ではなく、洗顔のお手入れ時間が楽しみになるようなものを目指したいと思いました。



―研究サイドとはどのようなコミュニケーションを取って進めていったのでしょうか。


内山:処方担当の福田さんには「保湿成分として美容液成分を配合し、うるおいを保つ洗顔料を作れませんか」とお願いしました。ただ、新たな処方を立ち上げてもらえるとまでは思っていなかったので、驚きましたね。いいものを作ってもらえてうれしかったです。マイルドエッセンスソープは、うるおいを「守る」だけでなく「与える」処方ということから、「うるON洗顔」というコピーが生まれました。




福田:社内では、新規処方の提案になるため、周囲からは様々な心配をするお声をいただきました。しかしながら、挑戦を重視する企業風土のお陰で、各部署から理解と協力を得ることができ、トワニーマイルドエッセンスソープの発売に辿り着くことが出来たと思っています。


特に、商品開発チームとの提案価値についての議論や雑談といったコミュニケーションは非常に大きな力になりました。日本では、泡立ち方などが重要視され、ふわふわでもっちりした濃密な泡が好まれる傾向にあります。その傾向と比べると、トワニーマイルドエッセンスソープの泡は物足りないように感じられるかもしれないと思いました。しかしながら、今回1番特化させたかった価値はうるおいを与えることです。そこを内山さんたちと何度も確認し、コミュニケーションしながら進められたことが、洗いながらうるおいを与えるトワニーマイルドエッセンスソープの誕生に繋がったと思っています。





―新商品(7品)の開発でこだわった点はどこですか。


内山:使い心地と香りですね。肌あたりがマイルドなのに汚れを取り去り、しっとりつるつるに洗い上がるところにこだわりました。香りの部分では、新商品(7品)の中でリラックス感のある香りに包まれてお手入れできるもの、リフレッシュ感のある香りに包まれてお手入れできるものとの2種類に分けて検討しました。マイルドエッセンスソープは前者で、リラックス感のある香りに包まれたい時のイメージ作りから考えました。



―マイルドエッセンスソープの香りのイメージは「カームリズムアロマ」。月光浴がテーマですね。



    イメージ



内山:はい。カームリズムアロマの香りのイメージ画像を探していて「月光浴」に行きつきました。落ち着いて自分と向き合う時間という部分に親和性を感じ、ぴったりと感じたんです。「美しさのリズム」のイメージに合っているなと。アロマには詳しく、「ゼラニウムは入れてほしい」とオーダーしました。ただ、なかなかイメージした香りにならず、10回ほど試行錯誤して今の香りが出来上がっています。



◆マイルドエッセンスソープでの洗顔で、リラックスタイムを



―あらためて、本プロジェクトの感想をお聞かせください。


福田:化粧品では、使える成分が限られていますし、自社の既存商品となかなか劇的な違いを打ち出せないのも現実だと思っています。とはいえ、例えば、お客様が私の製品に期待して買ってくださっても、「従来の製品とあまり変わらないな」と思われたら、申し訳ない限りです。お客様の期待に応えるため、今回のトワニーとの連携では、可能な限り攻めた処方にしたいという想いがあり、ある程度は達成できたと思っています。しかしながら、洗顔料の新しい価値は、肌にうるおいを与えるに留まらないはずなので、今後も「洗顔料で美しくする」可能性を広げるために、もっと挑戦していきたいです。また、世界に目を向けると、化粧品は肌をきれいにできればいいのではなく、環境負担も考えたものが出てくるなど、化粧品価値に変化が見られます。今後は、肌に対する価値は当然として、他の価値にも注力した商品を生み出し、日本のお客様にも最先端の化粧品価値に触れていただく機会を作りたいと思っています。


内山:マイルドエッセンスソープのモニターアンケート結果(2021年 トワニー調べ n=77)を見ていて、多くの方が、環境の変化による乾燥で、一時的にバランスを崩しやすくなることがわかりました。「マイルドエッセンスソープはリラックス感のある香りを感じられた」とコメントもいただけたので、ぜひこれから使っていただく方も、マイルドエッセンスソープで気持ちよく洗顔していただいて、気分が上向きになってもらえたらいいなと思っています。「洗顔が面倒くさいな」と思うときでも、少しでもリラックスできる時間を過ごしてもらいたいですね。







福田一輝:花王株式会社 スキンケア研究所

これまでもKao Beauty Brands各ブランドを代表する洗顔料の研究にチャレンジングに関わり実績を積んできた、まさに“洗顔”のヒットメーカー。











内山ひろみ:花王株式会社 商品開発

マーケ部門での経験を経て、商品開発部門へ。トワニーではブライトニングラインをはじめ、様々な商品に携わる。マーケ・開発を合わせて、トワニー担当歴は11年。












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