「利用者が伸びない！」－動画デザインをまるっとリニューアル！苦境を打破した製作スタッフの奮闘記

グッドラーニング！製作スタッフの小笠原さん(左)と古河さん(右)

●必ず喜ばれる。自信を持ってリリースしたサービスだった。しかし－。

「グッドラーニング！」はバスやトラックといった運輸事業者向けに様々な安全教材をeラーニングで提供するサービスです。今日はその中の一つ「トラック初任運転者講習」というコンテンツの裏側に隠されたストーリーをお話ししたいと思います。

プロのトラックドライバーになるためにはまず法で定められた「初任運転者講習」を受けなければなりません。時間は15時間以上。行うのは雇い入れた事業者です。

しかし人手不足と長時間労働が深刻化するトラック業界ではこの15時間の教育が事業者の大きな負担となっています。

「－初任運転者講習をスマホひとつで手軽に受講できるようにすれば必ず喜ばれる－」

そう考えたグッドラーニング！プロジェクトチームは2021年2月、15時間の研修のうち12時間をeラーニングでカバーした「グッドラーニング！トラック初任運転者講習」を開発。自信を持って世に送り出しました。オンラインで予約ができる専用システムを構築しプロモーションも積極的に展開。

しかし、初年の年間利用者は見込みを大きく下回る150名程に留まりました。

●eラーニング学習は見やすさ、分かりやすさが命

eラーニング学習は動画とナレーションで学習を進めていくサービスです。

プロジェクトリーダーはここに改善の余地があると考え、リリース１年目にしてオールリニューアルを決断。

当時、別のコンテンツ製作を行っていた製作スタッフの小笠原さんと古河さんにミッションが託されました。

小笠原さん

―最初に話を聞いた時はどうでしたか

小笠原：不安の方が大きかったです(笑)。でも私たちが以前に製作したコンテンツのデザインを高く評価してもらってのオファーだったのと「必ず役に立つサービス。もっと利用者を増やしたい」というメッセージは前々から聞いていたので自分たちにできるのならやってみよう！と引き受けました。

古河：私たちにできる「デザイン面での勝負」というのであれば挑戦してみたい！というのは二人ですぐに一致しました。

－どのように作業を進めていったのでしょうか

古河：現場を知るセールスチームの方にも一人加わっていただき、改善点を探すところから始めました。

小笠原：見やすさ、分かりやすさという視点で動画全12時間、スライド全715ページを繰り返し見ながら皆でひたすら改善点を洗いだしていきました。

教材を構成するスライドの各ページ、そこにあてるナレーション、それらを組み合わせた動画のひとつずつをコンセプトに照らし合わせて分析していく作業です。

古河：例えばナレーションで「山道」を「さんどう」と読むシーンがあるのですが「さんどう」も誤りではないけれど一般的には「やまみち」と読むのでは？という感じです。改善点に気づいた人がそれを修正報告シートというスプレッドシートに記載し、その修正が妥当かどうかを皆で検証し、必要であれば修正していく―その繰り返しです。

古河さん

－けっこうなハードワークですね

小笠原：時間との勝負でもありまして。依頼をもらったのが2021年の10月で翌年の4月にはリニューアル版をリリースしたいということでした。そうすると遅くても２月には完成していないといけません。3ヶ月でやらなくちゃね、という感じでした。

－「動画の見やすさ」という点で重視したポイントはどうでしょうか

古河：それまでの動画は間延びしていてとにかくテンポよく！というのは２人で統一したポイントです。「見ていて飽きのこない動画」というのは一番に考えていました。

小笠原：それまでは一枚のスライドに長々と説明が入っていたりしたのですが、スライドを分割し次々と展開をさせていくように心がけました。

ナレーションが字幕を読み終わったら、次の字幕が出てくるのではなくスライドを切り替える。

一枚のスライドの中に情報が多いというのはやっぱり分かりづらいんですよね。

長時間の動画なのでイラストも出来るだけシンプルにして、ポイントを分かりやすくするような工夫もしました。

古河：講座は全部で15本あり半分は小笠原さん、半分は私がデザインしたのですが２人のカラーが違ってしまうと見ている方は違和感を感じますよね。

本当は２人で作っているのですがそれを１人が作ったように見せる、という点を大切にしました。

イラストや文字の配置といったデザイン、スライドの切り替えのタイミングなど、全体のイメージというか足並みを細かく合わせていくというのはお互いにずっと意識していました。

●緻密なリニューアルをしても受け入れられるとは限らない－それでもひたすらに精度を高めていった

－そうして完成したリニューアル版。完成度はいかがでしょうか

古河：実はここまでの作業を終えても「これで完成！」とはしなかったんです。

リニューアル版は「改正版」なのでミスは絶対に許されません。完成した動画をさらに最初からもう一度皆でチェックしました。

誤植は当然ですが、スライドの切り替えのタイミングはおかしくないか、字幕の言い回し、単語の使い方に不自然さはないか・・・目を皿のようにして、何度も同じ動画のチェックを行いました。

何度も見過ぎてだんだん見慣れた風景のようになっていって何が正解か分からなくなってしまい(笑)何とか集中を切らさないよう頑張りました。

小笠原：完成したリニューアル版でも修正報告シートを作り、リニューアル前に行った作業と同じことを一から繰り返しました。動画を見て誰かが修正すべき点に気付いたらその箇所をチェックシートに記入し、担当者が修正を行う。そしてちゃんと修正されているかダブルチェックを行い、修正されていれば完了チェックを入れる。これでようやく一つの修正が完了です。

結局、完成版でも519ヶ所を修正しました。