大学生の考えた日記が大ヒット。地方の中小企業が大学とタッグを組んで仕掛ける、2年目の物語。
手帳製造・OEMを手がけて69年の伊藤手帳株式会社(本社名古屋市:代表取締役社長 伊藤 亮仁 以下、伊藤手帳)は、愛知大学キャリア支援センター(愛知県名古屋市)の低年次キャリアデザインプログラム~CAREER FIELD~と連携した「CF日記制作プロジェクト(以下、本プロジェクト)」を2022年10月-2022年12月まで実施しました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000088.000031231.html
本プロジェクトでは伊藤手帳の技術力に学生の視点を組み合わせ、新しい日記の開発と製品化・販売まで一貫して行います。学生のアイデアを集めるだけではなく、製品として世に送り出す事を目的としています。2021年より本取り組みが開始され、2年目となりました。1年目にあたる2021年はCF手帳制作プロジェクトとして1学期(セメスター)毎にわかれた『ワンセメ手帳』を学生さんが発案。伊藤手帳が製品化しました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000064.000031231.html
今回は、本プロジェクト2年目の取り組みと結果について、伊藤株式会社 社長の伊藤から直接お伝えします。
■そもそも継続するのが難しい「日記」
プロジェクト2年目は手帳というカテゴリを日記へと変更しました。手帳を長く作りつづけていますが、自社開発製品(ユメキロックブランド)として日記を取り扱った事はなく、弊社として初めての取り組みです。
プロジェクトのテーマは「CF日記制作プロジェクト」。「CF」は愛知大学キャリア支援センターの低年次キャリアデザインプログラム~CAREER FIELD~から頂きました。
「そもそも大人でも日記を続けることが難しいと思いますが、スマホ世代いわゆるZ世代の大学生が日記をどう捉えるのか。どのような日記ができるのか不安でした。」と伊藤は語ります。
参照)プロジェクト開始前に行った自社アンケート結果
18歳~50歳男女6,601人に対して「日記を定期的につけているか」「日記をつける際主に何を利用しているか」スクリーニング調査を行いました。その結果全体の78.6%が定期的に日記をつけていないという回答となりました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000071.000031231.html
■スマホネイティブ世代は「紙」に書く事への抵抗感が強い
本プロジェクトのプログラムは以下の通りです。なお、参加学生の募集は愛知大学キャリア支援センターが行い、最終的に今回は愛知大学の学生1・2年生18名6チームの参加となりました。
- キックオフ・現場研修(工場見学)
- 製品開発ストーリーと販売戦略を学ぶ
- 新製品日記企画(グループ別)
- 企画案発表・選考会 :最優秀チームの企画を製品化
- 仕様決定会議
- 完成品発表会
- 販売プロモーション開始
- 販売開始
2講座目は愛知大学豊橋校舎まで伊藤と社員が出向き、製品開発のポイントを主に講義しました。アカデミックな観点ではなく、消費者としてどのようなものなら「お金を出して買いたくなるか」をポイントに話を進めました。
この講義は後半で「大学生にとって日記とは?」というグループワークを行います。
「この時、実際に学生さんから出てきた付箋を見ていてとても心配になったものです。スマホ世代と頭で理解していながら紙に対する抵抗感が強い傾向があり、果たして製品化に向けて相応しい企画案が出てくるのか。非常に心配しておりました。」と伊藤は振り返ります。
■最優秀チームを決める選考会まで期間は約2週間
一抹の不安を感じながらプロジェクトは粛々と進んでいきます。
最優秀チームを決めるプレゼン選考会までの期間は2週間。通常の製品開発現場でも短期間で優れたものを考えるのは難しい事です。
これは学生さんたちにとって心理的・時間的にもプレッシャーがかかるのではないかと思っています。
伊藤手帳との連絡手段はチャットツール。質問はグループチャットを通して行います。特に仕様に関しては、出来るものと出来ないものがあるので事前にしっかり聞いてもらいます。
またプレゼン選考会の当日の出来で最優秀チームを決めるのではなく、事前に提出する企画骨子案を重要視する決まりとなっています。
企画骨子は
「誰のための(WHO)」
「その人たちにどう役立つのか(WHY)」
「そのためにどのような日記を考案したのか(WHAT」「どうやってその日記をその人たちに伝えるのか(HOW)」
をワードファイルへテキストで記述してもらう形式。
(プロトタイプがあれば写真やイラスト原案も添えてもらいます。)
これは「製品化できない企画案」でプレゼン選考会に挑むというリスクも排除しています。企画骨子を弊社でチェックしOKが出たチームはその後プレゼン選考会用の資料を作りこみます。
愛知大学キャリア支援センターの低年次キャリアデザインプログラム~CAREER FIELD~には「学生の社会人基礎力の養成や、望ましい就業観の醸成を目的として、現場(FIELD)理解に貢献する実践的な学びを創出する」事が織り込まれています。そのような観点から弊社が商品開発を行う手順を学生さんに経験してもらいます。
■最優秀チームを決めるが主力戦場となる販売場所は伊藤手帳がサポート
2022年10月27日にCF日記プレゼン選考会が行われました。
当初の不安は全く吹き飛びました。どの案もよく練られ、製品化も問題ないものばかりだったのです。審査員(伊藤と弊社社員)も意見が分かれましたが1案選びました。
それが『3STEP日記』です。
選考理由は、大学生だけでなくビジネスパーソンまた高校生等幅広い年代層でも使える仕様である事。
3STEP日記のプレゼンを聞いている間に「私ならこう使おう」と具体的なイメージが沸いた事も選考理由の1つです。
素晴らしい企画を出してもらった後、伊藤手帳に課せられた使命は2つ
1.完成品発表会までに製品化する事
2.弊社のECサイトで売れる製品として仕立てる事
1について。試作品作り、工場の工程に滞りなく入れ込む調整力が必要となってきます。特に、手帳カバーの部分は手作業による工程も多く、時間に追われます。実は、愛知大学の卒業生が手帳カバーの工程の一部を担当しています。「後輩達が考えた手帳を世の中に送り出したい。」「沢山の人に使ってもらいたい。」そんな願いも込められ作られました。
2について。学生さんが考えたものを「売れる」商材へと言語変換・ビジュアル変換を行う必要があります。3STEP日記の特長を捉え、なおかつ学生さんの意図からずれないECサイト作り。これを短期間で行います。担当スタッフは他の業務も抱えていますので非常に大変です。
今回はビジネスパーソンや男性層にも訴求したい事から営業部の男性社員も交え、ECサイトの販売戦略を考えました。
特にキービジュアルは何度も作りなおしました。使った後どうなるかのイメージが伝わるよう工夫しました。
▼ECサイト担当者が「これなら伝わる!」と自信をもって作った3STEP日記のキービジュアル
普段は自分たちが考えた企画でECサイトを作ります。一方本プロジェクトの場合、学生さんが考えた案を基に制作をしていきます。そのため「その製品のもつ良さを見極める」「どう表現するとサイトへ来た人に納得してもらえるか」といった事が通常より求められます。これが「スタッフ達のスキルアップにつながっていると実感しています。」と伊藤は語ります。
また、「全社的に学生さんを応援したいという気持ちがあります。完成した製品を手にとった時の学生さんの笑顔。これを見たくて忙しい中でも本プロジェクトを行っています。」と伊藤は強調します。
▼工場から届いたばかりの3STEP日記完成品を開封した直後の写真。喜ぶ発案者の大学生たちの笑顔。
■初回生産分はあっという間に完売
当初の販売は12月23日でした。しかし、12月8日にECサイトを公開した後の反響が大きく、急遽予約販売ができるように整えました。
その予約販売で初回生産分をあっという間に完売し、追加生産を決めました。
「反響が大きかった一番の要因は、今日の出来事・それに対する感情・次につなげる目標を1行ずつ上に積み上げる形式にあると考えています。自分の行動や思考を構造化して見る事ができるため自分を客観視したいビジネスパーソンのニーズと合致したのではないでしょうか。」と伊藤は捉えます。
【追加生産分予約開始】Z世代が考案した1日3行書くだけで自分を育てる「3STEP日記」。ビジネスパーソン需要を開拓
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000106.000031231.html
■次にチャレンジしたい事
当社は2021年11月にSDGs宣言「地域社会への貢献として、地域の次世代を担う人材との交流や育成機会の提供を行い、地域社会への貢献を目指す」を掲げました。この宣言に基づき2022年は本プロジェクトの他に、愛知県立一宮商業高校情報処理科と「地域企業と連携した製品開発の実践」に取り組み「高校生を中心とした若年層がワクワクする手帳」の企画・製品化を行いました。
この取り組みで製品化された、毎日が楽しく、前向きになる手帳「POZITE」は2023年2月17日より販売開始となります。
2024年2月には設立70年を迎えます。愛知大学キャリア支援センターをはじめとした学生さんとの取り組みの他に、新たな試みとして企業版「手帳制作プロジェクト」にチャレンジしてみたいと考えています。アイデアレベルですが社内研修の一環として一緒に取り組んでいただける企業があれば声をかけていきたい、と伊藤は語った。
【伊藤手帳株式会社について】
商号: 伊藤手帳株式会社
代表者: 代表取締役 伊藤 亮仁
所在地: 〒461-0034 本社:愛知県名古屋市東区豊前町3-42 TEL:052-936-2363
事業内容: 各種手帳の製造、販売、一般書籍の製造、ビニール製品の製造
資本金: 10,000,000円
URL:伊藤手帳オフィシャルサイト https://ito-techo.jp/
伊藤手帳ECサイト:ユメキロック https://www.yumekirock.com/
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