全国的にも珍しい公設民営塾「箱根土曜塾」が高い合格率を誇る理由とは?
「箱根土曜塾」は、箱根町が町内の中学3年生に高校受験対策の場を提供することを目的に開校した、公設民営塾です。株式会社城南進学研究社が運営を担い、オンライン学習教材「デキタス」を用いて生徒の主体的かつ協働的な深い学びを促進することで、短期間での学力向上に効果を上げています。
4年目のコロナ下となった23年度の高校受験では、昨年に続いて受講生の31名全員が志望校に合格しました。
なぜ、「箱根土曜塾」は高い合格率を誇れるのでしょうか。本記事では、全国でも珍しい官⺠⼀体の公設民営塾「箱根土曜塾」の、ICTとアクティブラーニングを活用した先進的な学習法を、学校教育ソリューション事業部部長の水野雅恭の話を交えつつ紹介します。
塾に通えない受験生を支援する、全国でも珍しい公設民営塾
箱根町には⼤⼿の進学塾がなく、以前は町内の中学3年⽣の約半数が、隣接する⼩⽥原市内または御殿場市内へ⽚道30分〜1時間強かけて通塾していました。家庭の事情によっては通塾をあきらめているところもあり、居住地によらず受験に向けて勉強できる環境づくりが課題でした。
そこで箱根町教育委員会は、塾に通いたくても通えない受験⽣を⽀援するため、2017年に公設の高校受験を目的とした学習塾の開校を決定したのです。水野は当時を振り返り、こう語ります。
「箱根町教育委員会さまの、“地理的な制約条件を乗り越えて高い教育サービスを町民に提供したい”という想いが、初回打ち合わせ時からヒシヒシと伝わってきました。弊社にとっても、箱根町まで社員や講師を派遣することのハードルは低くはありません。もちろん、志望校合格という結果も出さなければならない。しかし、打ち合わせを重ねるごとに、私たちスタッフも“教育企業としてこの熱い想いに応えたい”という気持ちが高まっていきました」(水野)
【開催概要】
対象:神奈川県足柄下郡箱根町に在住の中学校3年生
期間:例年8月上旬~2月上旬
場所:箱根町社会教育センター(神奈川県足柄下郡箱根町小涌谷520番地)
科目:英語・数学・理科・社会
HP:https://www.town.hakone.kanagawa.jp/index.cfm/7,14614,31,html
ICTとアクティブラーニングによる主体的かつ協働的な学びを実践
授業は約6名の生徒を1グループにして行い、講師は当社が運営する個別指導塾「城南コベッツ」より派遣。オンライン学習教材「デキタス」を視聴しながらの予習復習のほか、「デキタ‘sノート」の穴埋めや演習問題を解くことで学力を定着させていきます。
また、生徒間のディスカッションや発表等を行うことで、自ら考えて表現する能力が向上。ICTとアクティブラーニングによる主体的かつ協働的な学びを実践することで、
学習に対する主体性も醸成され、高校合格率が県平均を上回るなど、成績は飛躍的に伸びました。
「とてもまじめで素朴な、明るい生徒たち。しかし受験に向けた学習については慣れておらず、どこかのんびりしていました。この子たちを必ず合格に導く!と講師たちと語り合い、念入りに情報共有し、状況に応じて授業内容やクラス編成、演習問題量などを修正していきました」(水野)
週1回という少ない日数で最大限の効果を出すために、授業は9:00~16:00という長時間の設定。時には17時にまで及ぶこともあります。
「長時間なので、楽しく成長を実感できるように、一斉講義型ではなく参加型のアクティブラーニングを採用しました。結果、生徒たちは授業に飽きることなく、最終日まで通ってくれました。正直ほっとしましたね」(水野)
●「箱根土曜塾」授業のポイント
- 「デキタス」の授業動画でインプット、演習問題や穴埋めノートでアウトプットすることで、学習内容の定着を図る。
- 授業を「デキタス」が担うことで、重要事項が効率的に習得できる。また、板書を写す時間などを「デキタス」により省き、効率よく学習する。
- 必要な知識を確実に有してから演習を行うことにより、着実に成功体験を積んでいく。
- 自ら考え、発言することで表現力を向上させるとともに、学習に対する主体性を醸成する。
- 他者の回答を聞くことで、考え方の相違を理解する。思考力・判断力の向上に役立つ。
オンライン学習教材「デキタス」で学習内容がしっかり身につく
使用した「デキタス」は、“ワクワク”をキーワードに、学校の勉強を確実に理解することを目指し開発された小中学生用オンライン学習教材。教科書に沿った授業や多彩な演習問題が5教科すべてにラインナップされており、さかのぼり・さきどり学習で前の授業に戻ったり、先に進んだりできるほか、定期テスト対策問題を作成して挑戦したりすることも可能です。監修は、多くの生徒を合格へ導いてきた城南進研グループの講師陣。ポイントを押さえた授業と選りすぐりの良問で、学習内容がしっかりと身につくと、全国の小中学校や学習塾で導入が広がっています。
デキタスを使用した学習は、生徒本人はもちろん、保護者からも喜びの声を多くいただきました。
「生徒たちが、「箱根土曜塾」を楽しいと言ってくれていたのが、何よりもうれしいことです。私も講師たちも、毎回の「箱根土曜塾」が楽しみで、箱根町という町が大好きになりました。1期生はすでに大学生になっています。「箱根土曜塾」に講師として参加してもらうのが、今から楽しみです」(水野)
学びの個別最適化で「進学実績の向上」を目指す
「デキタス」を利用した重要ポイントのインプットと習熟度別演習によるアウトプットを組み合わせた手法によって、ICTを利活用した個別最適化学習を実現した「箱根土曜塾」。2017年の開校以来、神奈川県平均を上回る高い合格率を誇っています。
「生まれ育つ地域によって学習の機会が奪われてしまうのは、子どもだけではなく地域にとっても大きな損失です。箱根町教育委員会の方たちが、生徒の進学の夢を応援したいという想いを叶えることで、さらなる地域の活性化にもつながると確信しています。当社はこれからも、「デキタス」を活用して学習機会を広く提供することで、進学実績の向上を目指してまいります。」(水野)
【株式会社城南進学研究社について】
株式会社城南進学研究社は、総合教育ソリューション企業として「城南コベッツ」などの個別指導教育事業、「城南予備校オンライン」などの大学受験教育事業、「デキタス」などのデジタル教育事業を軸に、乳幼児・児童教育事業、英語教育事業、スポーツ事業等を運営し、「城南進研グループ」を形成。SDGsへの取り組みも強化しています。
ホームページ:https://www.johnan.co.jp/
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