「地域から新産業を創出したい」。兵庫県豊岡市のローカルベンチャーが、デカフェ専門ブランドを立ち上げた理由
株式会社モアカルは「地域の可能性を広げる」をミッションに置いた、兵庫県豊岡市発のローカルベンチャーです。開業以来、地域の雇用創出の為、地域企業のサポートや行政と創業支援の連携事業等をしています。
2023年より新産業創出の一環として、新たにデカフェ専門ブランドを立ち上げました。なぜデカフェ専門ブランドを立ち上げようと思ったのか。豊岡地域に対する課題感やブランドへの想いをモアカル代表の中村に聞きました。
中村 貴大 氏
株式会社モアカル 代表取締役CEO
地域社会の活性化で地方暮らしのイメージや実態をより良くしたいと思い、同法人を設立。若者雇用の増進や職業選択のバリエーションを増やし、移住やUターン促進を図るため、地域内外であらゆる活動を行なっている。
移住人気の高い兵庫県豊岡市。しかし、若者人口は減少の一途をたどっている
モアカルは、兵庫県豊岡市をフィールドに、企業向けの人事採用支援や行政と連携した移住創業プログラムを企画運営している、2022年創業のベンチャー企業です。豊岡を更に発展していける地域にすべく、移住・関係人口の増加による持続可能なまちづくりを目指しています。
豊岡市は2021年に芸術文化観光専門職大学という4年制大学が新設され、近年では毎秋に豊岡演劇祭が行われるなど、特徴的な活動をおこなっています。そのおかげもあり、人気移住地域を表彰する「SMOUT移住アワード」で2020年度は全国1位、2021年度、2022年度は全国3位になるなど、全国的にも徐々に認知が広まってきた地域でもあります。
ただ実態としては、まだまだ若者の人口比率は年々減少中。都市部との文化や経済レベルの乖離も大きく、このままでは「つまらない街」になってしまうのでは…と、危機感を抱いていました。
「ココロオドル仕事」の創出で若者人口を増やしたい
「若者が能動的に集まる、持続可能な地域にする」方法は「若者が働きたくなる仕事の選択肢を増やす」ことだと考えています。ココロオドル仕事は豊かな暮らしをもたらし、人生の幸福度を向上させます。
私たちは、2022年に創業し、以降は行政と連携した移住&創業を目的とした支援プログラムの企画運営や地域企業の組織開発サポートなどを行ってきました。それは全て「若者が働きやすい地域づくり」というミッションのもと、このような活動を続けてきました。
(↑移住&創業支援プログラム「トヨオカアイデアキャンプ」の最終発表会時の1コマ)
都市部と同様の成長産業の展開や、この地域にしかない独自産業の創出。私たちはそのような仕事を地域で広げていき、次世代に明るい未来を提示することが地域の持続可能性を高める一つだと思っています。
その一環として、私たち自身も雇用を生み出すことができる、成長可能性の高い新産業を立ち上げる必要があると思い、新事業の開発を決意しました。
産前産後のママや健康意識の高いユーザーに支持される、成長著しい「デカフェ」に注目
豊岡では長年「幸運の鳥」コウノトリの野生復帰の活動が行われており、その言い伝えにあやかり観光客が訪れるなど、いまや観光資源の一つになっています。観光客にもっと寄り添ったもの、そして、この地だけでなく、もっと他の場所でも必要とされるものを作ろうと考えた結果、行き着いたのがデカフェ(カフェインレス、カフェインフリー)飲料ブランドを生み出すことでした。
コウノトリの言い伝えにあやかって豊岡市を訪れる観光客の中には、子宝や安産を願う方や健康祈願や安全祈願などの思いを抱える人も多くいます。そのような人たちにとって「身体に優しいデカフェ」が必要とされているのでは、と考えました。
また、市場としても徐々にデカフェの需要は高まっており、いわば成長産業といわれる商品でもあります。デカフェという機能性に特化した事業を行うことにより地域と企業認知の拡大や、大手飲料メーカーができないような小〜中ロット在庫での高品質商品の展開、独自ルートの形成、デカフェ飲料研究による製品価値・機能価値の向上にコミットできるという強みが作れると考えました。
豊岡の老舗焙煎所による確かな技術で、高品質のカフェインレスコーヒーが誕生
コンセプトは、「ココロと、カラダに優しいデカフェ」。デカフェ飲料ブランドの第一弾として、カフェインレスコーヒーの開発に乗り出しました。カフェインレスコーヒーのイメージである「風味が薄い」「飲みごたえがない」「なんか、キマらない」。このイメージを払拭すべく、私たちにはコーヒーとしてのクオリティを高められる強力なパートナーが必要でした。
テーマは「暮らしに馴染みやすい味わいや風味の再現」。この課題をクリアするため、1930年の創業以来、豊岡市の喫茶店などで愛される珈琲豆を製造する焙煎所「ヒグラシ珈琲」さんにOEM製造の協力を依頼しました。
2022年に共同開発を開始し、2023年に入ってフレーバーが完成。ヒグラシ珈琲さんにはレシピ作成の段階から多くのアドバイスをもらい、ブレンドの配合率や焙煎具合の調整など、何度も試飲と試行錯誤を重ね、コーヒーと遜色ない、味わい深いカフェインレスコーヒーが実現しました。
手に取った人に癒しと安らぎを。デカフェ飲料ブランド「CUNAE(クーネ)」
第一弾のカフェインレスコーヒー完成とともに、デカフェ飲料ブランド「CUNAE(クーネ)」が誕生しました。手に取った人に癒しと安らぎを与えたい、その願いをCUNAE(ラテン語で「ゆりかご」という意味)というブランド名に込めました。
デザイン監修は、地元を中心にアーティスト活動を続けている余根田直樹さん。彼の代表作品は「コーヒーアート」で、作品にドリップコーヒーを使用し「視覚だけでない、五感を刺激するアート」を展開しています。以前、モアカルのコーポレートロゴのデザインでもお世話になり、今回のデカフェブランドとの親和性も非常に良く、協力頂くことになりました。
周辺各地でイベント出店中。今後はコーヒー以外にも展開
現在は観光地や商業施設、地域のコミュニティスペースなど、豊岡周辺各地でイベント出店をおこなっていますが、さらに自社ECサイトやECモール、ふるさと納税ポータルサイトを経由したオンライン販売も予定しています。直近では商品バリエーションの拡大を目指し、季節にぴったりのデカフェのアイスコーヒーリキッドの販売・提供も計画しています。
CUNAEは、デカフェという機能性をコンセプトに置いたブランドです。今後はコーヒーだけでなく、ルイボスティー・ソイミルク・漢方を使用したクラフトティーなどの製品化も夢に描いています。
私たちはCUNAEを通じて、デカフェの機能性を広め、いつかこのブランドが「デカフェを求める方に、最も手に取りやすいブランド」になることを願っています。そして社名のモアカルの由来である「MORE LOCAL=地域の可能性を広げる」ことを実現し、地域社会を明るく照らせるよう、さらに邁進していきます。
■ブランド概要
「CUNAE(クーネ)」
"ココロと、カラダに優しいデカフェ"で、健康増進&地方の可能性を広げる。
コウノトリ舞う兵庫・豊岡から生まれたデカフェ(カフェインレス)飲料ブランド。豊岡には多くの”健康を願う人・子宝を願う人”が訪れます。私たちはその地域親和性の高い機能を持ったデカフェの開発を進めています。
地方から世界に通用する産業を創出し、更なる地域発展を目指しています。
株式会社モアカル:https://moacal.co.jp/
クラウドファンディングサイト:https://camp-fire.jp/projects/view/662400?list=food_popular
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