登録者数128万人！ストレッチ系YouTuberオガトレ、カツオのプロテインバーを開発。創業エピソー

株式会社OGATOREは、2020年に誕生した宮城県気仙沼市を拠点に活動するヘルスケア・テクノロジー企業です。ヘルスケアに関する商品やサービスを展開するほか、動画配信に関する企画制作などもおこなっています。

代表取締役の「オガトレ」こと尾形竜之介は、YouTubeチャンネル登録数120万人超えの理学療法士です。ストレッチ関連商品を企画・開発しており、今回地元・気仙沼のカツオを用いたプロテインバー「かつおたんぱっくん」を商品化しました。代表の尾形より、YouTuber転身や創業のきっかけ、本商品開発の裏側についてお話しします。

カラダが硬くて困っている人をゼロにしたい。気仙沼の理学療法士、Youtuberに転身

株式会社OGATOREは、2020年に誕生した宮城県気仙沼市を拠点に活動するヘルスケア・テクノロジー企業です。代表の尾形は宮城県気仙沼市出身で、理学療法士という国家資格を持ち、8年間病院と施設でリハビリに従事してきました。

東北の海沿いにある気仙沼市は田舎で、丈夫な医療体制が整っているとはいえない状況。病院が遠すぎて行けずに困っている人や、病院の数が足りず夕方まで受診を待つ人を、尾形はたくさん見てきました。

多くの「体の不調・トラブル」はカラダの硬さから起こります。しかし実は、病院に行かなくてもなんとかできることも多いもの。ちょっと違和感が出てきたときに、じぶんでストレッチをすることで、痛みを軽くしたり、姿勢をよくしたりできるのです。

「家でストレッチをすることが当たり前になれば、目の前の患者だけでなく、全国の田舎で体の不調・トラブルで困っている人を助けることができる」。尾形はそんな思いで病院を辞め、全国を相手に発信ができるYouTubeでの動画配信を始めました。

「自分を大切に=ご自愛」気仙沼からストレッチ関連商品をお届け

「カラダが硬くて困っている人をゼロに」という目標を掲げ、Youtuber「オガトレ」として動画配信活動を始めて２年ほどが経ったころ。オガトレは登録者100万人を超える国内最大のストレッチチャンネルになりました。

ふと周りを見渡すと、コロナ禍で自宅でのトレーニングやストレッチ動画の需要が高まり、YouTubeに動画を投稿する人が増えていました。たくさんの動画があることは良いことなのですが、段々と不穏な動画が増え始めました。「たった10秒で治る！」「〇〇ができないとダメ」「病院に行かなくてもOK」など、視聴者の不安をあおり、注目を集める動画が当たり前になってしまったのです。

本来、ストレッチはじぶんを大切にするための手段で、日々、自分自身でカラダをメンテナンスすることで、今現在と将来の不安を減らしていくものです。過度な不安を感じながら、誰かに強制されておこなうものではありません。

そこでOGATOREは、皆さんのご自愛を応援し、ご自愛を広めるブランドとして、自愛の言葉になぞらえて「Gi（ジーアイ）」というブランドを、2021年４月に立ち上げました。「10年後のじぶんを大切にしよう」をテーマに、それを手助けするための商品をお届けするブランドです。国内製造・高品質にこだわり、ストレッチとの相性が良いものを地元・気仙沼からお届けします。

これまで、じぶんと向き合う時間を作るストレッチ専用コーヒーを第一弾とし、ストレッチ専用Tシャツ、手づくり「プロテインバー」を企画・販売してきました。

また宮城県内の様々な企業とタッグを組んで、体にいいものやグッズを開発して行く「宮城まるっとご自愛プロジェクト」も開始しました。

水揚げ量日本一・気仙沼のカツオを使ったプロテインバーの開発に着手

宮城まるっとご自愛プロジェクト・第二弾企画として、老舗かまぼこメーカーがタッグを組んで創業された「株式会社三陸フィッシュペースト」さんと商品開発をおこなうことに。2020年春、三陸フィッシュペーストさんにお声をかけていただきコラボが実現しました。

宮城県気仙沼市は生鮮カツオの水揚げ26年連続日本一の産地として全国に知られています。カツオ肉といえば、刺身やわら焼きなどは有名ですが、カツオを使用した加工品は多くはありません。タンパク質、不飽和脂肪酸、アミノ酸（BCAA）など豊富な栄養を備える食材でありながら、一般にはその良さが伝わっていません。

尾形は「魚食がもっと身近になれば」との思いから、魚の動物性たんぱく質の市場拡大を目指してフィッシュプロテインバーを作りたいと依頼。しかし、かまぼこには臭みなどを理由にカツオ(赤身魚)を用いることはなく、前例のない商品開発でした。

試作第一弾、おいしいものの「かまぼこっぽさ」が気になる

三陸フィッシュペーストさんと何度も話し合いを重ね、試作品第一弾が完成。まずはその味や香り、食感に驚きました。前述の通り、かまぼこの加工にカツオ（赤みの魚）を使用することは前代未聞。しかしカツオをペースト状で練り合わせるのではなく、フレーク状で練り合わせることでかまぼこにはない「フレーク感」を実現してもらいました。これによって、懸念材料であった「魚由来の生臭さ」は全く感じず、逆にいぶされた香ばしい香りを感じました。食感もまるでツナ缶を食べているような新しい感覚。

しかし見た目はプロテインバーではなく「かまぼこ」でした。かまぼこが悪いというわけではありません。かまぼこにもたんぱく質は含まれており、そのままでも充分おいしいです。しかし私たちは「フィッシュプロテインバー」をつくりたい。そしてプロテインバーと謳うには少ない、たんぱく質量8.0ｇ。

そこで新たに「かまぼこから遠ざけた『フィッシュプロテインバー』をつくりたい」と依頼。「フレークがバー状になったもの」というイメージでした。雑味がないこの美味しさをのこしたままプロテインバーをつくりたい。ここからさらなる試行錯誤が始まりました。

半年以上の試作・改良を経てフィッシュプロテインバーが完成

フィッシュプロテインバー完成までは簡単な道のりではありませんでした。「フレークがバー状になったもの」と一概に言えども、形状維持や食感には水分量の調整が必要で、思ったようにはいきません（硬くてぱさぱさになってしまう）。

カツオ単独では形をまとめるのが難しかったため、かまぼこ屋の魚肉ねりの技術を使っていただきました。いわゆるつなぎのようなものです。タンパク質量を残しつつ糖質量を増やさない、そしてうまみを残すように加工してもらいました。

三陸フィッシュペーストさんも私たちも「美味しいものを作りたい」という同じ目標を掲げているので、妥協はせず試作を重ねました。形状をバーやボール状にしたり、ロケット鉛筆のような繰り出し式を検討したこともありました。

開発に携わるスタッフの他、さまざまな方への試食などを繰り返し、半年以上の試作改良を重ねた結果、「フレーク感を残し、かまぼこらしくない形に変える」ことに成功。まるで「ツナ缶を食べているような」罪悪感のない食感と食べやすい味わいが特徴的なカツオ由来のプロテインバーに仕上がりました。

子供から大人まで、心も体も健康で笑顔あふれる世の中へ

形状をバー状に変更し、「この旨さなら内容量を増やしてもいいな」と思えたので30gから60gに増量しました。これによってたんぱく質量も17.6ｇまで増量。たんぱく質量以外にも配慮し、魚肉練り製品の塩分量が多いイメージを払拭出来るよう、塩分量を抑えました。

こうして「カロリーが低い」「ヘルシー」とは異なり、「高たんぱく・低脂質・低糖質・低カロリー」の”健康的”な、ヘルシーな「フィッシュプロテインバー」が完成しました。

子供から大人まで食べてもらいたいという思いから、親しみがわくキャッチーさ、タンパク質をイメージして「かつおたんぱっくん」という名称に。パッケージデザインは気仙沼のデザイン事務所「pensea（ペンシー）」さんにご協力いただき、「食べた後も破棄されない」「手に取ってくれた人たちの思い出に寄り添える」ものに仕上げました。