梅干しの楽しみ方を大きく変えた調味梅干を現代でも広く届けるために。創業125年を超える老舗メーカーの挑戦。
中田食品は明治30年創業の梅加工メーカーで、日本一の梅の生産地である和歌山県に身を置き、地場産業である梅を中心に事業を展開し、創業時より地域の農家の皆様とともに共存共栄の精神のもと歩んでまいりました。梅を素材に、お客様の健康で豊かな食生活のため、伝承の技を守りつつ、時代に合わせた梅製品の開発に取り組んでいくこと、また生産者とともに産地の維持・発展に積極的に取り組んでいくこと、そして事業を通じて地域社会の発展や環境負荷低減に貢献していくことが、中田食品の使命と考えております。
中田食品株式会社本社社屋
調味梅干というカテゴリーの誕生。酸っぱい梅干しから、裾野を広げた大きな発見。
和歌山県は去年で58年連続、梅の生産量が日本一となっており、全国の約65%以上という市場シェアを誇る産地となります。ただ昔から生産量が多かったわけではなく、70年ほど前には5%程度だったものが、梅の優良品種「南高(なんこう)」の誕生と、この地域で発展した高品質な梅干しを作る梅農家の技術のおかげで、多くのお客様に選ばれる梅干しとなり需要を増やしてきました。
薄皮で柔らかな梅干しを作るためには、樹上で完熟した南高梅を塩漬けすることが重要です。南高梅であっても、手もぎの青梅や追熟して黄色くなった梅では皮が硬い梅干しになってしまいます。そこで、紀州の梅産地では梅農家に塩漬けの一次加工を担っていただき、梅加工メーカーは梅農家で塩漬け・天日干しされた「白干梅」を仕入れ、脱塩、味付けの二次加工を行ない、商品をお客様へお届けしております。
紀州の夏の風物詩「梅の天日干し」
調味梅干の誕生は今から約60年以上前まで遡ります。そして現在も弊社の看板商品であり、調味梅干が全国へ広がるきっかけとなった「梅ぼし田舎漬」は56年前に誕生しました。和歌山県南部の郷土料理でもある青み魚の梅煮に使われる酸っぱい梅干しは、みりんや醤油と一緒に煮られるうちに塩分が溶け出し魚の旨味を含みます。子どもたちがその梅干しを取り合って食べていたシーンをヒントに、梅の酸味とかつお節のまろやかな旨味がバランスよく調和した味わいは口コミで全国に広がり、お問い合わせが殺到したことで通信販売につながっていきました。 当時はまだ宅配便などもなく鉄道を利用し、試行錯誤をしながらコンピューターシステムを導入してお客様のご要望にお応えしていた時代でした。
「梅ぼし田舎漬」のパッケージの変遷
時代に合わせて変化してきた調味梅干の変遷。多様な商品の誕生。
調味梅干の誕生以来、地域の梅加工メーカーが様々な工夫を凝らした梅干しを生産するようになり、かつお梅やはちみつ梅など現在に続くような人気の調味梅干が次々と誕生しました。現在では低塩でも日持ちがする調味梅干が数多く開発されておりますが、誕生当時は低塩化の技術も未熟で、長らく調味梅干としては塩分10~15%程度のものが主流となっておりました。
その後、製造工程での衛生管理や菌を抑制する品質管理などの効果もあり、20年前に現在の弊社人気№1商品の塩分5%「しらら」が誕生し、スーパーや土産物店、通信販売などで塩分5~8%程度の商品が多く見られるようになりました。
こういった環境の中、現在の梅干し製品は塩漬け・天日干しされた塩分20%以上の「白干梅」、店頭での主力商品である塩分5~8%程度の「調味梅干」、塩分4%以下の「減塩梅干」という大きく分けると3種類の塩分値に分類することができます。
実際にSNSなどでも「昔ながらの梅干しが食べたいが売っていない」、「昔、祖母の家で食べた梅干しがおいしかったが白干は酸っぱすぎる」などの書き込みも見受けられ、思い出の梅干しにたどり着けていない方も多くいらっしゃいます。幼い頃に食べた思い出の懐かしい梅干しは、今はあまり見かけられない塩分10~15%程度の調味梅干なのかもしれません。
誕生から約60年を経て調味梅干が直面する課題。一次加工への進出やITを活用して乗り越えるために。
一方、一大産地として発展してきた和歌山の梅産業ですが、売り上げ向上のきっかけとなった調味梅干の誕生から約60年を経た近年では、いろいろな問題が浮き彫りとなっています。
一番大きな問題は梅農家の高齢化と後継者不足です。需要がどんどん増えていた当初は、設備投資や作付面積の増加などにより収入も向上し農業に従事する若者が多くいたものの、樹齢が進むにつれ生産量の低下や近年の温暖化による気候変動などの影響で豊作不作の差が大きくなり安定収入につなげるのが難しくなってきています。
中田食品としても共存共栄の精神のもと、生産者の作業負担を一部軽減できるよう、青梅の塩漬け作業や天日干し作業を効率的に行える漬込み工場を整備し、塩漬け、一次加工の一部を担っています。
自社工場の大型選果機
また匠の技を持つ梅農家の漬け込み技術を自社でも再現できるよう、IT機器を導入して、塩漬けのタイミング、塩分濃度、期間やその他情報をタブレット端末で管理、出来上がりの品質との検証を行うことで、着実に高品質な梅干し作りを実現できるよう取り組んでいます。そしてDXの推進により漬け込み作業の初心者にも分かりやすく安全な作業環境を整え、県外からのワーケーションの普及にも努めております。
日本が誇る健康食品「梅干し」を時代に合わせて広い世代へ届けるために。
今年の初め「梅干し離れ」のニュースが話題になりましたが、東京スカイツリーのお膝元の東京ソラマチにある「立ち喰い梅干し屋」(株式会社バンブーカット運営)では連日若い方が行列で梅干しを食べに来られており、テレビなどのメディアにも多く取り上げられています。バンブーカットの竹内さん曰く、「若者の梅干し離れ」ではなく、「まだ梅干しに出会っていないのでは」という話を聞きました。
「立ち食い梅干し屋」の店内カウンター
梅干しはおにぎりや日の丸弁当などに代表されるよう日本のソウルフードであり、主産地である和歌山県の梅干しメーカーとしてはこのすばらしい健康食品を今後も日本人の食卓に残していけるよう、いろいろな努力を続けなければいけません。
新商品開発はもちろんのこと、新たな消費を促進するためにSNSを通じた情報発信や、ご飯だけではなく調味料として料理に使っていただけるよう管理栄養士さんとタッグを組んでのレシピ開発・食べ方提案や、他の食品メーカーとのコラボ企画などいろいろな取り組みを行っているところです。
梅とささみの和風パスタ
また今年は和歌山で開催されたTGC(東京ガールズコレクション)の地方イベントにもバックヤード出展し、モデルやインフルエンサーの皆様を通じ若い世代の方々に梅干しの魅力を伝えたり、「熱中症ゼロプロジェクト」への協賛で熱中症対策としての梅干しの活用を呼びかけています。
2025年、大阪で国際万博も開催されます。日本が誇る健康食品でおいしく高品質な和歌山県産の梅干しを世界中の方にもっと知っていただける機会にしたいと考えています。
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