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「住」から「食」へ。住宅管理会社が挑む、コミュニティ拠点「団地キッチン」田島の軌跡。

著者: 日本総合住生活株式会社

2022年8月30日、JR西浦和駅近くのUR賃貸住宅『田島団地』入口にある銀行跡地に、カフェ、シェアキッチン、ブルワリーを併設した複合施設「団地キッチン」田島が誕生しました。運営は、UR賃貸住宅や分譲マンションの維持管理業務をはじめとした集合住宅管理のパイオニアである日本総合住生活株式会社が行っています。


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オープンから約1年を迎えるこの施設では、自家焙煎したコーヒーや一汁三菜の定食を味わえるカフェやブルワリーで醸造したクラフトビールを楽しめるだけでなく、シェアキッチン会員による商品発売や、月1回のマルシェでにぎわいを見せており、地域のちょっとしたシンボルとなっています。


創立から62年目を迎えた当社がなぜ、この施設を開業し、運営することになったのか、オープン前からの担当者である上野がお伝えします。


なぜ住宅管理会社がコミュニティ拠点の運営を行うのか。

当社は、団地等集合住宅の管理、補修・リニューアル、住棟大規模修繕工事等を基幹事業とし、創業以来、一貫して団地を主なフィールドに業務を行っています。また、1960年代~1970年代に建設された郊外型大規模団地において、急速に進む少子高齢化、コミュニティの希薄化等が一般の都市居住地域より進行して喫緊の課題となる中、その解決の一助となるべく、当社では「生活利便性の向上」「多様化する住まい方や働き方に対応した環境整備」「コミュニティ形成支援」の3つの視点をもって、暮らし手や時代が求める共用施設等を整備・運営するライフサービス事業を展開しています。


中でも、団地地域の住生活に寄り添いながら、長く住み続けている方だけでなく、新たな居住者層を呼び込み、混じり合い、活動に広がりを持たせることが、団地地域のコミュニティ再生に肝要と捉え、「コミュニティ形成支援」に注力したコミュニティ拠点を運営しています。

駅前の銀行施設がATM営業のみになったことをきっかけに、「食」で地域活性化を目指す。

「団地キッチン」田島はコミュニティ拠点の一つです。ここはJR武蔵野線の西浦和駅から徒歩約2分に位置し、もともとは銀行の支店として機能していました。しかしながら、ATMのみの営業となってしまい、メインの扉部シャッターが閉じた状況が続いてました。当社は昔から近傍に研究施設を構えていることもあり、今後の駅前周辺のまちづくり推進や田島団地・地域の活性化に貢献したいと考え、銀行施設を「食」をテーマとしたコミュニティ拠点として再生しました。


店内の様子、奥にはシェアキッチンやブルワリーが見える


「食」は、老若男女を問わず身近なテーマであるため、「カフェ」「シェアキッチン」「ブルワリー」を備えた施設としました。家の中にあった家事・食事が外へ飛び出すことができるように地域の食の作り手と共創し、新たな食の発信源として、毎月「マルシェ」や「ワークショップ」を開催しています。これらの活動を通じ、団地に新しい風を呼び込み、若年・ファミリー層と高齢者層との交流を皮切りに、「地域を知り、愛着を育み、新たな魅力を創造する拠点」として地域住民の交流・自己実現・情報発信へと広がって、活動が地域に広がり始めています。

恥ずかしさより、次の踏み出しへと誘いたい。ブルワリーも併設する、「団地キッチン」田島のこだわり。

施設内にあるカフェ・シェアキッチン・ブルワリーの3つの機能はガラスで緩やかに間仕切ることで、中で何が行われているのか他の区画から見渡せる造りとなっています。特にカフェに隣接しているイベント用シェアキッチンは、イベント開催やお料理教室として使うことができますが、カフェ側から見られる状況にもなります。そのため、「恥ずかしくて使いづらいのでは」といった意見もありました。


しかし、当社が定期的に開催するイベントやシェアキッチン会員によるイベントが開催される頻度が増えてきたことで、何気なくカフェに来た人が「次回は自分も参加しよう」「何かやってみよう」と思ってもらえたり、お客様同士で会話されたりなど、交流が生まれてきている実感があり、「団地キッチン」田島としての風景となっているように思います。カフェスタッフの中にはイベント参加をきっかけとして、当施設の理念に共感し働き出すことになった方もいました。


シェアキッチンを利用した料理教室


「団地キッチン」田島には、珍しいことにブルワリーが併設されています。食をテーマとした施設で交流を活性化させることを考えた結果、自然に「お酒」がキーワードとして出てきました。お酒があれば集まる機会が増え、話が弾みます。通常であれば、アルコールの提供だけで終わってしまいますが、もう一歩踏み出したいと考えました。お酒を造ることはできないだろうか?と。偶然にもブルワリーで修行した経験がある社員が在籍していることが重なり、ブルワリーの立ち上げ企画が始まったのです。クラフトビール造りをすることになった経緯について醸造長兼コミュニティマネージャーの福田がお伝えします。



過去、他社によるOEM生産のオリジナルビールを作った経験から、クラフトビールはコミュニティの活性化や地域交流と非常に相性が良いと分かりました。また、クラフトビール造りは、野菜や果物、基本的にはどんなものでも副原料になりうることもあり、地域の特産品を使うことができます。イベントに合うオリジナルビールを考えていく中で地域の特産品を知ることができ、農家さんと交流するきっかけになったことや、醸造体験による新しい経験や関わりを得ることもできる。そうしたことから、自分たちでつくることで地域と積極的に関わり、取組みを重ねることで地域がにぎやかになるのではないかと考えました。


とはいえ、開業当初は機械操作に慣れるまで時間を要するなど苦労もありましたし、現在進行形で熟練度を高めていっている最中ですので、地域で育つブルワリーの成長も一緒に楽しんでいただければと思っています。


クラフトビールの仕込み


また、昨年(2022年)12月からシェアキッチン会員募集を開始し、シェアキッチン会員による特色ある利用も始まりました。製造業許可対応のキッチンで作ったものは、パッケージングすれば売ることができます。これはただ趣味で料理をしようというだけではなく、ビジネス寄りに踏み込んだものです。ちょっとした“商売”や“生業”に結びつくことで、利用者の方が自己実現し、かつ一緒に地域の活動を発信していってもらいたいと考えています。


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地域の魅力発信を行う場所としてのマルシェ。更に新たな魅力を想像することを目指して。

「団地キッチン」田島では、毎月、埼玉の旬を楽しみながら、地域のヒト・モノ・コトに出会えるマルシェを開催しています。屋外スぺースでは、地元の農家直売の野菜やシェアキッチンで作られたフード、特別に醸造したクラフトビールなどを販売。また、シェアキッチンを使った料理教室や、クラフトビールの醸造体験などのワークショップは人気の企画で、毎回多くの方に参加いただきリピーターも増え、施設の認知度が高まっています。


月1回開催のマルシェ


施設オープン1年を迎える2023年8月26日(土)には、UR都市機構と連携し、隣接する田島団地まで拡大した1周年記念マルシェの開催を予定しています。敷地内だけで取り組んでいたものが、外に広がっていき、地域の活性化につながることは非常に喜ばしいことだと感じています。


団地キッチン1周年マルシェのチラシ


今後は、マルシェをシェアキッチンの販路の一つとして捉え、会員との連携強化に役立てたいと考えています。将来的にはマルシェ自体の運営も、地域の方々が主役になることを目指しており、地域に根付いた持続性のある企画になることを期待しています。


シェアキッチンから巣立った人が、団地や近隣の商店街で開業することになれば、更に地域との連携が深まっていくものと考えています。「私はこの店の店主が『団地キッチン』田島で頑張っていた時代から知っているのよ」という地域の関係性は、目指すコミュニティの姿の一つといえます。


「団地キッチン」田島がきっかけで地域に根差したお店ができる。そういったことが少しずつ広がっていくと、場所や地域への愛着や誇りが醸成され、良い地域になっていくのではないか。また、地域の関係性が「この場所ならでは」というものにつながっていく。そんな未来に向けて、今後も「団地キッチン」田島を運営していきます。




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