コロナ禍の逆境をチャンスに変える、お客様と地域を結び付けるスーパーホテルの地域貢献プロジェクト。現場の熱意と主体性により継続している「ご当地結びスタ」とは
株式会社スーパーホテル
スーパーホテルは1996年の開業以来、「Natural, Organic, Smart」をコンセプトに健康でサステナブルなライフスタイルを提案するホテルとして、国内172店舗、海外1店舗を運営しています。「時代を先取りする創造的なホテル運営を通じ、お客様の活力ある社会活動、経営活動をお手伝いし、地域社会に貢献する。」という経営理念のもと、地域密着型ホテルとして地域活性化の様々な取り組みを行っています。
2019年以降世界中で大流行した新型コロナウィルス感染症はホテル業界のみならず、ホテル周辺の観光地や飲食店にも大きなインパクトを与えました。この危機的な状況下、ホテルとして地域貢献できることはないかと、空いた時間を活用し地域の魅力再発見によるお客様満足度アップ・プロジェクト「ご当地結びスタ」が2020年4月、本社と店舗アテンダント(フロントスタッフ)とのコラボにより立ち上がりました。
現在はスーパーホテルほぼ全国店舗に展開され、お客様から大変好評を頂いている「ご当地結びスタ」、このストーリーではコロナ禍の危機的な経営状況下、本部と店舗アテンダントの新たなチャレンジを振り返ります。
新型コロナウィルス感染症のインパクト、この機を好機と捉え、地域の良さを再発見した
2020年1月に国内で最初の感染者が確認されて以降、新型コロナ・ウィルス感染症は日本経済に大きなインパクトを与え続けました。スーパーホテルもこれまで経験したことのないほど稼働率が一気に低迷し、チェックインするお客様の数が、20人、10人と毎日減って行きました。そのような状況の中で各店舗のアテンダントはお客様を迎えられない寂しさから自らの存在価値を感じられなくなり、何をしていいかわからない状態となっていきました。また厳しい経済状況はホテル周辺の観光施設や飲食店も同じでした。このような中で宿泊するお客様からは遠くには行けないけどホテル近場でステイを楽しみたいというニーズがあり、「今こそお客様のため、地域のために地元の良さを再発見してアピールしよう!」そんな思いを持った一人の社員が立ち上がりました。
地域を知る現場が考えて行動できる仕組みこそが、お客様に地元の良さを伝えることができる
本社経営品質本部 執行役員 本部長の星山英子は1998年にスーパーホテルにフロントスタッフとして入社、2008年に研修センター支配人として人材育成を担当した後に経営品質本部で全国フロントスタッフの育成やトレーニングに従事、2022年より経営品質本部の本部長として顧客満足度向上やブランディングなどを担当しており、現場経験があるからこそアテンダントの悩みや喜びをよく理解していた一人でありました。
星山は部内のメンバーとともに早速本部主導のプロジェクト「ご当地マスターMAP」を2020年5月に立ち上げました。全国47都道府県の観光、グルメ、お土産の情報を全国の支配人やアテンダントから情報収集し、本部で全国ご当地エリアマップと都道府県ごとの観光・お土産・グルメを3つずつ紹介する配布物を製作して各店舗に配布しました。配布物は各店舗で作るのは大変だろうとの気持ちからデザイン制作・編集まで本部が行い約2ヶ月でマップを完成させました。
しかし、各店舗からの反応は星山が期待していたものとは異なりポジティブな反応は少なく、現場ではほとんど活用されませんでした。店舗に聞いてみると「広範囲すぎて使いづらい」「どのように使っていいかわからない」など厳しい意見が多く挙がりました。この時、「地域のことを一番よく知っているのは現場であり、現場が主体的に考え行動できる仕組みでないとお客様に本当の地元の良さは伝わらないと反省しました。」(星山)
星山はこのプロジェクトを通して現場は本部主導では動かないもの、各店舗が主体的に考えて自ら行動してもらうことの大切さを学ぶとともに、改めて全国170店舗に想いを伝えることの困難さを痛感しました。
熱意あるアテンダントの自由参加による「ご当地結びスタ」リベンジ・プロジェクト始動
新型コロナ・ウイルスの感染は第三波が到来し先行きがまったく見えない状況でした。
星山は経営に対する危機感を抱きながら、本部主導で失敗に終わった「ご当地マスターMAP」プロジェクトのリベンジを考えていました。
星山は全国各地の支配人やアテンダントから率直な意見を聞きまわりました。幸い、スーパーホテルの経営理念である「地域活性化」に共感している支配人やアテンダントたちは「地域を応援したい」という熱い想いを持っているのがわかりました。だからこそ、やり方はそれぞれの店舗に任せ、個性を生かしたコンテンツの製作を行うことが重要だという意見でした。
意見収集した情報をベースに2020年10月、星山は熱量の高いアテンダントの自由参加による半年間の新しいプロジェクトを立ち上げました。星山にとってはリベンジ・プロジェクトでした。今回は熱量の高いアテンダントに絞り込み、個々の意見が反映される小集団活動によるプロジェクト運営としました。第一期のプロジェクトには星山の思いに賛同した30店舗のアテンダントが参加しました。
プロジェクト名称は「ご当地結びスタ」に変更。「ご当地」、「結ぶ」、「人(スタ:イタリア語バリスタから)」の意味を込めた名称は、アテンダント自身がお客様とご当地を結ぶ架け橋としての役割という意味を込めました。地元が大好きで、地元の応援をしたいという熱意のあるアテンダントがホテル周辺の観光地や飲食店情報を改めて収集し、いかにご当地の魅力や情報を分かり易くお客様に伝えるか店舗ごとに工夫しました。
プロジェクトが社内で広がり、継続的な活動へ
メンバーは定期的にオンライン・ミーティングを開催してお互いの情報や進捗状況などを共有し、プロジェクトの最後には成果発表会を行いました。プロジェクトに参加したアテンダントはオリジナリティーあふれる様々なチラシを製作しました。
少人数で始めたこのプロジェクトは次第に社内でも認知され始め、特に第一期の活動を知った各店舗のアテンダントからのプロジェクト継続要望もあり、2021年10月から第二期、2022年4月から第三期と活動を継続していきました。
第一期の取り組みでは、スーパーホテル旭川店の「あえてお土産として選ばないかもしれない道民ソウルフード特集」があるお客様のツイートがきっかけで大反響となり、4,690件のリツイート、8,441件の“いいね”を獲得し、ネットニュースでも紹介されました。
“スーパーホテルで貰ったこれ、凄くよく出来てて永久保存版にしたい。よそ者にはすげーありがたい”、“これが全国のホテルにあったらよいですね”、そんなお客様からのツイートが溢れました。地元は知らないからこそ珍しいものがわかる静岡県出身の支配人と、地元を深く知っている道民アテンダントとの共同作業により生まれたアイデアでした。このアイデアは第二期の活動の中でシリーズ化され各店舗でも「ご当地ソウルフード特集」が作られました。
また、スーパーホテル新居浜店が制作した「QRコード付きGoogle MAP」はグーグルマップとQRコードを紐付けることでホテル近辺の飲食店、観光地案内や交通アクセスがスマートフォーンで簡単に分かる仕組みを作り上げた優れものでした。
このアイデアを考え付いたアテンダントの中村勇貴は「新居浜は海も山も近くおいしい名物がたくさんあり、そんな新居浜の観光ニーズをもっと開拓しようと以前から観光ブースの設置やパンフレットを充実させるなどお客様に現地の魅力を紹介していました。」
「ご当地結びスタに参加したのはこの活動を更に向上させたいと考えたこと、また他店舗がどのような取り組みをしているのか知る貴重なチャンスと思ったからです。普段他店舗のアテンダントと交流する機会があまりないので、勉強になるだけでなく楽しんで参加しました。」(中村)
新居浜店のこの取り組みは社内表彰制度のベストプラクティス賞に選ばれ、その後この取り組みが全国の店舗に展開されました。
「今回の取り組みが社内で評価され、全国展開されたのもうれしい驚きです。今までは紙の地図をお渡ししていましたが、スマートフォーン1つでスムーズなご案内ができるようになり、環境にも優しい取り組みによりお客様に喜んでいただけることが日々のモチベーションになっています。新居浜の観光情報ならスーパーホテルへ!と言われるのが私の夢です。」(中村)
「ご当地結びスタ」によるスーパーホテルの文化・風土作りにチャレンジ
2020年から始めた「ご当地結びスタ」の活動は様々な成果を上げながら現在3年目を迎えています。
「時代を先取りする創造的なホテル運営を通じ、お客様の活力ある社会活動・経営活動をお手伝いし、地域社会に貢献する。」という経営理念のもと、コロナ禍の厳しい状況の中で地域密着型ホテルとして地域活性化支援の一環として始めたご当地結びスタの取り組みは、各店舗が自主的に取り組んでいく風土作りのための全社横断的なチャレンジにもなっています。
「この活動自体まだ全国店舗には広がっておらず、全店舗のアテンダント全員が「ご当地結びスタ」という意識を持ってもらうことが必要でした。同時にお客様にももっと気軽にスタッフに地域情報を聞いてもらいたいと思っていました。」(星山)
部内のメンバーが各地の店舗にヒアリングをしながら、アイデアを出し合って決まったのが「Myご当地バッジ」の取り組みでした。
「Myご当地バッジ」とはアテンダント自身がグルメ、歴史など20項目から自分の好きな分野を表明してカスタマイズできるバッジをユニフォームに付け、ご当地結びスタとしての意識付けを行うための取り組みです。バッジの製作コストを抑えるため1,000個ほどのバッジを個人別にカスタマイズして本部スタッフがすべて手作りして各店舗に送りました。
「初めはバッジをつけるとなんでも答えられるようにならないといけないのではないか?と躊躇気味だったアテンダントたちも、バッジをつけることで意識も向上し、お客様からも気軽に尋ねていただきコミュニケーションのきっかけになっていると嬉しい反応をいただくようになりました。」(星山)
「ご当地結びスタプロジェクトの立ち上げ当初の目的は地域貢献活動でしたが、取り組みが進むにつれ、各店舗のアテンダントがお互いに刺激を受け、オリジナルマップやチラシを作ったり、店舗を巻き込んでロビーに観光コーナーを設けたり、それぞれに大きな成果が見られ当社の人財目標である【自律型感動人間】の育成にも役立つ取り組みになりました。」
「現場を巻き込んで文化にするには5年ほどの時間をかける必要があるということを改めて実感しています。今後もこの活動を継続しながら、お客様と地域を結ぶ全国結びスタの中から、特に優れたアテンダントを認証するなどこの活動をさらに進化させながら、スーパーホテルの地域貢献活動のさらなる深化と文化・風土作りにチャレンジしていきたいと思います。」(星山)
スーパーホテル 公式WEBサイト:https://www.superhotel.co.jp/
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