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江戸時代から続く邸宅に新たな価値を。クリエイティブカンパニーの株式会社トモダチが開業した、一棟貸切の古民家オーベルジュ「季舟庵」誕生ストーリー

著者: 株式会社トモダチ

企業と社会、地方と世界との関わり方を考え・つくるクリエイティブ カンパニー、株式会社トモダチ(本社:鎌倉市 代表取締役社長:梶友宏)は、 千葉県いすみ市の築200年の古民家を改修し、一棟貸切のオーベルジュ「季舟庵(きしゅうあん)」を5月に開業しました。


江戸時代から続く歴史ある築200年の古民家を改装した「季舟庵」は、東京駅 から特急「わかしお」で1時間17分、大原駅から車で7分。のどかな田園風景が 残る房総半島南部に位置する千葉県いすみ市釈迦谷(しゃかやつ)の一角にあります。

「季舟庵」は当社代表・梶友宏の父の生家であり、子どものころに過ごした祖父母の家でした。その家をどんな思いで、改装し、オーベルジュとしたのかを梶友宏が振り返ります。

きっかけは国内外の友人からの一言。新しく創ることのできない古民家の本物の価値を再発見した


この古民家は、10年ほど前に祖父がなくなり空き家となっていましたが、数年前に水回りなどを改装。家族や友人で別荘代わりに利用していた時、海外のカメラマンの友人が、、「Genuine.(本物だね)、新しく創ることができない、唯一の価値がある建物だ。」と言ってくれました。他にもアパレル関係の友人などからも同様の感想をもらい、”祖父母の家”という認識を改め、この古民家の価値を再発見するきっかけとなりました。


調べてみると、神棚に並ぶ祖先の位牌などから江戸時代後期の安政から続く古民家であったことがわかりました。家系図などから、脈々と続く歴史、先祖からのつながりを強く意識し、日本の歴史ある古民家を自分たちの子どもたちや、未来にも繋げていきたいと感じました。

減築により原形に戻したことで感じられた日本人の知恵と暮らし

改装するにあたり、建築家の友人、中島立人氏に相談し、増築された部分を原形に戻していく、減築をすることに決めました。「季舟庵」のシンボルとも言える茅葺でも瓦でもなく、銅板の屋根は、釈迦谷の中でも唯一のもの。かつていすみ市が郡だったころに、郡議会委員だった曽祖父が変えたものだといいます。その屋根を残しつつ、増築されてきた部分を取り除いていくと、まさに時代劇で見るような、侍が「頼もう」といって入る床の間へと続く玄関がより鮮明になっていきました。さらに先祖を遡ると、万木城の家老だったそうです。


壁には、江戸時代の当時の暮らしに近づけようと、漆喰を採用しました。漆喰の壁は、火災の多かった江戸時代に、防災の壁として積極的に採用されていったといいます。季舟庵の壁は、左官職人によって丁寧に4回塗り直しされ、仕上げてもらいました。



宿泊施設として改装された母屋の隣には、時代によって物置としてや多少住めるように改修された蔵がありました。その蔵を、レストランとして活用するため内装を剥がしてみると、壁の裏側から現れたのは、藁と石灰と土を混ぜた版築の壁でした。

仏教建築の伝来と共に飛鳥時代に日本に伝わったとされる版築は、その地域の材料(土)を使うことから壁材における文字通り地産地消の工法とも言われています。いすみの土壌は、版築に向いている粘土質が多く含まれており、同時に耐久性、耐火性にも優れ、機能的でもあります。西洋では木、石を使った建築が多いのに対して、土を取り入れた建築はまさに日本の気候、風土の中で培われた自然との共生方法でした。この版築の壁をそのまま活用し、レストランにしています。

祖父が創る現代アートのような庭を、いすみの里山と繋ぐ

日本人の庭に対する思いもまた、中途半端な物ではありません。生前の祖父は、破門された書道家であり、詩人であり、造形作家でした。祖父の創った庭は、一般的な日本庭園とは大きく異なり、さまざまなコンクリートのオブジェを創り庭に飾っていました。現在は、風化や父が撤去したため、コンクリートでつくった池とすすきをいけたおおきなオブジェのみとなっています。

そこで私は庭師の細矢氏と一緒に、庭にいすみの生態系を再現することを目指し「山取り」と呼ばれる手法で、近隣の山に自生している木々を所有者の方から譲ってもらい庭に移植しています。数年経てばいすみの里山や地域とのつながりを感じられる庭ができると、楽しみにしています。

他にも高台にはテントサウナを設置し、水風呂には古くからある井戸を水抜き・清掃し再生させ汲み上げた井戸水を使用しています。


「季舟庵」という名前は、名前は祖父の書道家の名前である「冬舟」から着想を得て、いすみの四季折々の美しさを感じて欲しいというおもいを込めました。

決して豪華な日本庭園ではないですが、訪れたお客様に古き良き日本、いすみの里山を感じて欲しいと願っています。


いすみの食材、魅力、文化を国内外へ伝える拠点を目指して

これまでオープンから支えてくれたシェフが、フランスに修行にいくこととなり、現在はいすみに縁のある日本料理の料理人の方が出張シェフとして料理を提供してくれます。また、地域の生産者との繋がりを大切に、地域イベントでの活用や参加を積極的に行っています。2023年5月には、大多喜にある蒸留所「MITOSAYA」のオープンデーに参加。10月15日には、無農薬の自然栽培米を生産する「つるかめ農園」さんの10周年イベントとして一夜限りの FARM TO TABLE「感謝のたね」を、「季舟庵」で開催します。


食事なしで予約されるお客様にはBBQ機材を無料で提供し、新鮮な海の幸や山の幸が購入できる周辺のお店や、観光地、食事処などを紹介しています。5月のオープン以来、国内のお客様を中心に、最近では海外のお客様の予約をいただくようになりました。

千葉県はインバウンドの観光地が少ないのですが、Instagramを通じていすみの自然や里山の風景に関心を示してくれる海外のお客様も多く、日本の田舎風景を守ることの大切さを実感するようになりました。微力ではありますが、「季舟庵」を通して、県外や国外 からの観光にきたお客様に千葉県の生産者やいすみ市の魅力を紹介する 「地産地紹」の発信拠点となることを願っています。



また今後の日本では、超少子高齢化や都心の一極集中により、限界集落が増えていくことが予想されています。一方で、観光立国を目指す日本において、オーバーツーリズム対策として観光客の地域分散が課題となっています。「季舟庵」のように、古民家の空き家を宿泊施設へ活用することで、これまで観光地として知られていなかった地域に海外からの観光客を呼び込むことができると考えています。


少し話は逸れますが、私は今年8月から宮崎県高鍋町の「歴史と文教の城下町たかなべ魅力アップアドバイザー」に就任いたしました。宮崎県とは全く縁のない私にご指名いただけたのは、同町の町長さんが「季舟庵」を訪れ、コンセプトとおもいに共感いただいたのがきっかけです。今、同町にある町指定有形文化財黒水家住宅の活用提案をしています。

海外の友人が言ったように、日本人の暮らし、文化を伝える「Genuine-本物」を残し、活用すること。これは、海外の方だけではなく、日本人の心にも響く、本物ものだけがもつ価値だと実感しました。だから未来へ、守り、残していきたいと考えています。







株式会社トモダチ 会社概要

小売りから飲食、医療福祉、ベンチャーまで様々な業態の経営課題の解決を中心としたブランドデザインを行う、鎌倉のクリエイティブカンパニー。 ミシュラン1つ星とグリーンスターを獲得したオールサステナブルレストラン「Noued. TOKYO」 の総合プロデュース、空き家を活用したいすみ郷土ガストロノミーオーベルジュ「季舟庵」の企画・運営なども行う。

https://tomodachiltd.com/

https://www.instagram.com/kishuann/

設立:2019年7月






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