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80代の著者さんもおられます。

【若手公務員必見!】改善マインドと制度設計スキルで、ルールは変えられる。『地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2023』を受賞した地方公務員の仕事術。

著者: 西東京市役所

西東京市の健康福祉部障害福祉課 課長 海老澤 功が、現役地方公務員が推薦する「地方公務員アワード2023」にて表彰されました。



この賞は、株式会社ホルグ(本社:神奈川県横浜市、代表取締役:加藤年紀)が主催する『地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2023 』によるものです。現役地方公務員の他薦により選出されるのが本イベントのユニークなところ。

海老澤さんは、「#ちょっとした地味な改善 #成功の陰に失敗あり」のタイトルで、成功事例と失敗した経験を合わせてオンラインで紹介していることが注目されて、他の自治体5名から推薦をいただき受賞となりました。

大きな成果の陰には、多くの制約を乗り越える工夫された仕事術があります。今回は、表彰事例と併せて海老澤流仕事術をご紹介します。

西東京市の健康福祉部障害福祉課 課長 海老澤 功ってどんな人?

「アイディアマンで、財政と行革の知識に長けた人」


西東京市(旧田無市)出身。就職氷河期に大学を卒業後、運良く日経優良企業上位の一般企業に就職。実はここでの「学び」が今の海老澤さんをつくっている。


就職したのは業務用機器を販売する会社で、徹底した「会社の粗利重視」。縦割りになりやすい大きな組織でも当時からかなり先進的で、横の連携と情報共有が徹底されていて、自分の担当以外の情報も幅広く知ることができる環境だった。

そのため、「会社」と「顧客」の両方のメリットを考えるときに「何が使えるか?」を自分の領域以外のことでも選択肢があり、「情報量と包括的理解の仕方」が自然と身につくことになる。


同時に「提案力」については、相手のニーズを会話の中から把握し、適切な提案をすることが求められた。適切な提案とは、広い視野で見た「メリットの提示」「心配事の払しょく」「未来のストーリー」そして「背中を押すキラーワード」が成功の秘訣であることも、業務の中でトライ&エラーを繰り返し身につけてきた。

また、企業の成長のためには常に「改善」が求められ、ダメだから改善するというよりも「より良くする」という改善思考の基礎を学んだ。


しかし、猛スピードで走り続ける中ふと我に返り、早朝から夜中まで働き、このまま走り続けられるのかを考えたとき、今でいう働き方改革を決断。

結婚し、子どもができ、家族との時間も確保できる職種として地元の市役所職員に転職。ただ、市役所職員だからと言って、みんなが思うほど甘くない。

残業もあればイベントなど土日も出勤し、夜は勉強会もある。

でも、地元で勤務していれば通勤時間が短い分、家族との時間は増える。仕事の成果を日常的に見てもらえるのも、住んでいるまちの職員ならではの醍醐味かもしれない。

働き方改革を目指し第2の人生として始めた公務員もすでに24年。苦楽ともにあるけれど、この仕事をして良かったと思っている。


子どもの頃から「こっちのほうが良いよね」「こっちのほうが面白いよね」と常にアイディアを出すことが好きだった。

自分の意見を言うことで、いろいろな人とぶつかったけれど、その意見を取り込むことで自分の力量以上の結果を残せた経験から、自分の意見に固執する気はない。

自分だけの知識では全てをカバーできないので、ほかの人の意見は必ず聞くし、良ければすぐに取り入れる。

役所勤めが長くなってきて、改善策を検討する場合は8割がた的を射ているつもりだが、それでも2~3割はいろいろな人の意見やアイディアを聴いて足したほうがいいことが多い。

学生時代から「地域のために」という熱い想いがあったわけではないけれど、「仕事はちゃんとやろう」という姿勢は変わらないので、その結果、今は「西東京市をもっと良くしたい」と強く思っている。

いつも穏やかな物腰なのに「生意気な口出しを…と苦々しく見られていると思う。でも強力な味方もいる。」と笑う。それは、疑問に思ったことをそのまま放置したり、違うと思ったことをそのままにしたり、見なかったことにはできないから。


仕事に取組むこの姿勢を、多くの公務員の仲間が評価して今回の表彰につながった。

海老澤流「改善」の極意

「改善力」を評価されることが多いが、最初から改善に着手するわけではない。

まずは任された仕事に対し、次の手順で考えるようにしているという。


  1. やめられないか?=無駄はないか?
  2. 他のことと一緒にできないか?=組み合わせて楽になったり相乗効果を高めたりできないか?
  3. 現状のあり方を一部変更し「より良く」できないか?
  4. 抜本的改善は必要か?


つまり、最初から変えることを目的にするではなく“より良く”の精神でポジティブに見ることが大事だと考えている。

会社も事業も世の中も、より良くするにはどうすれば良いかというところから仕事を組み立てていることが「財務や行革分析力」の基礎となっている。


「改善」は、3つのポイントで決定していく。


  1. 未来志向(持続可能か?世の中の流れに合っているか?)
  2. 情報の整理、分かりやすさ(より複雑になるものはNG)
  3. 便利さ(使う人の視点で考える)


これらを活用して小さな改善を積み重ね、組み合わせて実現できたのが、今回表彰のきっかけとなった事業所に負担をかけず市の財政負担を減らす公設民営保育園の民営化だった。

最も大きな成果を生んだ三方良しの「公設民営保育園の民設民営化」

きっかけは「財源確保」のための歳出カットの発想から

行財政改革計画の中で、多様化する新しい市民ニーズにこたえるためには、財源の確保が重要課題となっていた。「財源」をプラスで確保するとなると国や都からの補助金、保育料などの収入増、そして歳出の削減などいくつかの方法があるが、手を付けやすいのは歳出カット。ただ、これらに共通するのは、次の世代につなぐため、市の一般財源の負担を減らすことだとわかっていた。


子育てしやすい西東京市の実現には、待機児童をゼロにするための保育園の整備や、保育の質の確保、医療的ケア児の預かり、幼稚園を選択しやすくする入園料補助の創設、在宅で子育てをしている保護者を支えるための0歳児の一時保育サービスや子育ての悩みをサポートする専門スタッフを配置した地域子育て支援センターの増設など、やりたいことは山ほどある。

一般財源負担を増やさずに、これら全てを達成するためトータルで財源確保策を練ることが必要だった。

そこで、単純な民営化による歳出削減ではなく、より市民サービスを向上させながら新しいことができる歳入確保の実現に向け、チームで動き出すことになる。

課題は山積み…


誰にもデメリットがないので、みんなが賛成してくれると思っていた計画は、事業所や保護者の猛反対を受けた。

特に保護者の反対は「不安」からくるものだった。今思えば、当初は保護者へのメリットを示しきれていなかった。市のメリットは明確だったが、保護者が最も気にしている「子どもにとっては?」の部分の具体的に実感できる説明が欠けていた。

募集したパブリックコメントは200件を超える意見が寄せられた。

みんなのニーズや真意を把握するため保育園現場の職員からなる検討委員会で検討を深めた。また、事業者選定については1/2を保護者にすることで、保護者の意見を無視できない環境を整備。

職員が変わることへの子どもの心理的負担、公立でなくなることで保育の質が落ちないかなど、保護者が不安に思っていることをまとめ解決策を考え続けた。

起死回生の「保育の質のガイドライン」と「民設民営保育園の先行」


転機となったのは、「保育の質のガイドライン」を策定したこと。公立、民営を問わず現場の想いを吸い上げ、有識者のアドバイスも得ながら、保育園の在り方をまとめ、明示ができた。公立でも民営でも同じ保育の質を維持できるように、西東京市としての共通の保育の在り方や人材育成についても明文化したことで、保護者への説明に厚みが増し理解が得られ始めた。

また、土地は市が保有し続け長期貸付することや子育てに関わる事業以外には使えないようにするなど、不安を払しょくする条件を民間事業者との契約に盛り込んだ。


起死回生となったのは、民設民営化の実行計画では、課題の少ない3保育園を先行する計画に改めたうえで、まずは1保育園で成功事例をつくり問題がないことを見える化したこと。

当時、最初に理解を示し多大なる協力をしてくださった事業者や保育園園長や職員がいて、今の体制を築き上げることができた。

もちろん民営化がゴールではなく、これは次の課題や市民ニーズにこたえるための新しい取り組みの始まり。

次につなぐ働き方


令和5年4月には子ども家庭庁が発足し、令和6年度以降に中学校区を目安に地域子育て相談機関の設置が義務付けられた。


西東京市はこの取り組みにおいても一歩進んでおり、すでに公設公営保育園5か所に専門相談員が在籍する「地域子育て支援センター」を運営しているが、さらに中学校区ごとの地域子育て支援センター配置に向けた方針決定や関係機関との連携も進んでいる。


改善には「先を見る」「先を考える」つまり将来を予見することも必要だということがわかる。

海老澤さんは「いま目の前のことに一生懸命なことも大事だが、ほかの分野も見て、どういう社会やまちであってほしいかの未来図を考えるようにしている」と言う。

そして、目の前の分野だけでなく、ほかの分野にもいい影響があるように考えることで、全体が良くなるためのアイディアができるとも。


地方公務員は3~4年で部署異動があるため、一つの大きな事業を最初から最後まで担当することは珍しい。

だからこそ、「いまできることを一歩でも1ミリでも進めて、次につなぐことで、次の人がまた一歩進めやすいようにしたい」という海老澤さんの仕事の仕方が重要なのだと思う。

受賞して思うこと

写真左:健康福祉部障害福祉課 課長 海老澤 功 右:西東京市長 池澤 隆史 


「改善は、特別なことではないという意識と、日々の小さな積み重ねがとても大切で、一歩ずつ進めていくことが、確実な成果につながります。

思ったことを性急に行動してもうまくいかない。

しっかり考えて、制度を設計しプロセスを踏むことが、周囲の賛同も得やすく、その結果、改善スピードは速くなる。

そのためには「違和感に気づくこと」がとても重要です。

私は、人と話すことや話を聞くことが好きです。たくさんの人との対話がヒントをくれます。

私が管理職としていられるのはあと11年。定年退職までとしても15~6年なので、その間はとにかく立ち止まらずに進んでいきたい。しっかり対話を続け、楽しんで、一歩でも1ミリでも前に進め、私が100%の水準まで実現できなくても、それが後輩に引き継がれていって、誰かがまた一歩進めてくれれば未来に向かってどんどん良くなる。

あきらめないで改善を続けて、次の世代に繋いでいきたいです。

「こっちのほうが楽にならない?」「こっちの方がうまくいかないかな?」の声掛けをきっかけにして、会話の中でみんなのアイディアを結び、いい方向に進めていきたいと思います。


もやもやしたり、悩んだりしている後輩に伝えるとしたら、職場以外の人と積極的にかかわり、いろいろな情報に触れることの大切さです。いろいろな人の経験を見聞きすることで、視座も広がりますし、いろいろな立場で物事を考えられるようにもなる。

狭い世界だけで考えても答えがない時が多いので、市民の皆さんはもちろん、同業種、他業種の友人をたくさんつくるなどしてほしいです。」

取材を終えて…

同じ市の職員を紹介するのは自慢をするようで、きっと賛否両論があると思うと、どのように書くべきがとても悩みました。

ただ、実績と想いはたくさんの人に知ってほしいと考えPRTIMESストーリーで紹介することにしました。

このストーリーを読んで、ヒントを得たり、勇気づけられたりする人が一人でもいれば幸いです。

そして、西東京市や西東京市での子育てや障害者支援での取組に、興味をもって下さる方が増えると嬉しいです。

是非、私たちのまち西東京市を見に、そして体験しに来てください!

(西東京市 広報担当)


やさしさとふれあいの西東京に暮らし、まちを楽しむ

西東京市

https://www.city.nishitokyo.lg.jp/






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