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ストーリーの著者は、読者でもあります

【黙々作業からワイワイ賑わう"場"の創造へ】インキュベーション施設が単なる作業スペースにならないための『コミュニティの運営の秘訣』とは?

著者: Maho-la creative株式会社

今回のSTORYでは、創業支援コミュニティ(*)を実践している事例を持つ支援者に着目し、普段なかなか注目が集まらない「コミュニティのつくりかた」として支援側でそれを作っている人たちとの対談形式にてそのエッセンスをお届けします。


*創業支援コミュニティとは

広く創業支援を行うためのコミュニティ。インキュベーション施設など直接的に施設・空間を持つ団体や、起業塾の運営や起業家支援などを行う団体・自治体の職員が束ねるコミュニティの総称のこと。


マホラ・クリエイティブでは、これまで中小機構や様々な地域の創業支援コミュニティにてアドバイザーやメンターを務め、2023年度は23事例、全56回の創業支援を行いました。

また本年度の2024年に入って2ヶ月にて、はや17回の地方行脚による創業支援の活動を精力的にこなしています。


その中で培った知見、コミュニティの支援を実施した実績を元に「創業支援コミュニティ活性のための4つのレベルの成熟度チャート」を発表しました。


▼成熟度チャートについて詳しくはこちらをご覧ください。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000126385.html



今回は、日々進化成長を遂げている宇治市と宇治商工会議所が一体となった産業支援拠点「宇治NEXT」が運営する産業交流拠点「うじらぼ」の担当者・宇治市役所産業振興課 北川誠晃さんをお迎えし、弊社代表の櫻井との対談にてこれまでの成長過程と展望について、成熟度チャートに準えながらお話をお聞きしました。


■うじらぼ HP

https://www.city.uji.kyoto.jp/site/ujinext/32214.html

■うじらぼInstagram

https://www.instagram.com/ujilabo/


対談者プロフィール

北川 誠晃 Tomoaki Kitagawa


宇治市 産業観光部 産業振興課 成長支援係 主任


大学卒業後、メガバンクに入行し、資産運用や相続などのコンサルティング提案の経験を積む。2019年にUターンし宇治市役所に入庁。現所属の産業振興課に配属後、創業支援をはじめ、事業承継支援や商店街活性化支援を担当。

2020年11月以降、”宇治で挑戦し続ける人達の研究所”「うじらぼ」の立ち上げと運営メンバーとして数多くのイベントを実施。「挑戦する人を応援する」究極の黒子を目指し、人と人、人と地域をつなぐ取り組みを行っている。



櫻井 亮 Ryo Sakurai


MAHO-LA CREATIVE株式会社 代表取締役/東京デザイン専門職大学 講師/中小機構 地域支援アドバイザー


組織変革の専門家、学びと実践にコミットする学習ファシリテーター。

全国の中高大学にて「情報デザイン」や「問いを立てる」ワークに関する講義を多数実施。「実践学習で日本と若者の未来を描く」想いのもと2011年から2017年まで学生団体の支援、社会問題解決イベントを開催。2023年開学の専門職大学講師に着任。2023年に若者支援事業を行う別事業を設立し現在法人化準備中。


地域の挑戦し続ける人を支える“うじらぼ”


ーまず、「うじらぼ」がどんな拠点なのか教えてください。


北川:うじらぼは“挑戦し続ける人達の研究所”というテーマの元、2020年11月にオープンした交流拠点です。起業家の方だけでなく、アトツギの方や学生さん、クリエイターさん、起業を目指す会社員や主婦の方までジャンルを問わず、それぞれの目標に向けて挑戦している方が集まっています。


▲産業交流拠点「うじらぼ」


ー地域のチャレンジャーがたくさん集まっているのですね。

では、マホラ・クリエイティブとはどのようなきっかけで出会ったのでしょうか?


北川:中小機構さんにこれから起業したい方向けのプログラムについてご相談した時に櫻井さんをご紹介いただきました。

初めてセミナー講師をしていただいてから、継続的にご支援をいただいています。



櫻井:他の自治体から依頼をいただくときは、一回きりで2時間という制約が多いのですが、2時間だとお伝えしたい内容をかなりコンパクトにしなければいけません。でも、うじらぼさんは、初めての開催にも関わらず、一回につき2時間半で、かつ必要なら、と2回も開催枠をくださったんですよね。


しかも、金曜夜のみんながビールを飲みたいであろう時間に学びたい!という参加表明をしてくださる人たちを集めてくださったので、とてもやりがいある、濃い時間を過ごすことができました。



ー2回のセミナーでは、どのような内容だったのでしょうか?



櫻井:「やりたいことはあるが何から始めていいか分からない」「起業を考えているが一歩踏み出すのが不安だ」という方が多かったので、まずは自分が進めたい事業に対して整理を行い、次の一手を明確にすべく、ジョブとインサイト、バリューについてのワークを行いました。


また、最終的には、学んだことを元に実際に事業計画書に落とし込んでみる、という実践も行いました。



北川:これまで起業関連のセミナーを2回ご一緒していただきましたが、これから新しく始動する「アトツギ」の方向けのプログラムにも櫻井さんにご協力いただく予定なので、とても楽しみです!



▲うじらぼにて櫻井が登壇したセミナーの様子



コミュニティとは、場所ではなく、“場”を作ること


ー拠点の初期(成熟度チャートにおけるレベル1からレベル2に至るまで)の課題や苦労した点について教えてください。



北川:まず、一番苦労したのは、この拠点が単なる「場所」にならないようにしたことでしょうか。


コミュニティを立ち上げる際は、まずハコモノとしての施設を先に作ればそこに自然と人が集まるものだと誤解されがちですが、行政の施設でも20〜30年前に建てられた公共施設が現状、有効的に使われずに利用者数が年々減少して問題になっているという例があります。


未来に向けてそういった状態が生まれないためにも、うじらぼはハード面から入るのではなく、まずはソフト面の「人が集まる仕組み」作りからスタートしました。

今は全ての挑戦する人に広く間口を拓いていますが、最初は敢えて間口を狭くし、起業にまつわるイベントを数多く開催して、起業家や起業準備中の方を中心にコミュニティに人が集まる機会を作りながら信頼を構築していきました。


その後徐々にハード面を設計していきましたね。



▲うじらぼでのイベントの様子



櫻井:たしかに、北川さんが仰るように、日本のコミュニティ拠点ではとにかくお金をかけすぎてしまっている印象です。

かっこいい・綺麗なハコモノから派手で大袈裟にスタートする傾向があると考えます。しかし、そこには人が集まる力や熱量が感じられない。それでは、北川さんが言う「場」ではなく「場所」ができてしまいます。


そうなると、いろんな人が集まったのは良いものの、それぞれの想いが交錯することなく、図書館のように沈黙が空間を支配する場所やコワーキングスペースのように個々が黙々と作業する場所になってしまいます。


うじらぼがまさに実践されてきたように、拠点作りの初期に大事なのは、人の流れや協調・協働したいと思えるような“場”としてどれだけ生きた空間を作れるかということです。


これに加えてもう一点、自分たちの拠点を単なる「場所」にしないようにするポイントがあります。それが「雑味」というキーワードです。

私は世界各地の活性化している場を観てきた経験があるのですが、綺麗であることや整っていることよりも、雑多な感じがある方が革新性が高く、多くの人が活き活きとしてチャレンジをしやすい傾向があるのです。


そういった場の方が、熱を帯びて本気になれる拠点になっている気がします。これは私が世界中を行脚してコミュニティや企業を視察した中で、活性化している組織の共通点でもありました。



ー活性化している拠点は単なる“場所”ではなく“場”を作るということがポイントなのですね。

うじらぼの施設が軌道に乗ってからはどのような動きをしていたのでしょうか?



北川:とにかく自分たち運営者が自ら外に出ていくことを意識していました。


少しずつ施設に人が来てくださるようになっていたのですが、徐々に同じ人しか見かけなくなったり、新しい人が来なくなったり、人の循環が止まっていきそうな予感を感じたんです。それこそ、この場は図書館でも作業スペースでもなく、交流して、チャレンジをする人が交錯する場でありたかったので、これではまずいと思いました。


活性化している場として成立するためには、人が循環している必要があります。

そのために、何をすべきかを考えたすえに、私たちが自ら他のコミュニティに飛び込んでいって、面白いと思う人を市内外関係なく拠点に連れてくるということを行いました。



櫻井:運営者の役割として、その場に常駐してコミュニティ内の人を次々と繋げるというイメージがあると思います。しかし、成熟度チャートのレベル1にあたる「ハブ人材」は拠点に人を集める段階ではどんどん外に行った方がいいんですよね。


こじんまりと安定してしまうと拠点に流れができず、熱量も発生しません。お話を聞いていると、北川さん自らがその流れを生み出す中心にいらっしゃるということが素晴らしいです。



ー北川さん自身がコミュニティの中の重要なコアメンバーの1人となっているのですね。



北川:私自身、運営者としての立場もありながら、1人の挑戦する人として、様々なイベントに参加しいろんな人と出会ってきました。


また、基本的にうじらぼには常駐者(コミュニティマネージャー)がいません。上の階に事務所があるのですが、極力うじらぼの利用者さんに混ざってスペース内の席で作業するように心がけていますね。



櫻井:うじらぼが成長している一つの要因は、まさに北川さんのように自分もプレーヤーとして積極的に外に目を向けているハブ人材がいることだと思います。



持続的なコミュニティ形成は、量より“質”を意識


ーでは最後に、コミュニティ運営の初期に困っている方々にメッセージをお願いします。


北川:私が語るのは恐れ多いのですが、経験談として、何事も小さく始めて大きく育てていくことをおすすめします。


コミュニティを運営すると、まず規模感を意識してしまうのですが、100人をとにかく集めるよりも、コアな2〜3人を見つけて確実にコミュニティに引き入れていった方が持続的だと思っています。

どうしても見られ方を気にしてしまう気持ちは分かるのですが、そこをぐっと抑えて、まずは少なくてもコアメンバーを集めることに注力していただきたいなと思います。


そうすることで、コアなメンバーが地域の人を呼んできて、メンバーがメンバーを呼び、気づけば人がたくさん繋がっている状態になると思います。



ー数字ではなく、質を意識するということでしょうか?



北川:はい、仰る通りです。

例えばうじらぼでは、コワーキングスペースの利用者は年一回の更新制にしていて、毎年窓口で手続きをしてもらう仕組みになっています。


少なくとも年に一度は対面で顔を合わせて更新をしていただくことで、誰が今どのような活動をしているのかを把握できることもあり、自然とうじらぼの利用者はアクティブユーザーの比率が高くなっています。


正直、対外的に報告するときは累計の数の方が見栄えはいいし評価されるかもしれません。ただ、私たちはコミュニティの質を上げていくために、なるべく数字にこだわりすぎないようにしています。



櫻井:バタフライエフェクトのように最初に追いかけようとしていた数字と同じぐらいのところまでの影響力になる可能性も大いにありますもんね。



ー量に目がいってしまうことが多い中で、とても本質的ですね。



北川:結局コミュニティを作るのは行政ではなく、その町の人自身だと思うので、コアメンバーを最初に見つけることが肝だと思います。


そして、そのコアメンバーを集めるためには、自分自身が積極的に地域に飛び込んでいくことは、ぜひ意識していただきたいなと思います!



実践を積み重ねてきた北川さんだからこそお伝えできる、説得力のあるお話でとても勉強になりました。素敵なお話をありがとうございました!



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

京都府宇治市にある産業支援施設うじらぼを運営する北川さんと弊社櫻井の対談にて「創業支援コミュニティ活性のための4つのレベルの成熟度チャート」を交えながら これまでの取り組みをお話していただきました。


今回のお話では、レベル1「活性化コア 創造期」からレベル2「知己コミュニティ 生成期」にあたる、うじらぼの成長過程について伺いました。


インキュベーション施設が単なる作業スペースにならないための『コミュニティの運営の秘訣』とは?

そのヒントとして、作業場ではなく人の流れが生まれるような“場”にすることコミュニティの量ではなく質を追い求めることの大切さが挙げられました。


「コミュニティを作りたいが何から始めたらいいか分からない」「熱量のあるメンバーが集まらない」というお悩みをお持ちのご担当者様はぜひ今回の内容を参考にしていただければと思います。


次回のSTORYでは、うじらぼが現在挑戦しているレベル2からレベル3への移行に向けての取り組みについてお送りします。



〈関連情報〉


創業支援コミュニティ運営でお困りの方・支援者をお探しの方へ


マホラ・クリエイティブでは、独自で開発したビジネスデザインプログラム「キホンのキ」を取り入れ、学びのデザインの仕組みを作ることから支援させていただきます。


また、代表櫻井が大企業の組織変革のコンサルを行ってきた経験や専門大学の教授として体系的な視点を通して学生に講義を行っていることから「実践」 と「学び」の両面からアドバイザーとして介入させていただくことも可能です。


コミュニティ活性がうまくいかず悩んでいるご担当者様や地域で起業したいがどうしたらいいかわからないという方は、ぜひマホラ・クリエイティブにご相談ください。



地域変革・事業開発に必要なビジネススキル「 キホンのキ」


ISSUE設定やJOB理論、バリュー・プロポジションなど、新しいことを事業にするために役立つ概念と知識を、ビジネス視点・スキルの基礎として5回シリーズで学んでいきます。学びを深めて実践に生かすための MAHO-LA CREATIVE独自の「変革の方程式」という考えを採用したプログラム内容・構成となっています。


大企業から中小企業までの企業研修や、中小機構さん・地域のアクセラレーションプログラム・スタートアップコミュニティなど全国各地で開催しています。


2.5時間の講演から、2時間×数回シリーズのレクチャーまで柔軟に対応可能です。



【サービス紹介】

地域変革・事業開発に必要なビジネススキル 「キホンのキ」


【参考】

記事「変化の激しい時代に必要なビジネススキルを学ぶ、BUSINESS DESIGN PROGRAM キホンのキとは」


記事「全国行脚レポート」


【変革の方程式とは】

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MAHO-LA CREATIVE株式会社 公式HP

https://www.mahola-c.com/


週に1回配信している代表櫻井の無料メルマガ





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