自身のメンタルの不調から生まれたハーブティー ブランドROEROE|ロロ の薬草店。創業者セタユウジが語るブランド立ち上げまでの道のりと、ハーブで成し遂げたいこと。
2024年4月ローンチしたハーブティー ブランド、ROEROE|ロロ の薬草店。創業者のアート・ディレクターのセタユウジは、なぜハーブティーを作るのか?デザイナーがウエルネス事業をする意味は?自分自身が経験した辛い経験から始まった、新ブランド立ち上げまでの道のりとこれからROEROE|ロロの薬草店でやっていきたいことを創業者自身が語るストーリーです。
三重県にある自社農園で研究と収穫に追われる創業者セタユウジ
都会に憧れ野山に囲まれた田舎を脱出。アートディレクターになってはみたものの
私は三重県の大自然のなかに生まれました。周りは畑と田んぼ。小学校までは徒歩1時間。中学校はさらに遠く、自転車で1時間。雨の日も雪が積もる冬の日も、自力で通学する子どもでした。当時の人生の目標はただただ「田舎脱出」。なんとしても大都会・東京に上京すると心に決め、明治学院大学法学部に滑り込み、卒業後は先輩のグラフィックデザイナーに弟子入り。独立後はハイファッション誌のアートディレクターを務め、周りからもそれなりに評価され、やりがいを感じて仕事をしてきました。
日々の生活はと言えば、毎日終電まで仕事をし、家に着くなり倒れ込むように眠りに入る。『デザイナーたるもの休みがとれないのは売れっ子の印』くらいの考えでやってきました。
田舎育ちで体力には自信があり、多少の無理は気合でカバーできると思い込んでいました。実は自分の状態を知ることも考える余裕もないまま、思考停止で追われるように毎日を送っていたのです。
2024年4月ローンチしたハーブティーブランド ROEROE|ロロ の薬草店
何の前触れもなく、突然襲った「心の病」
そんないつもと変わらないある日、突然パニックが自分を襲いました。心臓がバクバクし、何に対して怯えているのか自分でも分かりませんが、とにかく途方もない不安に襲われて、怖くて死にそうになりました。
僕の異常に気づいた妻の判断で、すぐに専門医に診てもらうことができ、パニック障害との診断が。幸い、早期の治療のおかげで仕事を辞めずにすみましたが、その後も通勤時には、あと一駅、というところで下車して歩いたり、ということが続きました。
自分の力で何とかしたい、もがいた時に出会った <ハーブ> にひらめいた
処方された薬を飲むことで、症状は少しづつ回復し、良い方向に向かいました。しかし、もともと何かにコントロールされるのが嫌いな私は、薬に頼りきりで治療をすすめることに抵抗がありました。自分でできることがないか調べあげ、『メンタルの悩みに良い』と聞けば、片っ端から試しました。
不規則だった生活を改め、夜は早く寝て毎朝5時に起床。朝日とともにランニングする生活に。呼吸法が自律神経に作用すると聞けば生活に取り入れ、お香を焚いて瞑想したりしました。
そんな試行錯誤の中で出会ったのが、ハーブの力を使った、植物療法でした。効果を感じると、もっと深く知りたくなり、学校に通い植物療法士やアロマセラピーの資格を取りました。
可憐な姿からは想像できないパワフルな効果をもったハーブたち
でも、もともと感覚的な自分は、教科書の中だけで見るハーブでは実感がわかず、最高のハーブを求めて全国のハーブ農家を訪ねて廻りました。そんな中、北海道のとある生産者さんの畑でハーブの収穫を体験させてもらった時に出会ったハーブの、力強くて素朴な美しさに圧倒されました。そして直感的に、『ハーブにはとてつもない力がある』『これからの人生はハーブと関わって生きていきたい』という強い衝動に駆られました。
ストレスを避けて通れない現代の社会生活で、必要とされている『癒し』を届けたい
考えてみれば自分の周りには「電車に乗れなくなった人」「朝起きれなくなった人」など精神的疾患が原因で仕事を続けられなくなった人をたくさん見てきました。みんな希望を持って仕事についた筈なのに、だんだん暗い表情に変わっていくのを見るのは辛いことです。
生真面目な人は仕事やストレスを抱え込みがちです。がんばっている人が、気持ちよく毎日を迎えられて、活躍できる世の中にしたい。自分自身がメンタルの不調から立ち直る過程で体験したこと、学んだこと、自分が試して良かったことを、これからつくるプロダクトを通して伝えていきたいと思っています。苦しんでいた過去の自分に届けるつもりで。
「もっと気持ちが上がるプロダクトは作れないか?」「おいしいハーブティーがあってもいいはず」問いから生まれたROEROE|ロロ の薬草店
ハーブには人を癒す力があります。植物療法は世界中のいたるところにあり、長い歴史の中で人々が使い続けてきたことが何よりの証(あかし)です。しかし、自分自身がハーブに興味を持ち始めた時、自分が欲しいと思える商品がありませんでした。ちょっと野暮ったくて、 味気ない感じのものばかりでした。
暮らしに寄り添うものだから、生活の様々なシーンで、使うことに喜びが感じられる商品にしたい。『デザイナーとして生きてきた自分が、ハーブに関わる意味は?』何度も自問して出た答えは、この素晴らしい効果のあるハーブに、クリエイティブの力で『心の高揚と充足』をプラスしていくこと! つまり、ハーブを通してワクワクをお届けしたいのです。
味にも徹底的にこだわりました。身体に良いだけでは味気ない。美味しくなくては続かない。都市伝説的な「ハーブティー は美味しくない」という思い込みを書き換えてもらうために、何度も試行錯誤を重ね、味も香りも今までにない、“五感が喜ぶ”ハーブティー作りを目指しました。
細部のデザインにこだわりたくて、手作業で仕上げています
2024年4月にスタートした私のハーブティーブランド「ROEROE herbal apothecary(ロロの薬草店)」。ロロがつくるBOXパッケージは、一つ一つ手仕事でロウを溶かしスタンプしています。同じ形のものは一つとしてありません。効率を考えたらできない大変『手間』のかかる作業です。でも、その『手間』を削ぎ落とし続けてきたことが、何か心が満たされず、ささくれだった世の中になった原因の一つのように思います。
『一杯のお茶を入れる』こともまた手間がかかることです。しかしその手間と時間こそが、今必要な『心の休息』と『癒し』をもたらしてくれるように思います。
みんな無自覚でコーヒーを選んでいませんか? 毎日の “憩いのひととき” にハーブティーという選択肢を!
素晴らしいポテンシャルを持ったハーブですが、飲んだことがない、紅茶じゃないの? ピンとこない、などという食わず嫌いな方が多いのが現状です。
私自身もかつてはそうでした。ハーブティーはどこかマダムの飲み物のような勝手な先入観があり、自分には関係ないものと決め付けて、試そうともしませんでした。
しかし、植物療法から入り、ハーブに触れる機会が増えてくると、薬効だけでなく、そのキャラクターも豊富で、味や香りも魅力的なものがたくさんあることに驚きました。
また、同じカモミールでも、取れた場所やその年の気候により味が変わる。ハーブもまたワインのようにテロワールが関係する奥深いものです。人間の歴史とほぼ同じだけ長く世界中の人々の生活とともにあったハーブティー(=薬草茶)。そこにはお国柄やその土地で取れる植物や生活習慣に根ざした、私たち日本人に馴染みのない、魅力的なティータイムの過ごし方があるはずです。
ワインやコーヒーに負けない豊かな背景を持つ、“ハーブカルチャー”を、日本にも紹介し定着させたいと思っています。
2024年5月にローンチした『ホーリーマガジン』
日本メディカルハーブ協会理事長の林真一郎氏と立ち上げたウェブメディア『ホーリーマガジン』でやりたいこと
健康であるために、効能あるハーブティーを飲んでいればOKなのかといいわれれば、それは違います。いくら身体に良いものを補っても、ライフスタイルに問題があれば、またすぐ健康にも不具合がでてきます。それは私が身を持って経験したことでした。
人の健康を総合的な視点で捉えることを『ホリスティック』(全体的な)といいます。健康を身体だけの問題と捉えずに、『心』『身体』『精神』『環境』など人をとりまく様々なことが影響し合った結果と捉える考え方で、ウエルビーイングなありかたです。
そんなホリスティックな視点を持って、私たち現代人のライフスタイルに関わっていこうという目的で、ROEROEと同時に立ち上げたのが、ウェブメディア『ホーリーマガジン』です。ホリスティックにつながる『Whole(全体)』から、『Wholly Magazine(ホーリーマガジン)』と名付けました。
編集長の林真一郎氏は日本におけるメディカルハーブの第一人者で、黎明期からハーブの普及活動をされてきた方で、私の師匠でもあります。キャリアも経歴もまったく違いますが、ハーブ愛と、ハーブカルチャーを日本に根付かせたいという願いが、林先生と私の共通するところです。ここから『ホリスティック』や『ハーブティーのある生活』を広げるべく、多方面とのコラボレーションを夢見ています。
畑仕事のあと家に帰るいつもの道
畑のこと
田舎を飛び出した私が、三重県の実家で自社農園を作るとは、夢にも思っていませんでした。2023年5月、はじめて自分の畑を耕し、ハーブを植えてから1年。いまは月に一度帰省しながら、日々の畑仕事は両親と妹が担っています。自然がはぐくむ力強いハーブは無農薬、無化学肥料で美しく育てておりますが、農業は生半可なものではなく、労する家族には頭があがりません。三重県の自社農園のハーブは、「みつがの本草園」(https://honzoen.com)というブランドで、2024年6月より販売を開始しました。
ハーブティーを作るなら、ハーブも作ってみたい。私の探究は続きます。畑のことは、また別の機会にお話することにします。
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