43年続く「パルック」シリーズに新風を。一体型照明器具「パルックLEDシーリングライト」の企画・マーケティング戦略
パナソニックが誇るロングセラーの蛍光灯ブランド「パルック」。1977年の誕生からリニューアルを重ね、現在では約9割の方が「パルック」ブランドを認知しています。(1年以内にLED電球を購入した10~60代の男女808名に調査。2018年 パナソニック調べ)
誕生から43年となる2020年10月、蛍光灯器具からLED照明への“切り替え”をご提案するパルックの新アイテムとして、器具本体・LED・カバーの一体構造が特長の「パルックLEDシーリングライト」を発売いたします。
こだわったのは、簡単2ステップ取り付けと天井がスッキリするコンパクトデザイン、そして虫やホコリの侵入を防ぐ密閉カバーの3つ。
これまでの「パルック」シリーズとは一線を画す新発想の「パルックLEDシーリングライト」の企画の狙いとマーケティング戦略を商品企画担当者3名が語ります。
<企画開発者プロフィール>
鈴木 勝(入社27年目)
1994年入社、コンシューマーマーケティングジャパン本部商品センター所属。入社以来、あかりと関わり続け、家庭照明からランプまで多岐に渡る商品知識とランプの歴史を語らせたら社内で右に出るものはない。
池ノ本 香(入社10年目)
2011年入社、同所属。
LED電球の開発部門、既存光源の商品企画を経て2年前から現職。入社から約10年に渡りランプの世界にどっぷりと浸かる。
池田 政行(入社1年目)2020年入社、同所属。
家電が好きでパナソニックへ入社。今はハロゲンランプが大好き。
今すぐ“LEDへの切り替え”を提案する挑戦的なアイテム
<商品特長>
1. 工事不要(※1)の簡単2ステップ取り付け
2. コンパクトデザインできれいな発光面、外径33センチで天井スッキリ
3. 虫やホコリの侵入を防ぐ密閉カバー、ランプ交換も不要(※2)
※1. 配線器具が付いていない場合は電気工事が必要です。
※2 器具本体、LED、カバーは一体構造のためLEDの交換はできません。
鈴木:
私は、入社以来26年に渡って照明器具やランプの商材に携わってきましたが、この「パルックLEDシーリングライト」は、かなり挑戦的なアイテムだと思っています。ランプ売場でランプを買いに来たお客様に『ランプ交換じゃなくて照明器具ごと交換しませんか?』という提案を一斉に展開する事になるんですから。
池ノ本:
わずか2ステップで取り付けできる手軽さにもこだわりました。今付いている照明器具を外したら、専用アダプタをはめて、器具をアダプタに押し上げるだけでOKです。こちらの動画のとおり、実際に設置済みの照明器具を「パルックLEDシーリングライト」に交換してみましたが、ものの数分で交換できました。これは、「カチットT」という名称のパナソニックオリジナルの取り付け方で、今回新たに開発しました。和風ペンダントライトも同じように簡単に交換できます(動画)。
多くの方が抱える「LEDへ切り替えたいけれど、照明器具を取り替えるのはハードルが高い」というジレンマを解消できるアイテムだと思います。
鈴木:
近年、照明器具はインテリアとしての側面もあり、大きく存在感のあるデザインが主流になっていましたが、「パルックLEDシーリングライト」は対極で、部屋のインテリアをじゃましないコンパクトサイズです。
さらに、ランプ交換を必要としない密閉カバーにしたことで、従来の蛍光灯シーリングライトにあった光のムラを解消しきれいに発光、同時に虫やホコリの侵入を防ぎます。
蛍光灯からLED照明器具への切り替えは徐々に進んでいますが、LED照明の家庭での普及はまだ50%未満の状況です。一方、丸形蛍光灯の総需要はここ数年、前年比90%で縮小傾向が続くものの、年間約1,200万本の需要があります(当社調べ)。
池田:
僕は新卒でパナソニックに入社して、初めて商品企画に携わりました。この会社を選んだのは、純粋に家電が好きだからです。今回、LED化によって、環境へどんな影響があるのかというリサーチを担当したところ、蛍光灯器具からパルックLEDに変えることで、CO2の排出量を約半分にできることが分かりました。1年間に杉の木約2.6本分が吸収するCO2と同じ量が削減できます。どの家庭でも利用するアイテムだからこそ、寄り集まれば地球環境に大きなインパクトになります。
ユーザー調査で見えたLED化への高いハードル
池ノ本:
本商品企画の背景には、「いかに家庭のLED化を進めるか」という課題がありました。環境省及び経済産業省は、2030年度に温室効果ガスの排出量を2013年度比で26%削減するという目標達成のため、2030年に高効率照明(LED)100%の普及を目指しています。
とはいえ、現状のLED普及率は50%にも満たない状況。私たちのようなランプ製造メーカーと販売店が力を合わせてLED化を推進していかなければ、目標達成は難しいでしょう。では、LED化を阻むハードルは何かというと、私たちも明確には理解できていなかった。そこでユーザーが持つリアルな課題を把握するために、WEBでの定量調査と対面インタビュー形式の定性調査を実施しました。
WEBアンケートから見えてきたのは、リビングのLED化が進む一方で、寝室や子供部屋など、その他の部屋は蛍光灯のまま放置されていること。また、少数ですが「今自宅に付いているのが蛍光灯なのかLEDなのか把握していない」という方もいました。
蛍光灯ユーザーが持つ不満もアンケートで判明。トップ3は「虫の侵入」「交換が面倒」「電気代が高い」というお悩み。これらの不満を解決することを念頭に置いて、新商品の企画を固めていきました。
加えて、一つ大きな気づきだったのは、思っていた以上に一般ユーザーの方は「LEDを知らない」ということ。これは20名ほどのユーザーインタビューからわかった事実なのですが、LEDの売り場に行ったこともなければ、そもそもLEDがどんなものかもわからないという人が少なくありませんでした。LEDが何かという物体の説明から始めないと比較の対象にも上がらないんだなと。自分の常識がいい意味でくつがえされ、非常に有意義な定性調査でした。
鈴木:
外径33cmとコンパクトで目立たないデザインにも、これらの調査から得た気づきを反映させました。照明器具は長年付けたままにすることから、器具を付けていた箇所だけ天井のクロスが焼けて色が変わってしまうんです。その変色を隠せることから大きめの照明が好まれると思っていたんですが、あまりこだわらないという人が意外にも多かった。
リビングよりも狭いであろう寝室や子供部屋の照明器具としての側面を考えたら、空間のノイズを減らせる控えめなデザインのほうが良いだろうという結論にいたりました。
LEDなのに「パルック?」という葛藤
鈴木:
今回、社内的に挑戦だったのは、蛍光灯ブランドとして幅広い世代の方に高い知名度を誇る「パルック」のブランド名称をLEDアイテムに使ったことです。パルックがここまで支持を得られた理由は、従来の白色蛍光灯ではなく、光の三原色であるRGBを組み合わせて肌色を格段にキレイに見せる技術を取り入れたから。
もちろん、他社も同様の技術を使った新商品を発売していましたが、パルックは大量のCMに加え、歳末の大掃除の際に一緒に交換というマーケティング活動を通じ、人々の生活に寄り添う存在として愛されてきました。その根底にあるのは一般の人々にとっても「肌がこんなにキレイに見えるなんて!」という体験価値にあったと思います。
池ノ本:
私は誕生当時の様子はくわしく知りませんが、「パルック」ブランドには並々ならぬこだわりがあることは感じていました。ちなみに、パルックの由来は「パッと明るく」です。
鈴木:長年、蛍光灯ブランドとして業界を牽引してきたパルックの名称を使うことに対して、社内での整合も必要でした。「LEDにまでパルックと付け始めたら、一体何がパルックなんだ?」「或いは他の照明器具はどうする?」などと。最終的にはランプの商流を通じて販売する蛍光灯からの置き換え提案商品として、「パルックLEDシーリングライト」という名称を採用する事で合意形成が図れました。
照明器具を「蛍光灯売り場」で展開するメリット
池ノ本:
今回、最大の戦略とも言えるのが、「売り場」展開です。本来なら照明器具売り場で展開するはずのアイテムを「蛍光灯売り場」に置くことで、蛍光灯ユーザーを取り込みたいという狙いがあります。
先程お話したユーザーアンケートでは、「LED照明の売り場に行ったことがない人」が蛍光灯ユーザーの中で約6割もいました。蛍光灯からLEDへの切り替えを促すにあたり、蛍光灯ユーザーの目に触れる場所で展開することが効果的だと考えたんです。
さらに、パッケージデザインも蛍光灯に寄せたものにして、極力かさばらないようコンパクトに仕上げました。重さも1.2kgと軽量なので手で持ち帰ることができ、その日から使えます。蛍光灯が切れたから「今すぐあかりが必要!」という方でも大丈夫です。
鈴木:
蛍光灯売り場での展開は販路を広げることにもつながり、2,000〜3,000程度の照明器具売り場に比べて、蛍光灯売り場は2万近くあります。バイヤーからの事前評価も高いことから急きょ生産数を増量、コロナ禍で取引先の工場がストップするなど苦しい場面もありましたが、なんとか必要数をそろえることができそうです。予想以上にさまざまな売り場に置いてもらえることになり、今後の動向が楽しみですね。
池ノ本:
売り場では、「消費電力 約1/2」「光源寿命40,000時間で長持ち」など、消費者の方の目を引くLEDのメリットをPOP等で散りばめてPRする予定です。実際、LED化はいいこと尽くしで、電気代を抑え、環境負荷も減らしてくれます。パナソニックでも会社としてSDGsを進めていて、この「パルックLEDシーリングライト」もその一端を担えたらと思っています。
池田:
初めて携わったアイテムがカタチになり、関係者のみなさんからも好評でとても嬉しく思います。今後は、テクノロジーとの連携として照明アイテムのIoT化を進めていきたいですね。照明は部屋の中心に付いているものであり、まだまだ進化の可能性を秘めています。IoT化によって家事の省力化に貢献する新商品を企画したいです。
鈴木:
今年に入って在宅時間が増える中で、デスクライトや蛍光灯の販売数が前年以上に伸びています。家での過ごし方が見直されている今、是非ご自宅のあかりに目を向けてみてください。
照明器具は、元々家に備わっている設備であり、変えられることすら知らない方も多くいらっしゃいます。LED照明は省エネは勿論ですが、部屋の雰囲気を劇的に変えてくれるムードメーカーでもあります。また適切な使い方をすれば睡眠環境や生活リズムを整える手助けにもなってくれます。
「パルックLEDシーリングライト」は極限までLED化へのハードルを下げ、同時に部屋を広々と見せることができます。このアイテムならではの魅力が売り場でしっかりと伝わることを願っています。
<関連情報>
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