「夢」か「安定」か? 〜超就職氷河期に二度内定を捨てた話し PART4 〜

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「コンサルか~、なんだか難しそうなイメージがあって私には向いてないかも、、、」

「難しいのか?」と何も考えてなかった僕は一瞬戸惑った。しかしモノは試しである。興味あるものは片っ端から受けてみようと思ったのだ。

「ちなみに大塚さんはどこのインターンシップに参加するんですか?」

「私は自分が行きたい銀行とか金融系のインターンシップに行こうと思ってます。」

前のグループディスカッションで金融系に興味があると話していたので、僕は大塚さんならそこのインターンシップを受けるだろうなと思っていた。

「そういえば、どうして大塚さんは金融系に興味があるんですか?」

僕は素朴な疑問を大塚に聞いてみた。

「私のお母さんが銀行に務めていて、よく仕事の話を聞いていたんです。それで自分にも興味がありそうだなと思ったので、そんな仕事で働いてみようかと思ったんです。」

確かに親や身近な人の仕事が一番リアルで自分にも伝わる。

僕は自分の身近な人でインテリア関係の仕事をしている人が居ないことを悔やんだ。

「石本さんはもともとコンサルに興味があったんですか?」

ふと大塚さんからそんな質問が来たので僕は一瞬戸惑った。そんなに深く考えてコンサルを受けるわけじゃない。

うまい理由も思いつかないので僕は素直にコンサルを受ける動機を話すことにした。

「いいじゃないですか。確かに誰かの悩みを聞ける人が向いてる仕事ですもんね!石本さんならいけると思いますよ。」

それがお世辞だったとしても僕は嬉しかった。就活を始めて何も自信が無い中、初めて褒められた言葉だ。

まあ京都の説明会ではベルトを褒めてもらったのだが、、、

あれは「ベルト」に焦点があって、メインの「僕」はかやのそとだった。自分という人間を評価してもらえたのは今日が初めてだ。

そんなことを考えていたらいつの間にか予定の時刻になり、勢いよくドアが開いた。


「みなさん、おはよう!」


きた!!相変わらずドス、、、いや力強さが効いた声で小林先生が登場してきた。

小林先生はもはや僕にとってのヒーローにだった。

就活生のことを否定する時は全力で否定してくるが、反対に応援してくれる時も全力。

それに小林先生の言葉一つ一つには断固とした「自信」があり、それがまた僕らにとっての力になっていた。


「あれから2週間が経ちましたが、みなさん参加したい企業は決まりましたか?」

もちろん決まっています!という顔をした就活生もいれば、まだ悩んでいそうな学生の姿もあった。

僕はとりあえず決まっていたので「俺はコンサルに行きたいです。」と心の中で呟いた。


「では本日もさっそくグループディスカッションを行ってもらう。そのディスカッションで自分が何故その企業のインターンシップに参加したいのか?また何を学んできたいのかを話し合ってほしい。」

出た!!これが噂の「グループディスカッション」だ。(噂も何も、前回もやったのだが、、、)

この前のグループディスカッションではみな初対面ということもあり、話し合い自体がぎこちなかったが今回は違った。

さすがに二回目ということもあり、みな笑顔を見せながら自分が行きたいインターンシップについて話し合っていた。

「ちなみに今回も発表してもらうからな!その役も決めておくように。」

小林先生は意味深な笑顔でそう言うとまた席に戻った。

「今回こそは、、、」僕は悩んでいた。今回こそは手をあけで「僕が発表します!」と言いたかった。

何故なら就活が始まれば否が応でも発表しなければいけない。だったら今のうちに練習しているほうが断然いいからだ。

引き続きグループのみんなが楽しそうに志望動機を語り合っている中、僕だけ違う戦いが始まっていた。

天使「いくんだ石本。今いかないとどうするんだ?」

悪魔「へっへっへー。まだまだいかんでも良いやろ。それに練習の機会なんてまたあるわ!」

僕の頭の中で天使と悪魔が激しく戦っていた。そのおかげで全くと言っていいほどディスカッションの内容が頭に入ってこない。

天使だろうが何だろうが、とりあえず頭の中で騒ぐのをやめて欲しかったが、それ以上に重要なのは手を上げれるかどうかだった。

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