「夢」か「安定」か? 〜超就職氷河期に二度内定を捨てた話し PART4 〜
「、、、くそ~、まるで身体が別人のようだ。まったく意識に反応してくれない。」
どれだけ手を挙げろと命令しても、僕の右腕はまったく反応しなかった。
そうこうしてる内に、いつもは黙っている竹内くんがいきなり「、、、今回は僕が発表します。」と一言だけ言った。
いつもは黙っている竹内くんからの予想外の言葉で一瞬沈黙が訪れた。
「なら、今回は竹内くんがお願いします!」
と奥村くんが気を取り直したかのように笑顔で答えた。
「やってしまった、、、」今回こそは本気でテーブルに頭をぶつけてやろうかと切に思ったが、やはり理性がそれを止めた。
ただまたも自分の不甲斐なさにはどうしようもなく無力感を感じたのだった。
「は~」僕は心の中で100回ほどため息をついているといきなり奥村くんが、
「そう言えばどうして石本さんはコンサルに行きたいんですか?」と訪ねてきた。
そこで僕は大塚さんに説明したと同じく、ことのいきさつをみんなに話した。
「なるほど。」と小声で頷いた竹内くんが気になったが、僕は志望動機を一通り説明した。
その話を聞いていた奥村くんが何か言おうとした時、「はい終了!」という小林先生の声が響き渡った。
と同時に騒がしかった教室は静かになり、前回同様、グループごとの発表会となった。
まだどのグループもたどたどしかったが、それでも最初の頃よりは一応話しがまとまっている班が多かった。
僕らのディスカッションの内容は、みんなの前に立った竹内くんが伝えてくれた。
緊張しているためか表情は固く、いつもより早口になっていたが、それでもみんなの前で発表している竹内くんの姿が羨ましかった。
「おいおい、俺はほんまに大丈夫なんやろか?」
またも絶好のチャンスを逃した僕は、一人で落胆していた。
最後のグループの発表が終わり、再び小林先生が壇上に立った。
「みんな一回目の時よりもディスカッションらしくなってるやないか!数をこなせばこなすほど、絶対に上手くなるからな~!やから今出来んくても落ち込む必要はないからな。」
そんな小林先生の言葉が僕の胸に響いた。
「次こそは、、、」
僕は新たに決意して、来週に迫るインターンシップを迎えたのだった。
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