ワインを作りたくて世界を旅してみる話 第八回

いざ、北へ。

解雇が決まってから、日本へ一時帰国した。

久しぶりに会う家族、友人、日本食。全てが楽しくて、これからアメリカに戻ってもお先真っ暗状態な分、日本に残りたい気持ちが大きい。

でも、進むことにした。
まだ、やってないから。

ダメだったら帰ってこよう。


そう、心に決めて再渡米した。

帰国して3日で荷物をまとめた。Napaで内見する家も予約した。

あとは、進むだけだ。

LAからSan Fransiscoまでは車で6時間。


いざ、出発。

・・・と、したかったのだが、出発直前エンジンにトラブル。

すぐに修理して貰おうと、近所のメカニックに走るも、部品がなく断念。もう一軒は休み。

今にも止まりそうな音をさせながら高速を走らせ、やっとのことで診てもらえるメカニックへ。
残念ながら、当日出発はならず。

旅の途中で車が止まらなかった幸運に感謝しつつも、家を引き払った後だったので途方に暮れる。
しかし、近所に住んでいた家族が旅行中にも関わらず家を解放してくれ、そこに宿泊させてもらえることに。

その夜、修理を終わらせ、食事をしていると電話が鳴る。主はNapaの内見予定の家主。

「ごめん、今日内見に来た人に決めちゃったよ。グッドラック」

どうせ住むところもないので、そこに住むことにほぼ決めていた状況だった。


さすが、私の人生。
家なき子確定の状態で、北へ。

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