震災が私にもたらした能力《第4話》ー極限状態の中で生まれた感謝の気持ちー

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前編: 震災が私にもたらした能力《第3話》ーそれぞれの震災ー
後編: 震災が私にもたらした能力《第5話》ー不安と恐怖に打ち勝つ心ー

伝えられた思い

伝えたいことをすべて伝えると、祖母は「ありがとう」とも「すみません」とも取れるしぐさで、曲がった腰をさらに曲げ、何度も何度も霊媒師に向かって頭を下げた。


そのしぐさがいかにも祖母らしくて、「霊媒師が伝えてくれた話は作り話かもしれない」などと疑う気持ちはどこにもなかった。


帰りがけ、

霊媒師
半年後にユリ・ゲラーもゲスト出演するイベントに出ることになったので、見に来てな。
あと、メールマガジンも配信するから、メールアドレスも書いてってください。

初めてのビックイベントに気合い十分といった様子で彼女は語った。


それから何カ月待っても、伝えたメールアドレスにメールマガジンが配信されることはなく、ユリ・ゲラーが日本に来てイベントを行うという情報もなかった。


イベントは中止になったんだろうか?

彼女は一体誰だったんだろう?


霊媒師のところから自宅に戻ると、すぐさま母に電話をかけた。

かけたはいいが、急に


こんな話を母が信じてくれるだろうか?

という不安が頭をもたげ始めた。

普通ならば誰にも信じてもらえないだろう。どうしよう。

いいよどむ私に母が


「なに?なにかあったの?」


と聞いて来た。


どう告げて良いのか分からないまま、たどたどしく霊媒師に会って来たこと、そこで祖母からのメッセージを受け取って来たことを話し始めた。


それを聞くと、母はできるだけセンチメンタルな気持ちを悟られないように、


「ええ!?本当に?」


などと、おちゃらけたフリをしながらもちゃんと話を聞いてくれた。

受話器の向こうで母の心の糸がほどけていくのが雰囲気で分かる。

その時、

これで十分に責任を果たせた


というような安堵感が私の中に広がった。


この話はきっと叔父やホームの人達にも伝わるだろう。

そして、喜んでくれるに違いない。

目を閉じると、彼らが安堵し、心が軽くなっていく様子がまぶたの裏に浮かんできた。

それは他人の幸福でありながら、私の幸福だった。

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