取引先の債権回収に担当者自宅まで踏み込むとどうなるか。(完)
(前回までのあらすじ)
朝討ちの翌日電話があり、振込み手続きをしているということであった。しかし、スイスの本社から直接我々に振込みをしようとしているらしい。。。
自ら振込みをすると、悪かった原因は自分たちにあると認めることになると感じているのか、最後まで責任はスイスにあり、悪くないことを主張したいらしい。
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あの朝討ちから1週間程度してから、スイスの口座から請求通りに振込みをされていると経理から連絡が入った。
入金予定日から1ヶ月近く経過しようとしていたが、ようやく完遂した。
反省点としては、定期的に仕事を請け負う中で、
不審な点や予兆させる出来事があったかもしれないのに気がつかなかった、
機微を感じ取ることができなかったことだろう。
相手が悪かったでは、集金に奔走したことが徒労に終わってしまうので、
内部要因を分析してしっかりと受け止めなくてはならない。
こうして当時を改めて振り返ってみたが、
現在も同じような失敗を繰り返していることが多いと気付かされる。
メールでのやり取りが増えたことにより、対面での商談や打ち合わせが減っていることも
影響しているとはいえ、取引先の体制変更や担当者の交代、
そういった節目に起こりがちな契約見直しなど鈍感になっていたと
反省することが増えている。
相手から情報発信してくれることは滅多にない。
水面下であろうと、しっかりと情報を引き出し、
ニーズを汲み取ることの基本を忘れてはならない。
半沢直樹はドラマの世界だが、
執念、追求、押しの強さ、
相手の変化に合わせていくだけでなく、
自らのスタンスをしっかりと貫き通す意志の強さが失われていないか、
自問自答する機会にもなった。
ドラマでの象徴的なシーンを思い出した。
倍賞美津子演じる羽根夏子が、半沢直樹とすれ違う場面で
「新しい担当者に早く引き継いだら」
と伝える場面だ。
羽根の性格や仕事振りから推察した半沢が
「一流ホテルの役員としてキャリアを積んでいる羽根は担当者と呼ばずに必ず名前を言うはず。つまり、まだ会っていない。」と見抜いたことだ。
相手の表情や言葉、バックボーンなどを読み取りながら、
どういう行動を起こすべきか、相手の弱点を見出して、
自分の土俵で戦うという鉄則がしっかりと根底に意識付けできている表れだろう。
もし、現状の立場で15万円が振り込まれなかったとしたら、
同じような行動を取るだろうか。
金額の多寡ではなく、きっと全額回収するまで追い込んいく。
いかなければならないのだ。
なぜなら、プライドを持って仕事をしているのであれば、
報酬をもらうことが当たり前のことであるからだ。
そう、特に変わったことではないのだ。当然のことなのだ。
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