アメフトで首を骨折し、四肢麻痺になった青年がヘッドコーチとしてチームに復帰した話。パート1

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「人生の転機」は突然やってきます。

しかし転機はその時点で気づくことはほとんどなく、過去を振り返った時に「あぁ、あの時が…」と思うことがほとんどで、現在進行形では分かりません。


三重苦を抱えたヘレン・ケラーはこんな言葉を残してます。


ヘレン・ケラー
「ひとつの幸せのドアが閉じるとき、もうひとつのドアが開く。 しかし、わたしたちは閉じたドアばかりに目を奪われ、開いたドアに気づかない。」


人生を辞めてしまいたいくらい辛い出来事が転機として訪れた時、あなたはどのように考えますか?

「なぜ自分だけが…」それとも「この出来事は何か意味があるはずだ」

どちらの考えも一人ひとりの自由です。しかし、その決断で人生は大きく変わります。辛い人生を選択するのも、幸せな人生を選択するのも自分次第です。


僕は26年間の人生でどちらも経験しました。

今回はこの場をお借りして、自分の転機を初めて綴ろうと思います。


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「バッーン!」


雷が落ちたような衝撃の数秒後、仰向けに倒れた僕の視界に入ってきたのは夏の日の綺麗な青空だった。

試合中だったため早く仲間のもとへ戻ろうと、体を起こそうとするが、自分の体にある異変に起きていた。


「首から下が全く動かない…」


2007年、まだ蝉が元気に鳴いている9月某日。当時19歳だった僕はアメリカンフットボールの試合中の事故で頚椎を骨折した。


フィールドで倒れていた僕は歓声や叱責を耳にしながら、すぐに担架でベンチに運ばれ、チームのトレーナーから処置を受ける。しかし、処置といってもそばに居てもらうだけだった。それだけ症状は重かった。


数分後、救急車のサイレンが徐々に近づいてくる。

そしてサイレンが止まると救急隊員が駆けつけて来て、いくつかの質問を受けた。


救急隊員
「キミ、腕を曲げることはできる?」
「足を上げてみて」


もちろん、動かせない。


救急隊員
「じゃあ今、何をされているか分かる?」


この時、救急隊員の方は僕の太ももを思いっきりつねっていた。しかし、僕はつねられていることはおろか、触られていることすら分からなかった。


「あれ?足ってどう動かしてたっけ?」

こんな意味の分からない疑問が頭に浮かんだ。

あの時、僕の首から下は完全になくなっていた。

いや、実際に消えたわけではないが、感覚が全くなかったため、首から下が繋がっているかどうかが分からなかったのだ。


つまり、あの一瞬の出来事で脊髄(背骨の中にある大きな神経)を損傷し、首から下の運動および感覚を全て失った。いわゆる四肢麻痺ってやつになっていた。

そして、主務の先輩の付き添いの元、救急車に乗せられ、最寄りの救急病院へ搬送された。


この時は、数年後にヘッドコーチとして、自分がこのフィールドに、もう一度戻ってくるとは夢にも思っていなかった。



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