始まりの海岸で

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駅は海のすぐ傍にあった。





ホームを降りると、すぐに砂浜が広がる。


夏と言っても、まだ海開きまでには日があり、辺りには海の家を建てている工事の人や、麦わら帽子に蛍光色のレインコートをはおった、ゴミを拾っている人が数人しかいなかった。




それは、彼女がイメージした海ではなかった。


水平線がくっきり見えるようなイメージだったのだが、そこは海水浴場らしく、幾重にも防波堤が伸びていた。競争の目印のように、間隔を置いて、海辺を区切っている。




海をひとしきり見つめた彼女は少し首をかしげ、それから海岸沿いに西へ歩き始めた。僕もその少し後をついて行った。



砂がまぶされたような小さな駐車場を抜け、廃工場の寂れた扉を抜けた。立ち入り禁止と看板があったが、それはほとんど寂びており、道には他にもたくさんここを通り抜けた形跡があった。少し不安だったが、彼女は平然と歩いていくので、後に習った。




少し歩いて、砂浜に出た。


沖から防波堤が一本まっすぐ海に伸びていたが、前に比べると水平線ははっきりと見えた。彼女は防波堤の近くに海に向かって腰を下ろし、僕もその傍に座った。


空はうっすら曇り空で、夏にしては過ごしやすく、砂もひんやりとしていた。




「こんなに遠くに来たのは初めてかもしれないな」


彼女は話す。


「わたし、親から遠くに行かないようにいつも言われてたの。だから、一人でこんなに旅行したの初めて」


そういって、すぐに彼女は笑った。


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