農業に絶望した僕が、ある包丁研ぎ師さんに救われた話

2 / 4 ページ


前向きな笑顔を作っている裏側で、

心の中ではこんな暗い気持ちが

どんどん大きくなっていたのです。


そして、決定的とも言える出来事がありました。

今まで一番信頼していたお客様に

こんなことを言われたのです。


「うーん……このジャガイモ、高いねぇ。

 もう少し安くならない?」


と。


その方のお気持ちはすごくわかります。

家計のやりくりをしながら買って下さっているので、

その言葉やお気持ちはすごくわかるのです。


でも、アタマではわかっても僕の心はもう限界でした。

たぶんその瞬間、僕の中で何かが切れました。


「こんなこと、もうやめよう……」


そう思いました。


そして、以前のように

農作業に打ち込むことはなくなりました……。



  *  *  *  *



それから数ヵ月後、

農業から離れた僕の心は、全く別の場所にいました。


その居場所は、ネット。


インターネットを使ってビジネスをすることに

精力を傾けるようになっていました。


もともと小説を書く仕事をしていた僕は、

その文章の経験を活かして

誰かのお手伝いができないかと取り組んでいたのです。



そんな中、めぐり会って下さった方がいました。


それが、

「包丁研ぎ師」さんです


とはいっても、今は本業で別のお仕事をされており、

包丁研ぎはこれからスタートされるとのこと。


同じように、ビジネスを始める者同士、

交流を持たせていただくようになりました。


そんな中、スカイプでお話ししているとき、

こんな不思議なことを言われたのです。



「ぼく、包丁の声が

 聞こえるんですよ」


と。



「は?」


という感じですよね……。


僕も初めて聞いたときは意味が分からず、

きょとんとしてしまいました(^^;


「は?」


って…………。


ですが、よくよく話を聞いていくと、

何となくその意味がわかってきます。


毎日毎日 人の手に触れている包丁は、

その使い手の感情などに反応し、

メッセージを内包するのだそうです。


そして、そのメッセージを、その包丁研ぎ師さんは

包丁を研ぐ過程でキャッチすることができるのだとか。



「ホンマかな~~?」


そんな疑念もありましたが、研ぎ師さんの口調は

「当たり前ですよね?」と言わんばかり。


さらりと話される包丁研ぎ師さんに、

僕は引き込まれていきました。


「包丁の声が聞こえるかどうかはともかくとして、

 この人になら 一度 包丁研いでもらいたいなー」


ビデオ通話の向こうの 笑顔と柔らかな雰囲気は、

そんな風に思わせてくれます。



そんなわけで、ちょうど

うちの包丁の切れ味が悪くなっていたこともあり、

実際に包丁研ぎを依頼することにしました。


もちろん、その

「“包丁の声”を伝えてもらう」サービス付きで♪



  *  *  *  *



研ぎ師さんのもとへ包丁を送ってから数日間、


「まあ でも、そんな大したことも無いだろう」


「“包丁の声”って言ったって、

 結局は 主観で起こってくるメッセージだもんねー」

著者の辻林 秀一さんに人生相談を申込む

著者の辻林 秀一さんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。