目ん玉を手術してみた

2 / 2 ページ

最初の針が打たれる。

い、痛ぇ…。

4回目くらいから、痛みの感覚は無くなってきたが、まだ目は見えてる。

『先生…まだバッチリ見えてるんだけど…?』

『あっそう。じゃあ麻酔追加して打つね~。あれ?何だろ?上手く入んないなぁ?眼球が人より小さいみたいだね。』

『痛かったりしたら言ってね。我慢すると大出血するかも知んないから。それと、くしゃみや何かも出をうになったら言ってね~。いきなり動くと危ないから。』

…。

最後の麻酔の後、目ん玉を薄いイソジンみたいな消毒液で、ジョーッと洗われたトコまでは見えた(笑)。後はいきなり見えなくなった。

でも、確かに何かしてんのは分かる。

レーザーで焼かれてる時は、スポットライトの点滅みたいなモンは見えた。

んでもって、ここはどうだあそこはどうだという、執刀医と助手の会話はもちろん丸ぎこえな訳(笑)。

しかも全編もれなく専門用語!まるで意味が分からん。

もちろん、どういう意味なのかは気になる。

だけど、ここで大事になってくるのが、最初に述べた

『まな板の鯉になりきれるかどうか』

だったりする。

『後で詳しく教えてくれんだろ。良いようにやってくれ( ` ・ω・´ )b』

俺がすべきは、とにかく動かない事だけだ。事実。生唾を飲んだ一瞬、本当に少しだけ体が動いたのだが、その程度ですら

『動かないで!』

と怒られてしまった。

麻酔を打たれて、1時間ほど経過した頃だろうか。

『もうすぐ終わりますが、これから1~2分、絶対に動かないでくださいね。眼球の膜を縫いますから。一番気を付けなきゃならないトコなんで』と言われた…。

動かずにじっとしてると…針と糸で何かやってるのが見える!

…縫ってる…。

…チクチクと縫い合わせてる…。

…目ん玉の表面を…。

…糸止めの玉とか結んでる(笑)…!

す…凄ぇ!

それから最後の処置をして、手術は終わった。

手術室に入って、2時間弱の時間が経っていた。

『予定通りに終わりました。動かずにいてくれたんで、順調に行きましたヨ!』

と、執刀医が声をかけてくれた。そこで

『今日の手術の様子を、レポートにしてFacebookに上げようかと思ってんのヨ。』

と、手術台に横たわりながら言ったら、スタッフ一同笑ってくれた(笑)。

何だか分からんけど…俺の勝ちだと思った(笑)。

手術の翌日である今日の時点で、右目は全く見えていない。明るさしか感じない。

退院する頃も、視力は回復してないだろうという事だった。

手術で治療が終わる訳ではない。むじろこれが治療の始まりだ。焦らずじっくり治していく事になる。

そう…『まな板の鯉』モードは、まだまだっ進行中なのだ。

著者の戸田 光司さんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。