閑話休題: 失恋した勢いで留学する女子高生を生んだ学校の話

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   そういえば、東京のその高校を選んだ理由について一度も触れていなかった。
これは(14)で触れた内申点の件が関係している。
受けることができ、なおかつ自分自身でも行きたいと思える学校は極端に少なかった。
距離については多少目をつぶるしかなかったのだ。

  両親の力も借りて色々な学校の情報を集め、説明会に出向いたり日が重なる場合は代理で行って貰ったりしたけれど、ほとんどの場合説明が終了した後の個別相談で難色を示された。
学校側からの代表的なコメントはこれだろうか。

「よくできるお子さんですけどねえ…内申が、ちょっと。当校では中学校での生活態度を重視しますので」

模擬試験の結果を持参し、”入学後は問題なく授業について行けるだろう。前の国立中学とは校風が全く異なるため、取り組み方が見られる内申点では苦戦しがちだが真面目に参加している”と説明してそれだ。
完全に、知恵ばかりが余分についた扱いづらい生徒という目で見られていた。
東京と神奈川の学校を合わせて20校ほど回り、快く対応してくれたのはたったの3校。
学区外で県最難関の外国語コースを持つY高校と、既に何度も登場しているT大S高校。そして、最終的に進学した同じ付属の…もう全く伏せ字にはなっていないけれど。あの学校だ。

T大S高校へは母が行き、とても親切にしてもらったらしい。それでもこう返ってきたとのことだ。

「きっと頑張り屋さんの良いお子さんだと思いますが、当校の選抜方法だとどうしても厳しいです。おそらく漏れます。お家の場所がそこであれば、高輪はいかがですか?遠いですが、当校よりはリベラルな校風です。英語がお好きであれば特に。英検の優遇があります」

高輪のオープンキャンパスが直後にあっただろうか。私は一人で行った。途中の教室である先生に出会い、少し話が盛り上がったので訊いてみた。

「中2の3学期は内申が9科30しかなかったんですけど、模擬試験の偏差値は63です。そういう感じでも、入れますか?」

「一般入試なら受けられますよ!推薦よりは大変になってしまうけど、偏差値的には十分見込みのある数字だし、 ぜひあなたのような人には来てもらいたいなあ。遠くても良ければだけど」

私の姿を見て、来て欲しいといってくれた学校はここだけだった。
Y高校も良かったけれど、そこは

「内申点は関係ありません。本番の試験と面接で決めます」

と言っただけだった。
少し無機質な感じがする。

グレていた訳ではなかったから、どこの学校でも門前払いされるようなことはなかった。
ただ、積極的に受け入れたいとも思われていなかった。
どうしてもと言うのなら、試験ぐらいは受け来るのも構わないけど…そんな態度を取る学校には行きたくなかった。
先生や生徒全員が似た調子というわけではないだろうけれど、お情けで入れてもらったんだという気持ちで入学したのでは、楽しく学校生活が過ごせなさそうな気がしたからだ。

  県最難関のY高校と、その年から共学になったばかりの私大付属を併願。
どちらも本気で、滑り止めを確保していない。
内申点だけに限って言えば、私は自分より下のクラスにいる同級生にさえ負けていた。
通っていた塾ではその年最も危険な受験生として扱われた。
特に私立は諦めろとも言われた。

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