第7話 アルケミスト【少し不思議な力を持った双子の姉妹が、600ドルとアメリカまでの片道切符だけを持って、"人生をかけた実験の旅"に出たおはなし】

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ーえ??なんで??!



よく見てみると日付は、由紀夫とけんちゃんと偶然出逢ったあの日になっていた。


あの出会いも不思議だったな

2人と会ってから私の人生は角度を変えたんだ。



あの夏の日を思い出す。



恵比寿の交差点で、自転車でコケた私に偶然声をかけてくれた。

けんちゃんと由紀夫も、

タイで会って以来初めて日本で会ったのがあの日だと言っていた。




もし、あのとき2人が交差点にいなかったら、

もし二人がタイで会っていなかったら

もしあのとき私が自転車を倒さなかったら、

もし、電気屋で謎のPCを買わなかったら.....




数えきれないほど幾つもの「もし」の糸が重なっていく。

縦や横、斜め、時間も場所も超え幾重にもはりめぐらされた糸は一点に交差する。




一体いくつ「偶然」が重なって、この今があるんだろう...。



1年前のメモが、あの夏と今を不思議な糸で結ぶ。



そうだ、あのときみんなで歩いた家までの道のりで、

由紀夫が読んで欲しいって急に本を紹介してくれたんだ。



忘れないようにメモしたのに、すっかり忘れていた。



あれもアルケミストだったんだ.....!



由紀夫やけんちゃんとの不思議な出会い。今日のあべちゃんの話。

1ヶ月で3人から紹介された本。



”アルケミスト”というキーワードが何かのサインのように感じた。

何かが繋がっていくような、言葉に出来ない不思議な感覚があたまを巡っていった。



卒業の日



そして、それは卒業の日私の手元にやってきた。



あべちゃん
はい、まほ。これ読んで。



あべちゃんとは、以前から卒業の日に本の交換をする約束をしていた。

あべちゃんがくれた本は、もちろん、アルケミストだった。



あべちゃん
次、誰かにあげる時が来たら、手渡そうと思ってたの。だからまほにあげたい!


そう言って彼女がくれたのは、夜行バスで読んでいた”あの”アルケミストだった。



大事に読まれて少し表紙が古くなったその本は、

新品の本をもらうより、もっと特別で大切な意味がある気がする。





maho
…ありがとうあべちゃん。大切に読むよ。



いつか私も、読み終わったら誰かにあげよう。



学校を卒業したその日は、アルケミストを読み始めた日になった。




そして、読み終わったとき、アルケミストは新しい次の日をつれてきたのだ。



夢を旅した少年



朝カーテンから入る眩しい光で目が覚める。



maho
わあ...もう朝か。。




無造作に敷いた布団の上には、アルケミストが置いてあった。


ーあ、そうか、ずっと読んでたんだっけ。


思考停止したあたまが動き出す。まだ本の世界から抜け出せずにいるみたいだった。



昨日、卒業式から帰って1番にしたことは、アルケミストを読むことだった。

読み終わったのは、たしか深夜2時過ぎ。

一度読みだすと物語の世界から出られなくなり、ろくに夕飯も食べず最後まで読みすすめた。



そのまま倒れるように寝てしまったらしい。



本の内容は、羊飼いの男の子が旅に出る話だった。


でもなんだか話の内容をしっかりと思い出せない。


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