第7話 アルケミスト【少し不思議な力を持った双子の姉妹が、600ドルとアメリカまでの片道切符だけを持って、"人生をかけた実験の旅"に出たおはなし】

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子供の頃ような、あの感覚に包まれたまま、

幸せな気持ちで本を閉じたのだけは覚えていた。



そして、眠気なのかなんなのか、そのフワフワした感覚がまだ残ったままだった。


ブブブブ...



そのとき、一通のメールが届く。メールの宛先は”メルマガ”だった。



maho
あ!まさくんだ!



急いで携帯を見る。



人生で初めて登録したそのメルマガは、私にとって少し特別だった。

私と歳の近い”まさくん”という宮城県の男の子が書いていた。



少し前に、旅で行きたい国を探していたとき、

たまたま”まさくん”のブログに辿り着いたのだ。



彼の生き方は面白かった。



路上で書道の書きおろしをしたり、砂漠に木を植える「植林」をしながら、

その活動をブログやメルマガで発信していた。




こころに木を植える活動”そんな名前のブログからは

新しい生き方に、一生懸命模索して進んでいる彼の様子が伝わってくる。




就職をけって色々悩んだり葛藤があった自分の状況ともかぶり、

彼のことばは、いつも私をたくさん励ましてくれた。




たった今届いたメルマガを開く。




彼は今、宮城から東京へ来ているそうだった。

しかしその内容は、珍しく辛く苦しい文章が続いていたのだ。


それは自分を試すために東京で書き下ろしをしていたけれど、

なかなか結果が出ないということ。



そして資金的に底を着いてしまった、という悲しい内容だった。



________


『このままでは東京に居られてもあと数日くらい』


という結果が出た。。


僕は観念した。


東京へは資金的に背水の陣でやってきた。


日本の真ん中の東京の路上で結果が出せないなら、どこでも出せないだろう。


って思ってやってきた。



でも、この結果は宮城に帰りなさいということだ。

________



最後にはそんな悲しい言葉もあった。



彼は今やこんなにアグレッシブに活動しているけれど、

昔は人前には立てない病気をしていた。



そんな逆境を乗り越えて、「路上で書き下ろし」をやっていたのだ。

そして東京での書き下ろしなんて、本当にチャレンジだったと思う。


彼のまっすぐな気持ちと行動力に、勇気をもらっている人は多かった。



________

『自分にしかできないことはなにや?自分にしか伝えられないことはなにや?』

『自分が一番輝いて、ワクワクしながら伝えられることはなにや?』

________



だけれどそんな状況の中でも、彼は自分の真ん中を模索していた。

読みながら胸があつくなる。




そして、その後の文に目を疑った。

________

自分を励ますため今、この本を読んでいます。

________

そう書かれた文。

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