「人の親になるかもしれん」と思った僕が自分を棚卸しする話 3 幼心にハマったもの
僕の大好物
大好物といっても食べ物の話ではない。
ちなみに食べ物で嫌いなものはほぼ無い。なんでも食う。
そのかわり、大好物ってものもないかも。
僕は「流れ」のあるものが大好きだ。
目の前にあるいろんな工程が一本の糸でつながっている様を見ると
いやもう興奮を隠しきれない。
ローカルな話で申し訳ないが、僕の住む熊本には
「鶴屋」という百貨店があり、地下に千両饅頭
という回転焼き?を作っているところがある。
一般的な回転焼きと違って、一つ一つ手で焼くのではなく
機械で自動化されている。↓その機械ってのがコレ
丸い金型に生地がぷしゅーって出てきて
あんこが乗せられ
下面が焼けたらくるっとひっくり返され
最後は焼き印が押される。
僕は親の買い物が終わるまで、この機械を
ずっっっっっっっっっっっっっと眺めていた。
※今でも好き。いつまででも眺めていられる
これがこうきてああなって・・・あ、そこでこれがこうくるわけね
的なものが僕の好物だ。
子供ができたらまずはこの機械を見せてあげよう。
そして興味を持つかどうか観察してみよう。
と、思った。
で、この気質をモロにくすぐってくれたのが将棋だ。
きっかけはオヤジのヒマつぶしだったが、結構ハマった。
オヤジに習った将棋
僕もオヤジもそんなに強いわけではない。
ちょっとかじったくらいの人には勝てる、程度のレベルだ。
将棋は戦略ゲームだ。自陣を守り、敵陣に攻め入り
敵駒を自分のものにしてそれも使いながら相手の王将を追いつめる。
ある程度相手の出方を見ながらの部分はあるが
相手の飛車を取るためにああやってこうやって、とか
相手がこう守るからこっちからこう攻めて、とか
将棋は場面場面でとある目的を果たすための工程をデザインするゲームだ
何手か先まで考えられるようになったあたりで
オヤジは「棒銀」という戦法を授けた。
棒銀とは銀という駒を使って攻め入る戦法だ。
その場その場でテキトーにやっていたヤツが
「型」を身につけると攻撃力が倍増した。
とはいえ棒銀しか使えないんだから
オヤジ相手だとすぐに対策を練られて立ち行かなくなる。
若干将棋自体に飽き始めていたころ
オヤジは「詰め将棋」の本を授けた。
将棋には「詰めろ」という言葉がある。
いい感じに攻め入り、敵の王将を追いつめる最後の工程だ。
王手王手が続き、最後には投了となる。
その時解説者なんかは「これは『詰めろ』入ってますね」とか言う。
詰め将棋はこの「詰めろ」の部分だけを切り取ったパズルだ。
僕はこの詰め将棋に多いにハマった。
詰め将棋にも難易度がある。
3手で終わるものもあれば、10手以上必要なものもあった。
さすがにそんなのは解けないけど
ああなってこうなって、をひたすら試行できる詰め将棋は
本当におもしろかった。
難しい問題も先に答えを見て
ああなるほどねーってなるのが快感だった。
今思えば、この将棋ってのは職業であるシステムエンジニアに
思いっきり結びついている。
ここで入力されたデータをこっちのメソッドで加工して
DBアクセサーに投げてDBに書き込んで・・・この流れでイケる!
確かにモノを作ること自体も好きだけど、僕はこの思考が好きなのだ。
だからシステムエンジニアになった・・・のかもしれない。
人は「それそのもの」を好むわけではなく
「それを通じて得られる感情」を好む。
僕の場合は目的を達するために考えた工程が
一本に繋がったときがとてもうれしいので将棋を差していた。
そしてエンジニアとしてプログラムを組むときも
その感覚は共通している。
子供ができたら、何をして遊ぶのが好きなのかを観察しよう。
そして、その遊びの何が感情をくすぐっているのか観察しよう。
と、思った。
ここで注意・・・
「棒銀」
「詰め将棋」
将棋がわかる方はお気づきかもしれない。
攻め一辺倒なのだ。
ここに僕の弱点がある。
公言するのもどうかって感じだが
僕は極端に視野が狭い。
将棋でもそうだ。
盤面の右上がホットなら左下は見ていない。
攻めが行き詰まり、流れが相手ターンになると
守りへと頭が切り替わらない。
正直言って、仕事もそんな感じ。
目の前のタスクを最適化することには長けているが
パラレルで動いているものを管理するのは
そりゃもう、ものすごくヘタクソだ。
いわゆる職人タイプ。てかオタクだ。
中学・高校でキャプテンをしていた、と書いたので
矛盾があるように思うかもしれないが、キャプテンの
仕事なんて練習メニューを指示して号令をかけるくらいの
ものだったので、いわゆる管理タスクではなかった。
オヤジは結果で僕を判断していた。
子供ながらにいい手を考える。強い、と。
別に批判しようなんて全然思っていない。
でも反省はしよう。
子供が出来たら、視野を広くしてあげたい。
何か熱中するものがあったら、いろんな視点を提供してあげよう。
そして一緒にいろいろ考えて楽しもう。
と、思った。
ー○ー○ー○ー○ー○ー○ー○ー○ー○ー○ー
さて、僕はいわゆる「世間一般」から外れることに
強い抵抗感というか恐怖感がある。
なんでそう思うようになったのか。
次はその辺をしっかり思い出そうと思う。
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