弱視で内気だった私が一つのきっかけで日本2位になった話
どうも、少し私の話をさせて下さい
最後まで聞いてくれると嬉しいです。
私、産まれてから両目で世界をみたことがありません
お母さんから生まれた後、退院した私にはある異変がありました。
それは右目の瞳が白いということ
お母さんが病院に連れていくと、やはり私は先天性の病気を患っていました。
先天性白内障
それが私の病気の名前です。
生後10ヶ月で手術をして、なんとか失明にはならなかったのですが…視力は回復せず、以来ずっと右目が弱視で生活しています。
ちなみに、当時も今も右目の視力は0.01と明かりの区別しかできないです。
初めての子が先天性の病気とあってお母さんは過保護で私を育てました。
小学生になって、周りは掛けてないメガネを掛けはじめて
「私はみんなとは違うんだ。」
と幼ながらに思ったのを覚えています。
小学校低学年になって、他の子と外に遊びに行きたくてもなかなか行かせてもらえず、家で本を読むことが多くなった私はだんだん内気な性格になっていきました。
けど小学三年生のお正月、お母さんのお姉さん、叔母さんの家に遊びに行ったことで私に大きな転機が訪れます。
叔母さんの家はテコンドーの道場を開いているお家で、叔父さんが先生をやっていました。もちろん従姉妹もやっています。
そんな従姉妹と去年と同じように騒いでいる私に、私の事情を知っているはずの叔父さんから一言。
「テコンドー、やってみるか?」
前から興味を持っていた私は、
「やりますっ!」
と大きな返事をしました。
テコンドー始めました。
そんなこんなでテコンドーをやってみることになったものの、立ちはだかる壁は大きいものばかりでした。
テコンドーは頭を蹴ることがたまにあります、そのときに弱視が酷くなったらどうするんだ。
と、医者からドクターストップをもらいました。
でもそこは、頭は蹴らない。という約束でなんとか回避
他にもたくさんの壁がありましたが一つ一つ崩していって、私はテコンドーを始めることができたのです。
始めてみて楽しかったり、つまんなかったり、イライラしたり、嬉しかったり。いろんな事を思いながら練習していました。
そして、テコンドーを始めてからあっという間に時が過ぎ、気づいたら小学校を卒業して中学生になっていました。
そしてまたいつものお正月、叔父さんの家に遊びに行くと叔父さんから一言。
「なぁ、そろそろ日本目指してみるか。」
最初何を言われてるのかわかりませんでした。でもそのときの私は、とりあえず返事しなきゃという思いで
「はいっ、日本目指しますっ!」
と、いつかのように大きく返事をしました。
それからというと、練習じゃないくらいハードな練習が毎日ありました。
何度も泣いたり、何度も悔しがったり、何度も怒ったり、何度も不貞腐れたり、何度も挫折したり、何度も挫けそうになっても。
あの時逃げ出さなかったのは、周りにいる人たちみんなのおかげだよな。って凄く思います。
そして猛練習のすえ、いよいよ全日本本番になるのです。
弱視でも日本を目指すこと。
私はテコンドーの二種目あるうち、型の部門の選手として会場にいました。
自然と緊張感はなく、ただ少しだけ不安があるだけだったのですが
出番とともに緊張してきてあわあわしていると
「今まで通りにやれば大丈夫。あなたにはあなたなりのやり方があるから。」
従姉妹がそう声をかけてくれました。
それを聞いて私が思ったことが、
「弱視の私に今できることは、普通の人でも成し遂げるのが難しいことを私が成し遂げる。」
ということ。
試合まで私は、どうせ負けるんだからといつも考えていましたが…従姉妹の言葉でなんか、スイッチが入ったんですよね。
その調子のまま試合に出て、最後に私の手の中にあったのは
「全日本選手権第二位」
と書かれた表彰状と、銀色に輝くメダルでした。
涙は滝のように流れるのだと、この時始めて思いました。
それからそれから…。
さて、本当に日本二位を獲得した私ですが
ここまで来るのに私だけの力ではとても無理だったと思うのです。
やっぱり、両親や友達や従姉妹や叔母さんや叔父さん。いろんな支えがあったから私でもここまで来れたのだと思います。
そしてこの全てのきっかけは叔父さんが弱視の私をテコンドーに誘ったこと。
もしあの時叔父さんが、私にはテコンドーは出来ない。と思っていたのなら…
私は今も家の中でじっとしていて、学校でも内気な性格のままだったと思います。
あの時、一つのきっかけで私はここまで来れたのです。
これから私が出来る事。
今、私は叔父さん…先生の助手として、道場に来た新人さんを教えています。
毎日いろんな人が来て大変ですけど、凄くやりがいがある仕事です。
そして私には夢があります。
それは、私のように障害がある人でも、テコンドーを習うことができるようにすることです。
そのためにこれからも先生の助手として頑張っていきたいな、と思います。
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