第8話 人生を変えた1つの質問【少し不思議な力を持った双子の姉妹が、600ドルとアメリカまでの片道切符だけを持って、"人生をかけた実験の旅"に出たおはなし】

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は、はい!



私にとっては願ってもみない偶然だった!

ラッキーな事に、作家さんとふたりきりになれたのだ。




私たちはそのまま代々木公園の来た方へと歩いて行った。




代々木公園の入り口までは、結構距離がある。

歩きながら話していると、作家さんは急にこんなことを言い出した。




作家さん
まほちゃん、もしかして今悩んでいることがあるんじゃない?



まほ
えっ!!!!なんで分かるんですか?



作家さん
あぁ、やっぱりね〜。

いやぁ、実は僕は人の悩みを10分も聞くと解決できるんだよ〜。




まほ
ええっ!!!!





あまりにもキャッチーな文句に、最初は冗談で言ってるのかと思ってしまった。



しかしよく聞くと、その作家さんは本を書くかたわら”人の話しを聴く”という活動を、

ボランティアでやっているそうだった。



話しの内容はほとんどがその人自身の”悩み”で、

長い時は1日8時間ぶっ続けで人の悩みを聴くこともあるという。



その活動をずっと続けているうちに、段々と10分も人の話しを聞けば

その”悩み”の解決策が分かるようになった、というのだ。




作家さん
これも何かの縁だし、ちょっと話してみない?




そのとき、ふいに今朝のまさとのやりとりが浮かんだ。




まさ
自分でどうしてもうまくいかない時は、「観念」するんだ。

自分はもう何もできませんー!って一旦手放すんだよ。神様に任せるんだ



まさ
ほら、「観念」したあとは流れに任せて。

なんとかなるから!




あの秘伝の「観念」の技は、本当だったんだ!

でもこんな出来過ぎたことってあるのだろうか。





まほ
は、はい。お願いします!




これはまさからもらった前兆だ。

まだよく状況が飲み込めていないまま、作家さんに話してみることにした。




お母さんとわたし




私が悩んでいること、それは、お母さんのことだった。

簡単に言うと、お母さんから「旅に出る」ことを大反対されてしまったのだ。



だけど、私は分かっていた。



それはただ表面に出ただけの問題で

私にとっては、触りたくない、もっともっと根が深いものがあるということ。





なっちゃん
まぁちゃん、お母さんがそんな話聞いてないって言ってる。

もし旅に出るなら、奨学金も学校のために出したお金も全部返してほしいって....。




それはなっちゃんからの伝言だった。

お母さんと私は今世紀最大の「冷戦」へと突入していたのだ。




お母さんの言い分は、もっともで、当たり前のことだった。

私は学校へ行くために奨学金を借りていたし、

私のワガママで2回目の学校へ行くときは、生活費も工面してもらっていた。




お母さんが一生懸命お金を出してくれたのも知ってる。

お母さんに苦労かけてることも知ってる。感謝もしてる。わかってる。




頭ではそう思うのに、だけどこころが、どうしてもついていかない。

腹が立って悔しくて感情がふれて仕方なかった。


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