第8話 人生を変えた1つの質問【少し不思議な力を持った双子の姉妹が、600ドルとアメリカまでの片道切符だけを持って、"人生をかけた実験の旅"に出たおはなし】

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なっちゃん
まぁちゃん、ちゃんと話したら大丈夫だよ。お願いしてみればいいよ。




ううん!ちがう。なっちゃんとお父さんにはわからない。

これは私とお母さんしか分からないから。もっと違う問題なの!!!




そう突っぱねて、でも、それ以上はいつもうまく説明できなかった。





私の中ではお母さんとはいつも、

やった、やられたのシーソーゲームをしているように感じていたのだ。

今回はやられたんだ!そんな思いだった。




それは小さいころまでさかのぼる。




私は小さいころ、とてもよく怒られていた。

容量のいいなっちゃんは怒られない。とにかく私だけ怒られてしまうのだ。




私の話すこと、行動、すべてがお母さんをイライラさせていた。




すぐ調子に乗る性格は、いらないことばかりしてしまう。

ワガママで自分勝手な行動も、周りに迷惑をかけてしまう。




だけど要領が悪くて、性悪で粗悪な性格は、

お母さんに幾度となく直されても、なかなか直らなかった。




しなければいけないことや、するべきことが全然分からなかった。




もちろん自分のやった悪いことで叱られるときもある。

でも、ほとんどが何で怒られるのか、何が悪いのか、よく分かっていなかった。



よく分からないけど、何をしても怒られる。迷惑をかけてしまう。

私は段々自分のすべての自信がなくなっていった。



いつしか、お母さんはあまり私に笑わなくなった。

私にだけ返事をしてくれない時もあった。




その頃のお母さんの背中は、仕事と”わたし”で疲れていた。



私はもう、私じゃない人間に取り替えてしまいたかった。

でも私は”わたし”で、どんなに頑張っても直らない、変われない。ダメなままだ。



なっちゃんといたほうが、お母さんはずっと笑顔で気楽そうだった。

私だけ、いつもうまくいかないんだ。







中学生になると、お母さんとぶつかることが増えた。

口喧嘩が増えて、お母さんから言われたことが全部刺さる。

私もイライラをおかまいなしにぶつけまくった。



何かよくわからない怒りと憤りでいっぱいだった。



高校を卒業してから、一人暮らしを始めて距離ができても、

久々に会うと喧嘩をしてしまう。




悪いと思って、お母さんのために何かしてみたり、

でもまたイライラしたり、させたり。

それをぶつけたり、ぶつけられたり。


シーソーゲームのように、触れ合えない。




それが、今もずっと続いていた。




でも私は、その問題を掘り起こしたくなかったんだ。

掘り起こして、点検したら、分かってしまうのが怖かったから。




それは、” 私はお母さんに嫌われていて、愛されてはいないんだ。”ということ。

それを知ってしまうのが、本当は世界で一番、怖くてたまらなかったのだ。




人生を変えた質問




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